先週12月11日から13日まで、舞台がありました。ご覧いただ
たいた方々、お疲れさまでした。
今回は創作ワークショップということで、観客の方々にも参加して
いただき、舞台を創っていく過程をお見せするという趣向でした。
我々、役者は開演直前まで、ロビーでお客様に番号札をお渡しした
んです。友人たちには「アレ、出るんじゃないの?なんで、ココに
いるの?」と言われました。
そうなんですよ、普通なら、楽屋で深呼吸でもしながら出番を待つ
というのが一般的なんですけどねぇ。
制作助手から「板付きで〜す」と声がかかったら、客席から舞台へあ
がるという演出だったのです。
そしてその番号札を抽選して、お客様に我々が使う小道具を選んで
いただき、その順番で、8人の役者がモノローグを演じたのです。
装置は、大中小の箱。これを組み合わせて、ソファーにしたり、テ
ーブルにしたり..しかし、その場で毎回順番が決まるために、そ
のセッティングの稽古というのも大変でした。
お客様も、小道具を選んでいただくだけでなく、舞台に上がってい
ただく場合もあり、緊張したようです。
そして結果はというと、これは賛否両論いろいろでしたね。
かなり演出家の色が濃い舞台だったので、好き嫌いがはっきりして
いたように思います。舞台が終わっても、演出家が出てきて、もう
一度、××のところを照明を変えてやってみます!、と言ってまた
舞台が続くのです。お客様はどこで帰っていいのかわからない。
私たちも、見に来ていただいたお客様にお礼のご挨拶、お見送りが
できませんでした。
ある時、演出家が、舞台の途中で『ちょっと止めます!』って、恐
い顔で出てきたのよ。私たちは、ビックリ!!お客様もビックリ!
ちょっと前からやり直しということになったんだけど、その時、小
道具を選んでいただいたお客様には、もう一度舞台にあがってもら
うことになり、焦ったようです。(実は私の友人でした...)
この途中で止めたことは、お客様を不愉快な気持ちにさせたという
意見、演出家の自己満足だという意見もアンケートにありました。
一方、ダメ出しの様子とかが垣間見れて面白かったという意見や初
めて観るスタイルで新鮮だったという意見もありました。
ただ、舞台はナマモノだからねぇ。やり直しのできないライブであ
るところが、ひとつの魅力な訳で、うまくいかないから途中で止め
るということは、普通の舞台なら有り得ない。創作ワークショップ
なので創る過程を観客と共に体験するということだったのでしょう。
いろいろあって大変だったけど、今回、勉強になったのは、モノロ
ーグは、役者同士の絡みがないから、なにか失敗があっても、立て
直すのは自分しかないということ。自分で自分を盛り立てていく力
がないといけないのよね。難しいけど..
それから、生理的に自分が持っている呼吸とか歩き方とか、そうい
うのものを捨てて、その役の人になるというのは、ほんと難しかっ
た。稽古中の私へのダメ出しは、それがメインでした。『ここでは
栗田さんはいらないの。この役の呼吸・歩き方でやってください』
ってね。長年培った呼吸と歩き方だからねぇ、なかなか変わらない。
でも、勉強になったのは、呼吸を変えると、なんとなく別の人格に
なれる...気がする。これは発見でした。
稽古中も、本番中も、ビックリの連続でしたが、なんか終わった〜
という達成感がない。楽日が終わっても、また、明日稽古があるよ
うな気分でした。
創作ワークショップとは、私にとって、未知の体験ゾーンでした。
By Toshiko