第十八章 染色体

全ての有機体とウィルスの遺伝物質はきつくまとめられた核蛋白の形を取っている。ウィルスの中にはゲノムが形作られたウィルス粒子に挿入されているものもある。一方他は核酸の周囲に蛋白質の衣をまとっているものもある。バクテリアのゲノムは濃い核様体の形を取り、重さにして20%が蛋白質であるが、蛋白質とDNAの相互作用に付いては詳しく分かっていない。DNAは独立の超らせんを維持している〜100の領域からなり、100〜200塩基対に対し〜1の割合で自由な超らせんがある。間期の染色質と中期の染色体は共に大きな輪の形になっている。それぞれの輪は独立的に超らせん領域である。輪の塩基は中期の細胞骨格や核基質に対し、特定のDNA部位で結合する。

転写活性配列は間期染色質の多くを校正する真正染色質に存在する。異質染色質は〜5〜10倍に小さくまとめられている。そして転写的に不活性である。全ての染色質は細胞分裂の際にきつくまとめられる。そのときに個々の染色体の区別が付く。Gバンドをギムザ染色することにより再生産可能な超構造が染色体に存在すると言う事が示された。このバンドはとても大きい領域、〜1千万塩基対であり、染色体の配置替えやその他の大きな構造変化の位置確認を行うのに使われる。

両生類の卵母細胞中の巨大染色体や昆虫の多糸染色体は普通と違い伸ばされた構造で、まとめる比率は<100である。D.melanogasterの多糸染色体は〜5000バンドに分けられ、体積の観点から大きさはさまざまであり、平均は〜25k塩基対である。転写活性部位はさらにまとまっていない("膨らんだ")構造として見ることができ、そこでは物質は染色体の軸から突き出している。これは真正染色質が転写される時にも小さな規模で起こる変化に似ている。

動原体領域は動原体を含み、染色質を有糸分裂の紡錘体に取り付ける役割を持つ。動原体はしばしば異質染色質に囲まれている。動原体配列は酵母でのみ同定されているが、短い保存された配列と長い富AT領域からなる。これらの配列に結合する蛋白質は同定されている。

染色体末端構造は染色体末端を安定化する。知られている染色体末端構造はほぼすべて、一本の鎖がCn(A/T)m一般配列、ここではn>1でm=1〜4であるが、を持っている多くの繰り返しからなる。もう片方の鎖はGn(T/A)mであり、ひとつの突き出した末端をもち、これが決められた順序に個々の塩基を付け加える鋳型となる。染色体末端構造転位酵素はリボヌクレオ蛋白であり、このRNA構造は富G鎖を合成する鋳型となる。これは二本鎖の真の末端を複製することが不可能であるという問題点を克服する。染色体末端構造は覆っているGn(T/A)m一本鎖を染色体末端構造のより上流の繰り返し単位にある似たものに置き換えることで染色体末端構造が輪になり、自由末端がなくなることで染色体の末端を安定化させる。

第十九章 核様体

全ての真核生物の染色質は核様体から出来ている。核様体は特徴的な長さのDNA、多くは〜200塩基対のを含み、ヒストンH2A、H2B、H3、H4それぞれ2コピーを含む八量体の周りに巻かれている。単一のH1蛋白はそれぞれの核様体に結合している。事実上全てのゲノムDNAは核様体に組織化されている。単球菌ヌクレアーゼの扱いにより、それぞれの核様体にしまわれているDNAが操作上二つの領域に分けられることが分かった。環領域はヌクレアーゼによりすばやく分解される。146塩基対の中心領域は分解されにくい。H3とH4ヒストンは最も高い保存性を持ち、H3・H4四量体はこの分子の直径を決める。H2AとH2Bヒストンは二つのH2A・H2B二量体に組織化されている。二つのH2A・H2B二量体がH32・H42核に逐次加わることにより八量体が形成される。しかしこれがDNAへの結合の後に起こるか先に起こるかが分かっていない。

ヒストン八量体まわりのDNAの未知は−1.65の超らせんを作る。DNAは同じ距離で核様体に"入り"、"出る"。そしてヒストンH1により封印される。中心ヒストンがなくなると−1.0の超らせんが外れる。この違いはDNAのらせんの間隔が変わることによりほとんどがせつめいされる。このらせんの間隔は、核様体状の時の平均10.2塩基対/回転から溶媒に自由にいる時の10.5塩基対/回転に変わる。DNA構造によって核様体末端の10.0塩基対/回転の周期から中心の10.7塩基対/回転まで違いがある。核様体のDNA経路にはひずみがある。

