好きだと気が付いたのは何時だったろう?
これが恋だと思ったのは…
愛しているかも知れないと確信したのは…



     
       
     

スキ ノ テンビン



軍隊長としてはそれなりに実績もあるし、部下からも信頼はされている。
女からも引く手数多って感じなんだが、最近なんか足りない。
こうなんて言うか、グッとくることないかなって思ってしまう。

そんな矢先、新しい上官がやって来るという話が舞い込んできた。
軍に来る上官は男だと相場が決まっているので、出来れば見た目が綺麗な奴がいいな
などと考えながら、木の上でぷかぷかとタバコを吸いながら昼寝をしていた。



「あの〜。そこにいるのは、捲簾大将じゃないでしょうか?」
いい声だななんて考えながら、
「誰だ?」
と声をかけた。
「良かった、探していたんですよ。」
ん?こんな声のやつに知合いはいないし?何で俺を捜しているんだ?よし、顔でも拝んどくか。

捲簾は、木の下にいる人物の前に飛び降りた。

がさがさ、トン

あまりに綺麗な顔に迂闊にも見とれてしまった。

「……しょ…う…捲簾大将!!!」

間近で聞くと余計にいい声だな
と意識の隅で思い、はっとした。

「ああ、んで俺に何か用?」
気を入れ直し問いかける。

「本当は、本日お会いするはずだったんですが、来られなかったもので、
ご挨拶だけでもやはりしておかなければっと思いましてね。」

こんなに綺麗なのと約束なんかした覚えはないし、それに男と約束なんて軍会議以外は………。
「あっあああ!!!」
今日軍会議だった事すっかり忘れてたよ。ってことは、こいつが新しい上官????
嘘だろ、こんな奴が?

マジマジと顔を見ているとにっこり笑ったかと思ったら
「私、天蓮といいます。元帥職なのですが、貴男の副官になります。」
などとぬかしやがった。


■□


そんな出逢いからもう2年か、早いもんだな
あの時は、天蓮のこと単なるバカか、スパイだと思っていたのに…。
ふっ、18歳の天才元帥ってかなり有名な名称を持っていると
どっかの侍女が寝物語に言っていたのを聞いた時には、
こんなに綺麗でおもしろい奴だと全然思っていなかったし、
あの時の印象からは想像もつかなかった。



「捲簾大将…何笑っているんですか?」
作戦会議中だというのにっと少し非難めいた眼を向けられた。

わっちゃあ、トリップしてたよ。

わりぃっと小声であやまり、先を進めるように促す。
部下達が肩を揺らしているのが見える。

ちっ、あいつら後でとっちめてやる。

自分が悪いのを棚に上げてそんなことを考える。

元はといえば、原因はこいつなんだよ。
自分より7つも年下のくせに、
自分から俺の副官になりたいと志願してきたくせに、
俺が下界で無茶すると烈火の如く怒りやがる。
二言目には『我が軍の大将なんですから。』なんていいやがるのが腹が立つ。
俺は、軍という組織に属しているが、それだけのために生きているわけじゃねぇってんだよ。

くっそう、なんか腹が立ってきた。



らちのあかないことを考えているうちに、会議は終わっていた。
今日は、飲みに行こうっと腹立つし、さっきの奴らを連れて。

「オイ、お前ら今日は飲みに行くぞ」
と先程肩を揺らしていた2人の首に腕を回した。
「たっ大将、くっ苦しいですって」
捲簾は腕をギブとパチパチ叩かれた。
「い・く・よ・なぁv」
飲みにっと言外に言われて部下2人は、「はいぃ〜」と答え捲簾について行った。



「ああ、飲んだ飲んだ♪」
上機嫌で自室へ向かっていると、部屋の前に何かが座っていた。
あれって、天蓮じゃねぇか?なんで俺の部屋の前で座って本読んでんだ?
それもこんな朝早くに…なんかあったけ?

「これはこれは、元帥殿。このようなところで何を?」
部屋の前に座っていた天蓮は、一瞬泣きそうな顔を向けたが、いつものとり澄ました顔に戻り
「会議で私は、あなたに何かしましたでしょうか?」と問う。

は?こいつ何いってんだ?何かした?別に何もされた覚えはないのに…
こいつこんな事のために此処で俺が帰ってくるのを待っていたのか?

「っで、元帥殿は、気分を害しているのではと、機嫌を伺いに来て下さったのですか?」
いつもよりもより丁寧な口調で天蓮に問いかける。
泣きそうな何か言いたげな顔をして、捲簾を見つめる。
頭に手を当てて、はぁ〜っとため息をつき
「ここじゃ、なんだから取合えず中で話をしようか」
天蓮にドアの前からどけるように伝え鍵を開け、ほらっと促し部屋へ入る。



