大   切
― タイセツ ―


SIDE:天蓬

大切……

大切にするということは、どういうことだと思いますか?

相手を余すことなく愛することですか?

相手がたくさんのプレゼントを与え続けることですか?

それとも…………





「……捲簾大将」

「あぁ。わかってる。もう時間なんだろ?」

「休暇中なのに、申し訳ありません」

「別にかまわねえよ。自分達だけじゃどうしようもなかったから、俺んトコに来たんだろ?
ったく、毎回毎回、なんで俺の部隊たちが」

「……すみません」

「いいって。それよりまたアイツ機嫌悪くなるだろうから……覚悟しとけよ」

「…………ハイ。が、頑張ります」

「じゃ、ちょっくら下界まで行ってくるわ」

「……お気をつけて」

「おぅ」





僕の枕元でそんな会話が繰り広げられる。
僕と捲簾は先ほど、たっっっっっぷりと愛し合った後だというのに、
捲簾は部下に呼ばれたとたん、いつもの“捲簾大将”になってしまった。
“捲簾”は僕だけのものでいてくれるけど、“捲簾大将”は決して僕のものにはならない。
“捲簾”は僕にワガママを言ってくれるのに、甘えてくれるのに……、“捲簾大将”は決して甘えてくることはない。
いつも笑顔を絶やさないのは同じなのだが、何かが違う。
“捲簾”の笑顔はただ見るだけでほっとするけれど、“捲簾大将”の笑顔はときどき僕でさえ怖くなることがある。
いつだったか、僕と捲簾が下界へ妖怪討伐に向かったとき、捲簾は笑顔で僕に微笑んでくれた。
そしてその後、“捲簾大将”は妖魔へとたった一人で突入していった。
幸い、それほど大怪我はしていなかったし、妖魔も無事討伐できたから、上層部の人間も何も言わなかったけれど、
あれは明らかに無謀すぎる行為だった。
いつもいつも、「危険な真似だけはしないでください。」と言っているのに、捲簾はまったく聞いてくれない。
あなたが怪我をするのがいやなのに。
僕のいないところで、あなたが怪我をするのがいやなだけなのに。
僕が下界にいれば、もしかしたらあなたを助けることが出来たかもしれない。
もしかしたら、かばうことが出来たかもしれない。
そればかりが、いつも怪我をしているあなたを見るたびに頭の中に浮かぶんです。
どうして捲簾はいつも僕に心配ばかりかけるのでしょう。
まったく、ワガママですよね。捲簾ってば。
帰ってきたら、絶対に心配かけたお仕置きをしなければいけませんね(ニヤリ)。
…………その前に、僕の捲簾を奪っていったバカな方々を始末しちゃいましょうかvv
せっかく、色気満載だった捲簾を僕から奪っていっちゃったんですものね。






SIDE:捲簾
大切……

大切にするってどういうことだと思う?

どんなにたくさんの物を与えられても、どんなにたくさんの高価なものをもらったとしても

それが俺の望むものじゃなかったら、意味がないんだよ

それが“大切”だっていうんなら……俺は………………





部下に呼ばれて、下界へと向かう準備してる間。
天蓬がベッドの中で少し動いたのに気が付いた。
…………なんであんだけ激しいコトしといて、起きてられるんだよ!!
俺はほら、一応大将って名前をもらうぐらいだから、常日ごろから鍛えてるわけだろ?
それがさ……、毎日毎日本を読んでるだけの軍師さまに……なんでスタミナが叶わないんだろう…………(涙)
もう少し手加減くらいしてくれたっていいのになぁ。
……でも、ホントに手加減してたら速攻で別れちまうかも。
この俺が、本気で好きになってんのに、相手が余裕綽々だなんてつまんねえじゃん。
やっぱ相手も俺と同じくらい、俺を好きになってくんなきゃつまんねえだろ?
いまんとこ、天蓬は余裕綽々の姿を保ってるみたいだけど、でもホントは俺にベタぼれなんだよな〜〜〜vvv
だって下界に行くたびに、「僕を心配させたので、お仕置きです」とかいって部屋から2日くらい出してくんねぇし、
こないだなんてほんのちょびっと怪我して帰ったら、速攻手当てされてめちゃくちゃお仕置きされたし……。
あんなの好きでもねえ相手にやんないよな?
ってことは、俺にベタぼれってことだよな♪
俺も天蓬がいなきゃ生きてけないってくらい、天蓬のことが好きなんだけど、くやしいからいうつもりねぇ。
だって一応、俺の方が年上で……アイツには経験豊富って言ってあるだろ?
それがさ……まさかマジメに恋愛したのが初めて……っていえるわけねえじゃん。
あいつは堂々と俺が初恋だって言ってたけどさ……。そこまで開き直れてねえのよ、俺。
それにあいつを喜ばすネタなんて提供するつもりさらさらねぇし♪
だからさ、あいつに俺がベタぼれだってこと……言うなよ?
言ったら……アイツ……新婚だのなんだのまた言いそうだからさ……(涙)。




【END】


……何が書きたかったのか……。
なんだか趣旨がずれてきているような気がします(汗)。
本当はただ単にどっちもどっちなバカップルを目指していたんです(汗)。
…………これで捲簾が年上だってことになってますか??
…………修行のたびにでます。探さないでください(逃走)。

和泉 魚月


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