核様体は一回転あたり6個の核様体からなり、詰め率は40となる直径30nmの繊維に組織化されている。H1が除かれるとこの繊維が一直線の核様体の紐からなる10nmの繊維に巻き戻される。30nmの繊維はおそらくらせんに巻かれた10nm繊維から成る。30nmの真正染色質と異質染色質の基本的な構成要素である。ヒストンでない蛋白は繊維が染色質や染色体の超構造にさらに組織化する役割を持つ。

RNAポリメラーゼは転写の際にヒストン八量体を除く。転写がとても集中的で(rDNAのように)、八量体が完全に取り除かれていない限り、ポリメラーゼが通り過ぎた後に八量体はDNAに再結合する。

ヌクレアーゼへの感度での二種の変化は遺伝子の活性に関係する。転写され得る染色質は徐々にDNAaseIへの感度が上がる。これはドメインを含むことへ活性か潜在的に活性な遺伝子として定義される幅広い領域に渡って構造の変化が起こることに反映される。DNAの超敏感な部位は具体的な場所で起こり、DNAaseIに対して大きく感度が上がることによって同定される。それらは転写を制御する領域、複製の起点、動原体、その他の領域で起こる。超敏感な部位は他の蛋白の存在により核様体が締め出されている〜200塩基対の配列からなる。超敏感な部位は境界をなし、隣接する核様体が位置を制限されるように働く。核様体の位置は制御蛋白がDNAに結合するのを制御するのに重要である。

異質染色質の形成は特定の部位で開始し、完全には限定されていない範囲で拡大する。異質染色質状態が構築された場合、後の細胞分裂を通して遺伝する。これは二つの同じDNA配列が異なった蛋白構造に結合し、それゆえ異なった能力が発現することにより後成の遺伝のパターンを増やす。これはDrosohilaで位置効果の多様性が起こることを説明する。

酵母の染色体末端構造での不活性染色質と隠れた接合形の座は同じ原因を持つと思われる。そしてこれはヒストンH3とH4のN末端がある蛋白質と相互作用することによる。不活性複合体の構築はある蛋白が特定のDNA配列に結合することにより開始される。他の構造部分はそのとき染色体に沿って協同的な方法で合成される。

雌の(真獣類の)哺乳類でのあるX染色体の不活化は無作為に起こる。Xic座はX染色体の数を数えるのに必要かつ十分である。n−1則は一つのX染色体しか不活化されていないことを確認する。XicはXist遺伝子を含み、これは不活性なX染色体にのみ発現するRNAをコードしている。XistRNAの安定化は不活性なX染色体を見分けるという方法によって起こる。

DNAのメチル化は後成的に遺伝する。DNAの複製は半メチル化された産物を作り、維持メチル化酵素が完全にメチル化された状態を復活させる。あるメチル化過程は親の起点に依存する。精子と卵子は特定の異なるパターンのメチル化をおこし、父親と母親の対立遺伝子は胎児では異なる形で発現する。これは刷り込みに関係し、その中でメチル化されていない対立遺伝子は片親だけから遺伝するという事はこれが唯一の活性対立遺伝子であることから重要である。対立遺伝子はもう一人の親が隠れているときに遺伝する。メチル化のパターンは配偶子形成が全ての世代で行われている間に元に戻される。

プリオンは羊の震顫病、それに似たヒトの病気の原因となる蛋白質様の感染体である。この感染体は多くの通常の細胞蛋白を持っている。PrPSc型は自己複製により変化された構造である。通常のPrP型は普通この構造をとらないが、PrPScの存在かではとる。酵母でのPSI要素の遺伝においても似た効果が重要である。

第二十章 転写開始

三つの真核生物のRNAポリメラーゼの内、RNAポリメラーゼIはrDNAを転写し、活性の大半を担う。RNAポリメラーゼllは構造遺伝子を転写しmRNAを生産する、そして産物はもっとも多様性に富んでいる。RNAポリメラーゼlllは小さいRNAを転写する。これらの酵素は二つの大きいサブユニットと多くの小さいサブユニットという似た構造を持っている。酵素間に共通のサブユニットもある。

