11月6日(日)戦後6周年


先日、知り合いの女優さんが出る芝居を見に行きました。
戦後60周年記念と名づけられたその舞台は、「方の会」という劇団の主催者の方の体験談を
基にしたお話でした。

戦時中、海南島にいた主人公のナツちゃんは、昭和20年6月、氷川丸に乗って日本へ引き
揚げてきます。
その船内で妹さんが病気で亡くなり、佐世保を目の前にして水葬されてしまいます。
また海南島での日本軍の若い兵隊さんと現地の女性の悲しい恋物語も織り交ぜられており
見ごたえのある舞台でした。
横浜に係留されいる氷川丸は、コンサートなどのイベントで訪れたことはありますが、あの船に
そんな逸話があることを恥ずかしながら知りませんでした。

実はHPのトップページにもありますが、以前「えっちゃんのせんそう」という虫プロ作成の長編
アニメで吹き替えのお仕事をいただき、満州からの引き揚げ船のお話を知りました。
主人公えっちゃんもやっとの思いで引き揚げ船に乗り込むのですが、その船中で、幼馴染の
男の子が病気で亡くなり、船から海に葬られるシーンがありました。
亡くなった人が、しかも子供が海に沈められるという実話は、かなりショックでした。
今回の舞台でもそうした実話があり、本当にたくさんの人たちがそうして亡くなったのだと改めて
思いました。

今回の舞台も、「えっちゃんのせんそう」でも、当時を知る人たちの二度と戦争をしてはいけない
という力強いメッセージを感じました。
けれど戦争を知らない我々はそうしたことを後世に伝えていけるのだろうかと複雑な思いで舞台
を見終えました。

今年2月に亡くなったkuriさんのお義父さんは戦争体験者です。私たちがkuriさんの実家へ行くと
「昔はね、こんなことがあった」とか「戦争中は、こうだった」と戦争体験の話をよくされました。
しかし、kuriさんはじめ、お義母さんやお義兄さんは、話題を避けて別の話をし始めてしまうので
私だけがお義父さんのお相手をするなんてことがよくありました。家族はみんな昔からお父さんの
戦争体験を散々聞かされていたので「また始まった」と嫌がっていたのです。
まあ、確かに楽しい団欒の場で、いつも戦争の話を聞かされる家族としてはそうしたくなるのも無理
はありません。
でも今回の舞台を見て、そうした実体験をした方たちが、ひとり、またひとりと、この世を去っていく
今、そうした方たちから実際に語られる話というものに、もっと耳を傾ける必要があるのではないか
とあらてめて思いました。


By Toshiko