今年は、例年に比べてTVドラマの仕事をいろいろやらせても
らいました。ほとんど、再現ドラマだったけど...
今までは、再現ドラマの仕事は受けなかったの。役者の仕事と
しては、ちょっと格が落ちるというか(こういう言い方はよく
ないけど)、プロダクション側も、「再現ドラマなんだけど、
やってくれる?」 みたいな感じがあったのです。最近ではそん
なこともないし、再現ドラマの仕事って、すごく多いのよ。
テレビ東京の「テレビの主役」とかは、ちゃんとオーディション
を受けてGETした仕事です。だから、制作サイドも、とって
も、しっかりしてる。
しかし、番組によっては、制作会社とかディレクターさんによ
って、作り方は全然違うんだよね。
ここで、エピソードをひとつ。
どの番組とは言いませんが、現場に行ったら台本がなかったの。
ディレクターが大まかなシナリオをもとに、その場でセリフを
考えてる。
『ちょっと、いい加減な作り方だな』
と思ってたら、いきなり
「じゃ〜、泣いてください」って言うのよ。
『えっ、台本もないのに、どういうシーンだかわかんないじゃ
ない』
そしたら、いきなり、AD(アシスタント・ディレクタ)が目薬
出すの!
『...?』
私も、一応役者だからねぇ、泣けって言われれば、泣きますよ。
でも、どういうシーンだかわかからないし...
『どうやって気持ちを作ろうか』
なんて、考えてたら、いきなり目薬だもん、ビックリしちゃい
ましたねぇ。
出来上がりの映像としては、まあ、全体のイメージがディレク
ターの頭の中にはあるわけだから、それなりのお話になってる
んだけど、役者の仕事としては、ちょっと不本意だ!!
こう言っちゃ悪いけど、なんかとっても安易に作ってる感じ。
もうひとつ、エピソード。
ある番組で、ディレクターさんが、とっても若くて、多分ディ
レクターになって間もなかったんだと思う。で、たまたまディ
レクターもADも、制作スタッフ(カメラ・照明・音響)も、
全部、寄せ集め(別々の会社から来てた)。だから、お互いに
初めての仕事で、現場の雰囲気が、和気アイアイという感じで
はなかったの。普通は、冗談とか言いながら、楽しい雰囲気の
ことが多いのだけど...
だんだん撮るうちに、ディレクターが「じゃ、XXしてみよう
か」って言うと、カメラマンが「いや、それはおかしいんじゃな
い」みたいなことが、いっぱい出てきて、ちょっと険悪な雰囲
気。結局、カメラマンの方が年上だったから、ディレクターが
折れることが多かったけど...
その撮影は、いろんな段取りも悪くて、なんとなく、現場の雰
囲気が良くなかった。でも、なんとか終了。
でも、1週間後くらいに、プロダクションから電話で「TV局の
チェックが入って、いくつか追加したいシーンがある」。
再撮の日、プロダクションのあるビルの1室とか、エレベータ
前で、数シーンを撮影。カメラマンは別の人で、しかも、照明
さんも、音響さんもいないの。スポット1つあるだけ。蛍光燈
の灯かりなんかで撮るんだもん。『えっ、大学の映画研究会み
たいだなぁ。』って思ってたら、案の定、も一度、撮り直し。
今度は、以前仕事をやったことのあるディレクターやスタッフ
が揃い、「他の奴の尻拭いで、まいっちゃうよ」と言いつつも、
和気アイアイに、1日かけて10シーンくらいを追加で撮影。
帰り際「今度は、また、最初からちゃんと仕事やろうね」とスタ
ッフに言われました。ほんと、ホント!こんな、何度も撮り直
しなんて、ヤダよ。撮影の教訓。やはり、現場の雰囲気がよく
ないと、いい作品は撮れません!
By Toshiko