三つのRNAポリメラーゼはどれもプロモーターを直接には認識できない。転写要素がまず特定のプロモーターの特徴的な配列要素を認識する機能をもつというのが共通の原則である。そして代わりにそれがRNAポリメラーゼと結合し、開始点に正しく配置する。それぞれのタイプのプロモーターにおいて、開始複合体がそれぞれの要素が複合体に加わる(もしくは離れる)という一連の反応により結成される。TBP要素は三つ全てのポリメラーゼの開始に必要である。それぞれの場合において転写要素のひとつの部位が開始点の近くに結合する。

開始点近くの(もし唯一の)TATAボックス、開始点のすぐ側の開始領域はRNAポリメラーゼllにとってプロモーターの正しい開始点を選択するのに働きかける。TBPはもしそれがひとつならTATAボックスに直接に結合する。TATAがないプロモーターでは他の方法で開始点の近くに置かれている。TFllDが結合した後に、RNAポリメラーゼllにとっての一般的な転写要素が基礎転写組織をプロモーターに結成し、RNAポリメラーゼが伸長を始めた時にはほとんどが解離する。

RNAポリメラーゼは活性化物質と抑制物質と相互作用する要素を含むより大きな複合体の一部としてみつかる。RNAポリメラーゼがこれらの蛋白と結合するもっとも一般的なところはCTDである。CTDは開始反応の間リン酸化されている。TFllDとSRB蛋白は共にCTDと相互作用する。これは、5'キャップ化酵素を含むRNA転写を修正する蛋白質に対し結合する場所を与える。

RNAポリメラーゼllのプロモーターは多様な短い分子内作用要素をもっている。そしてそれぞれは分子間作用要素により認識される。分子内作用要素はTATAボックスの上流におかれ、開始部位と開始部位から様々な距離に存在する。上流要素は使われているプロモーターの効率を限定するために基本転写複合体と相互作用する転写要素により認識される。上流要素の中には、基本組織の一部分と直接相互作用するものもある。共同活性体経由で相互作用するものもある。基本組織はTFllD、TFllB、TFllAのTAFを目的物とする。この相互作用は基本組織をまとめることを促進する。 プロモーターは大きな距離で遺伝子の両側両方向に作用できる配列である促進要素により刺激される。促進要素はまた各要素からなっている。しかしそれらはより小さく組織化されている。プロモーターにも促進要素にも見つかる要素がある。促進要素はプロモーターに結合している蛋白質と相互作用する蛋白複合体を組み立てることで機能を有する。そして間が"環がほどけた"DNAを必要とする。

第二十一章 転写の制御

制御プロモーターの中には多くの遺伝子の中に有り、ユビキチン要素により認識されるものがある。他のものは数少ない遺伝子の中に有り、組織特異要素により認識される。ある転写要素に対応し制御される特定の遺伝子グループを特異的に同定する要素は対応要素(RE)と呼ばれる。特定配列への要素の結合の後、他の一般転写組織の部分への蛋白-蛋白相互作用が起こる。転写要素はしばしばモジュール構造を持つ。これは、DNAへの結合と転写の活性化が独立したドメインになっているものである。DNA結合ドメインは開始複合体の付近で活性ドメインを繋ぐ。

転写要素のうちいくつかのグループは、類似配列により同定される。類似ドメインは60残基の配列で、昆虫や虫の発育を制御する遺伝子、哺乳類の転写要素の中にみつかる。これは原核生物のらせん-ターン-らせん形態に関係し、要素がDNAに結合する形態をあたえる。

DNA結合に関するほかの形態は、亜鉛指状構造である。これは蛋白質に有り、DNAやRNA(時には両方)と結合する。指状構造は亜鉛と結合するシステイン残基をもつ。ある転写要素の中では、指状構造は多数繰り返されている。他では単一や二つの繰り返しである。

ステロイド受容体は転写要素グループのなかで初めに同定されたものである。この中で蛋白質は小さい親水性のホルモンと結合することで活性化されている。そして、特定の対応要素と結合し転写を活性化する。DNA結合ドメインは亜鉛指状構造をもっている。