天蓮をソファーに座らせ、コーヒーを入れながら問いかける。
「お前どうかしたのか?変だぞ」
「……。」
机をじっと見つめて何も答えない天蓮を一瞥し考える。

天才だっていわれても、まだ20歳だし頼りたいのかな?
こんな風にしおらしくしていると可愛いしな、仕方ねぇ面倒見てやるか。

「はいよ、コーヒー。砂糖とかミルクいるか?」
机の上にカップを置くと天蓮が手を掴んできた。

「なっ?!!!」
にすんだ?!っという言葉は天蓮の口の中へ消えていく。
眼を白黒させていると、耳元で
「捲簾っ、貴男のことが好きなんです。」
背中に回された手がギュッと抱きしめもう一度唇が合わさる。

ちょっと、待てもしかして、俺襲われるのか?貞操の危機ってやつ?
綺麗な顔してるのに俺を襲うって…にしても気持ちが良いキスじゃねぇか。

こんな状況下で、暢気なことを考えていた。



ソファーの上に押倒され、服を段々とはぎ取られていく。
このまま流されていると本当に犯されてしまうなっと思い
「おい、天蓮。ちょっとタンマっ!!!待てってば!!!!その前に話をしよう」
手で天蓮の肩を押し返す。
鍛えている自分に押されても、ピクリともしない。

こいつ結構鍛えてやがる、戦場でも十分役に立ちそうな体躯じゃねぇか。
なんで、俺の下に就きたいなんて…ますます解らねぇやつ。
好きなようにやらしてみるか、それだけの価値はありそうだし

急に抵抗をしなくなった捲簾を不審に思ったのか
「捲簾大将?抵抗しないと犯されちゃいますよ」
と声を掛けてきた。
「あはははは、お前自分が犯そうとしている相手に、そんなこと言うか?普通?!」
腹が捩れるっと笑い転げてると
「そこまで、笑うことないじゃないですか」
ぶすくれた声で言い返してくる。
笑いを納めて天蓮の眼を見つめ
「犯されてやるよ。来な。」
脱がされかけていた服を脱ぎ捨てベットルームへ促す。


■□


ベットルームに入るとすぐに、後ろから天蓮が抱き付いてきた。
背にあたる肌が気持ちいい、こいつ何時の間に脱いだんだ?
尻のあたりには、勃起したナニがあたっている。
このまま、挿入するわけじゃねぇだろうなぁ、少し嫌な予感がした。

蕾に何か滑ったものを塗り込めてきたかと思うとそのまま、熱く滾っているものを押し当ててきた。
人のものは愚か指なども入れたことのない器官に、男のナニがすんなり入るわけはない
それを無理矢理入れられようとされるこっちの身にもなれってんだ。

メリメリと音がしそうな程、そこを押し広げられ苦痛に顔がゆがむ。
息を詰めると後ろでウッと同じように息を詰める
痛みをこらえて、身体の力を抜くと瞬間に最奥まで突き入れられる。

「うぐっ、あっぁぁん」

痛みと共に痺れるような快感がせり上がってくる。
そこに間髪入れずにゆるゆると腰を揺り動かされるとこれまで感じたことのない絶頂感がやってくる。
男に獣のように犯されていることを、俺の身体は喜び始めている。
汗のにおいや天蓮に息使い、ぐちゅぐちゅというエロティクな音
その全てに反応し、俺は尻を振りたくり、天蓮を締め付け自身を掻き吼える。
そして絶え間なくやってくるエクスタシーに弾け飛んだ。

「ふぁ、ああっぁぁあああ」

繋がっている部分もこれまでにないほど締め付けた。
するとすぐに熱い奔流が体内を駆け巡り、天蓮もいったことが分かる。
受精されている感覚にはぁ〜っとため息をついていると、
直ぐさま右足を抱えられ、また腰が打ち付けられる。

おいおい、抜かずにまだやるのか?

若いねぇ、本当に自分本位でガンガン攻めてくるところが、
まっそんなところも可愛いけどな。
仕方がねぇ、こいつの気の済むまで付きやってやるか。


■□


気怠い雰囲気の残るベットルーム

「天蓮、お前な初めての人間に抜かずの3発も決める奴がいるか?」
まだ、異物感の残る部分から流れ落ちてくる感覚に、眉をひそめがら身体を起こす。
「あんな誘い方されましたから、てっきり経験があるものだと思っていましたし…」

はっは〜ん、それで最初から無茶なやり方で抱いたってわけね。
こいつ、そんなことで嫉妬するぐらい俺のことを……可愛いな。
女の場合と違ってこいつの嫉妬は、反応がおもしろい。
なんていうか、見てて飽きないって感じ。

「ところで、捲簾。私は、貴男に愛の告白をしたんですよ」
上機嫌な俺に不審な顔をして聞いてくる。
「答えは、言ったはずだぜ」

???えっ???って顔しやがった。

普通、男が男に抱かれてやってるんだぜ、
よっぽどの好き者か変態でもない限り、愛に応えたって思うだろ!!!!
こいつ本当に抜けてやがる。

まったく、言葉にしないとわからないってか、仕方がねーな。

「だから、俺もお前のこと、好きだっていってんだよ」
あーあっ綺麗な顔が、アホ面になってら、こういう顔をさせれるもの俺だけみたいだし
これから先、退屈しないで人生やってけそうじゃん。



【END】





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