相 反 ダ イ ア デ ィ ッ ク
― Reciprocal Dyadic ―


天蓬と2人で敖潤司令官に呼ばれて、その執務室に出向き、
敖潤の話を聞いている途中から、
どんどんどんどん、天蓬の機嫌が悪くなっていって、
最終的に

「イヤですねッ」

と吐き捨てた。

……オイオイ。仮にも総司令だぞ。一応お前よりエライんだぞ。

俺はそういう気持ちを視線に込めて、横目に天蓬を見た。
すると、天蓬がこちらを向いて
「ね?」
と、俺に同意を求めたので、
「捲簾大将…?」
と、何故か敖潤の怒りの矛先が俺に向かってきた。


なんで俺!?


+++

ほうほうの態で敖潤の執務室を退室し、天蓬の執務室へ移動する。
その間ずっと天蓬はムスッと黙りこくっていた。


『明日からの遠征の日程に、軍上層部の会議が重なったので、
天蓬元帥はここへ残って会議へ参加するように』

それが敖潤の話だった。
で、天蓬は「冗談じゃない」と最後まで反抗していたが、
結局承諾させられてしまった、という訳だ。



「仕方ねぇだろ」
俺は宥める様に声を掛けたが、天蓬のご機嫌は治らない。

「ほんの1週間程度じゃねぇか」
ムス。

「なるべく早く戻るって」
ムス。

「早けりゃ3日くらいで戻れるから」
ムス。


はぁ〜…。何を言ってもムス、ムス、だ。


「いつもでもむくれてんじゃねーよ!」
俺は天蓬の首根っこに腕を回して、引き寄せた。

「俺だって、1人でなんか行きたくねぇよ…」
天蓬の耳元へ囁く。
「寂しいじゃねぇか」
軽くキス。


ヨシ!


天蓬の少し赤らんだ顔を見て、俺は内心でガッツポーズを取る。
これだけやれば、こいつの機嫌も治るだろ。

が、

「大体、貴方が『お前が居なくて大丈夫』とか言うからいけないんじゃないですか」
やっと口をきいたと思ったら、俺に文句を言い出した。

そりゃ、確かに言ったけど…。

「『副官が居ないと困る』くらい、気の利いたこと言えないんですか?」

あれ?俺が怒られるとこか?

「浮気しないでくださいよ!」

そんなオチ?!


俺はポカンと天蓬の顔を見つめて
「1週間離れる程度でそんなこと言うの、お前くらいだぞ」
と言ってやった。

で、

またご機嫌斜めになる前に、素早く
「お前こそ、浮気すんなよ」
と付け加えて、もう1度キスしておいた。



これでオッケー。



わー!バカバカしいッ!
何をイチャイチャしてるんですか、まったく。


「ビデオ撮っていいですか?」
「は?なんの?」
「貴方と僕の」
「意味分かんねぇ」
「セックスしてるところ」
「はぁッ!?」
「編集して、貴方が居ない間それで我慢します」
「アホ!」
「いいでしょ?」
「ダメに決まってんだろ!」
「なんでですか?」
「なんでもクソもあるか!」



という続きも考えていたのですが、
更にバカバカしくなってしまった(脳内で)ので、
やめときました。うん。


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