ロイシンジッパーはロイシンに富むアミノ酸の範囲を含み、転写要素の二量体化に関わる。隣接する基本領域はDNAに結合する役割を持つ。

HLH(らせん環らせん)蛋白は二量化の役目を持つ両親媒性のらせんを持ち、DNAに結合する基本的な領域に隣り合っている。

多くの転写要素は二量体として働き、同種二量体や異種二量体を作る多くの部分からなる複合体をしているのが普通である。このため、複合体の結合には遺伝子発現を制御する潜在力が備わる。ある場合は複合体は禁止要素を持っている。これは二量化すると相手の転写活性を妨げる。

前開始複合体信号があると遺伝子を"活性な"状態にして転写されやすくする。この複合体は安定で、複製サイクルが数多く行われても残っている。前開始複合体を形成する能力は一般の制御機構となり得る。プロモーターに結合することでRNAポリメラーゼが結合できるようになり、この要素は実質的に遺伝子のスイッチを入れる。

超敏感部位が起こる多くの状況により、これらの存在は一般的原則を反映していることがわかる。二重らせんが活性を開始する部位は核様体中で自由である。転写要素もしくは他の非ヒストン蛋白はその部位で特定の機能に関係し、DNAの短い領域の性質を変え、核様体を締め出す。それぞれの状況で作られる構造は必ずしも似ている必要はない(DNAaselに超敏感な部位を作る場合は当然例外である。)

核様体で組織され、遺伝子が制御する部位は多くは発現しない。特定の制御蛋白がない場合、プロモーターや他の制御部位はヒストン八量体により活性を持たない状態に組織される。これは、核様体はプロモーターの近くに正確に配置される必要があることを説明付ける。このため必要な制御部位は適切にさらされる。ある転写要素は核様体の表面でDNAを認識する能力を持ち、DNAの特定の形態が転写の開始に必要である。

ヒストンのアセチル化により、複製と転写が両方起こり、染色質構造がほぐれた形をとる必要がある。ある協同活性体は転写要素を基本組織に結合させるが、ヒストンアセチル化活性を持つ。逆に抑制物質は脱アセチル化酵素に関係する。

活性な染色質と不活性なせん職質は平衡ではない。突然の破壊的な出来事は片方をもう片方へと変える必要を生む。染色質変形複合体はATP加水分解を伴う機構でヒストン八量体を取り除く能力を持つ。この染色質変形の典型的な形態は、一つもしくはそれ以上のヒストン八量体を特定のDNA配列から取り除き、境界を作り、隣接核様体の正確なもしくは対応する位置におく。染色質の変形はまた核様体の位置の変化に関わる。

βグロブリン遺伝子の集団の上流にある超敏感部位のグループは、座制御領域(LCR)を作る。これは、ドメイン構造をなす全ての遺伝子の発現に必要である。ドメインの末端は制御効果の伝達を防ぐ配列によりマークされている。ドメインは核間質に取り付くための部位を持っている。

CpG島はCpG対の凝集を含みしばしば構造的に発現する遺伝子のプロモーターの周りにある。そしてそれらは制御遺伝子のプロモーターでも見つかる。プロモーターを含むこの島は脱メチル化され、プロモーターが転写できないようになっている。特定の蛋白質メチル化されたCpG対に結合し転写開始を防いでいる。

異種染色質の形成は特定の染色体領域(染色体末端構造のような)に結合し、ヒストンと相互作用する蛋白質により起こる。不活性構造の形成は開始中心から染色質糸に沿って広がっている。似た過程は不活性酵母型の接合型座の非発現化でも起こる。特定の遺伝子が不活性状態を保つために必要な抑圧構造はDrosophilaではPc−G蛋白複合体により形作られる。それらは異質染色体と活性中心から広がるという性質を共有する。

第二十二章 核接合

接合はイントロンを除去し、エクソンを成熟RNA配列に加えることで行われる。この反応には少なくとも4つのタイプがあり、生体外での要求と行われる方法により区別される。これらは真核イントロン、グループl、グループllイントロン、tRNAイントロンに分けられる。それぞれの反応は個々のRNA分子の組織を変えることを含み、それゆえ分子内反応過程である。

核接合は次に好まれるが義務でない経路が続く。とても短い共通配列のみが必要である。のこりのイントロンは無関係らしい。全ての5'接合部位はおそらく全ての3'接合部位と等量ではない。5'と3'部位がどのようにして正しい対と結合するかは分からない。GTAG則により与えられる配列が必要である。これはイントロンの末端を示す。酵母のUACUAAC枝部位mもしくは哺乳類のイントロンの保存度の低い共通配列も必要である。5'部位との反応としてなげ縄構造の形成がある。これはイントロンのGU末端が5'-2'結合を介して枝部位の6位でAと結合するというものである。そしてエクソンの3'-OH末端が3'接合部位を攻撃する。よってエクソンはイントロンを縛り投げ縄として放出する。両方の反応共に結合が保存されているエステル転位反応である。反応のいくつかの段階、おそらくRNAと蛋白構成体の構造変化を引き起こすためにATPの加水分解を必要とする。投げ縄構造は3'接合部位を選ぶのに必要である。他の接合パターンは新しい部位の使用を刺激し、間違った部位の使用を防ぐ蛋白要素により引き起こされる。

核接合は接合体の形成を必要とする。接合体は共通配列を反応できる構造にまとめる大きな分子である。接合体はU1、U2、U4/U6、U5snRNPといくつかの付加的な接合要素を含む。U1、U2、U5snRNPはそれぞれ単一のsnRNAといくつかの蛋白を含む。U4/U6snRNPは二つのsnRNAといくつかの蛋白を含む。いくつかの蛋白は全てのsnRNP分子で共通である。snRNPは共通配列を認識する。U1snRNA塩基対は5'接合部位の、U2snRNA塩基対は枝配列のを認識し、U5snRNPは5'接合部位で働く。U4がU6を放出すると、U6snRNA塩基対はU2と結合し、接合触媒中心を作る。他のsnRNPの組はATACイントロンの亜種を接合するのに似たような機能を与える。snRNA分子は接合や他のプロセシング反応において触媒のような役割を持つ。核の中で、二つのsnoRNAグループが変形する部位でrRNAと対を作るのに必要である。C/DsnoRNAグループはメチル化により目的部位を指示し、ACAsnoRNAグループはウリジンが偽ウリジンに転化している部位を認識する。

接合はしばしば分子内で起こるが、ある場合には分子間接合も見られる。これらの反応は適当な部位の配列がそれぞれの分子に乗った接合体型により起こるだろう。

llグループイントロンは核イントロンと媒体としてなげ縄の使用を共有するが、RNAの自己触媒機能としての反応を行うことも出来る。これらのイントロンはGT-AG則に従うが、反応接合部位を適切な並立状態におくための特徴的な二次構造を作る。

酵母のtRNA接合はエンドヌクレアーゼ反応と結合反応に分けられる。エンドヌクレアーゼは先駆物質の二次(もしくは三次)構造を認識しイントロンの両末端に溝を入れる。イントロンの欠如により放出された二つの半tRNAがATPの存在下で結合され得る。

RNAポリメラーゼllの終結能力は特徴づけられていない。そして転写の3'末端は溝により生まれる。溝部位の11-30塩基対上流におかれたAAUAAA配列が溝と多アデニル化に対する信号を与える。エンドヌクレアーゼと多(A)ポリメラーゼはAAUAAA信号への特異性を与える他の要素と複合体として結合している。

第二十三章 触媒RNA

自己接合はグループlイントロンの性質であり、TetrahymenaとPhysarumの核、菌のミトコンドリア、ファージT4で見つかる。この反応に必要な情報はイントロン配列にある(ただし反応は実際は生体内の蛋白により補助される)。この反応は短い共通配列を含む特定の二次(おそらく三次)構造を必要とする。RNAは基質配列がイントロンIGS領域によりつかまっているような構造を作る。そして他の共通配列がグアニンヌクレオチド結合部位を作る。これはグアノシン残基を協同要素とするエステル転移反応により起こる。エネルギーの流入は必要でない。グアノシンは5'エクソン-イントロン結合を壊しイントロンと結合する。エクソンの自由末端にある水酸基が次に3'エクソン-イントロン結合を攻撃する。イントロンは環化しグアノシンと末端15塩基を失う。関係する一連の反応はイントロンの末端G-OH残基により内部のホスホジエステル結合を攻撃することで触媒される。適切な基質が与えられることで、これは多様な触媒反応を起こすリボザイムを作ることが出来る。これにはヌクレオチド転移酵素活性を含む。

グループlとグループllミトコンドリアイントロンのあるものは開いた読み枠を持つ。あるグループlイントロンにコードされた蛋白質はDNAの目的部位に二本鎖の溝を空けるエンドヌクレアーゼである。この溝によりイントロンの配列自身を目的部位にコピーする遺伝子変化過程が開始される。これはこれらのタイプのイントロンは挿入過程により開始されることを意味する。

触媒反応はRNAasePリボヌクレオ蛋白のRNA構成要素により起こる。ウイルス内RNAは"金槌"構造で自己に溝を空けることが出来る。金槌構造は基質RNAとリボザイムRNAの間で形作られ、高度に特異的な配列について溝を空ける。これらの反応によりRNAは触媒活性を持つ特定の活性部位を作ることが出来ると分かる。

RNA編集は転写の後もしくは最中にRNAの配列を変える。この変化は意味のある暗号配列を作ることを必要とする。個々の塩基の基質は哺乳類の機構により起こる。それらは脱アミノの構造をとり、CはUに変化し、AがIに変化する。A触媒サブユニットは特定の目的配列に特異的な大きな複合体の一部としてシチジンかアデノシン脱アミノ酵素機能に関係する。

(多くはウリジンの)追加と削除は鞭毛虫ミトコンドリアやパラミキソウィルスで起こる。拡張編集反応は鞭毛虫でおこり、mRNAの半分の塩基が編集に由来する。編集反応はmRNA配列に相補的なガイドRNAからなる鋳型を使う。この反応はエンドヌクレアーゼ、終結ウリジン転移酵素、RNA連結酵素を含む酵素複合体により触媒され、自由ヌクレオチドを追加の原料として使い、削除の後、溝を空けたヌクレオチドを放出する。

第二十四章 免疫の多様性

免疫グロブリンとT細胞受容体は免疫機構のB細胞とT細胞の役割において似た機能を行う蛋白質である。IgやTCR蛋白はひとつのリンパ球の中のDNAの再配列により生まれる。IgやTCRにより認識される抗原にさらされることで元細胞と同じ特性を持つ多くの細胞がクローンの拡大により生まれる。免疫機構の発達の初期には多くの異なる再配列が行われ、異なる特性を持つ細胞を大量に蓄える。

それぞれの免疫グロブリン蛋白は、二つの同一な軽い鎖と二つの同一な重い鎖を含む四量体である。TCRは二つの異なる鎖からなる二量体である。それぞれのポリペプチド鎖は多くのV断片の内一つがDやJ断片を介し数少ないC断片と結合することで出来る遺伝子から発現する。IgL鎖(κかλ)はV-J-Cの共通構造を持つ。IgH鎖はV-D-J-C構造を持つ。TCRαとγはIgL鎖と似た構造を持ち、TCRδとβはIgH鎖と似ている。

それぞれのタイプの鎖はD、J、C断片集合体から分けられたV遺伝子の大きな集合によりコードされている。それぞれのタイプの断片、それぞれの組織はそれぞれの鎖のタイプにより異なる。しかし再結合の機構と原則は同じらしい。それぞれの再結合には同じ九量体や七量体共通配列が関わる。この反応は常に23塩基対間隔の共通配列が12塩基対間隔の共通配列に加わることを含む。異なるV、D、J断片がC断片に加わることでもかなりの種類が生まれるが、断片間のつながりの構造変化や(免疫グロブリンの場合の)体変化により付加的な変化が導入される。

対立の締め出しは与えられたリンパ球は単一のIgかTCRしか合成しないことを確かなものとする。生産的な再結合はそれ以上の再結合の発生を禁止する。最初の生産的再結合によりV領域の使用が固定されたとしても、B細胞はC遺伝子の利用を最初のμ鎖から更に下流にコードされているH鎖の内の一つに変える。この過程は異なるタイプの再結合に関わり、その中でVDJ領域と新しいC遺伝子の間の配列は削除される。C遺伝子の利用には複数回の変化が起こる。Ig生産の初期の段階では、膜境界版の蛋白の合成から隠された版のへと変化する。これらの変化は転写の代替的な接合により起こる。