力(基本単位:N=kg・m/s2)(一般的に文字であらわす時:F)

1.力もベクトル

速度、加速度と同様、力も大きさのほかに向きももちます。つまり力もベクトルです。

2.力がないとき

なんとなく物体に力がかかっていないときには静止していると思いがちですが、違います。力と加速度の関係を見れば分かりますが、力がゼロのときはあくまで加速度がゼロなのであり、速度はゼロとは限らないのです。つまり力がゼロのときは物体は静止、もしくは等速直線運動をするということになります。

3.色々な力その1:重力

自然界には実に様々な力が存在します。以下でそれぞれの力について解説します。全ての力について、向きと大きさに分けて説明していますので、それぞれの向き、大きさはどんな風かというように考えて読むといいでしょう。まずは重力。地球が他の物体全てを引っ張る力です。向きは下向き(地球の中心方向)で、大きさはm・g(m:物体の質量、g:重力加速度)です。但し、これは実は一般的な話ではなく、あくまで地上付近での近似式です。地上から遠く離れたところ、つまり宇宙空間では、重力はG・M・m/r(G:重力定数、M:地球の質量、m:物体の質量、r:地球の中心〜物体間の距離)となります。静電気力の式と同じ形なのは興味深いです。

4.色々な力その2:弾性力

次は弾性力、ようするにばねによる力です。向きは、ばねが縮んでいるなら伸ばす向き、伸びているなら縮ませる向きに、大きさはk・x(k:ばねによる定数、x:元のばねの長さからの伸び、もしくは縮み分の長さ)です。

5.色々な力その3:浮力

次は浮力、水(液体)の中で受ける力です。向きは上向き、大きさは、ちょいややこしいですが、物体が水につかっている部分をそっくり水にかえたときのその水の重さです。数式だとρ・V・g(ρ:水の密度、V:水につかっている部分の体積、g:重力加速度)です。

6.色々な力その4:抵抗力

次は抵抗力、走ったときの空気の抵抗や、泳いだときの水の抵抗などです。向きは物体の進む向きの逆向き、大きさはk・v(k:周りの物質(空気とか水)による定数、v:物体の速さ)です。

7.色々な力その5:圧力による力

次は圧力による力です。向きは圧力のかかる向き、大きさはp・S(p:内外の圧力差、S:圧力のかかる面積)です。

8.色々な力その6:張力

次は張力、糸が物を引っ張る力です。張力、そして次に挙げる垂直抗力、静止摩擦力については、大きさが式であらわせません。ではどうするかというと、これらの力は、物体にかかる他の力により大きさが決まるのです。具体的に言うと、他の全ての力のうち、糸を伸ばす方向の力に対し、その逆方向に同じだけの力を与えます。簡単に言うと、張力の向きは糸を縮ませる向き、大きさは、他の力のうち、糸を引っ張る向きの力の合計分です。

9.色々な力その7:垂直抗力

次は垂直抗力、壁や床を押したときに壁や床が押し返す力です。これも張力と同様に考えます。向きは壁や床面に垂直な方向、大きさは、物体にかかる他の力の内、壁や床を垂直に押す方向成分です。

10.色々な力その8:静止摩擦力

次は静止摩擦力。わざわざ"静止"と断ってあるのは、物体が静止しているときと動いているときでは摩擦力の仕組みが違うのです。物体が静止しているときには、摩擦力は張力、垂直抗力と同様に考えます。他の全ての力のうち、床に平行な成分を考え、それを打ち消すだけの力となります。但し、静止摩擦力には最大値があり、他の力の床に平行な成分がその最大値をこえると、静止摩擦力では打ち消しきれず、物体は動き出すということになります。その最大値はμ・N(μ:静止摩擦係数(床と物体の材質により決まる定数)、N;物体にかかる垂直抗力)です。

11.色々な力その9:動摩擦力

次は動摩擦力。物体が動いているときにかかる摩擦力です。これは静止摩擦力と違い、式に表せます。向きは物体の動く方向と逆向き、大きさはμ'・N(μ':動摩擦係数(物体と床の材質により決まる定数。静止摩擦係数よりも小さい)、N:物体にかかる垂直抗力)です。

12.色々な力その10:慣性力

次に慣性力。観測者が加速しているときに感じる力です。エレベーターで上昇中に下に押し付けられる力がこれです。これはややこしい力です。なぜかというと、見る人によって力が見えたり見えなかったりするのです。例えば、エレベーターの外にいる人には、先ほど言った押し付けられる力は見えません。でもエレベーターの中の人はその力を確実に感じています。つまり、この力は見る人の条件が数式に入るわけです。具体的に言うと、向きは見る人の加速度の逆向き、大きさはm・a(m:観測される物体の質量、a:見る人の加速度の大きさ)です。

13.色々な力その11:静電気力

次に静電気力。電荷が電界から受ける力です。F=q・E(F:電荷の受ける力、q:置かれた電荷の量、E:置かれたところの電場の大きさ)静電気力の式点電荷の作る電位を組み合わせると、二つの点電荷間に働く力はk・Q・q/r(k:定数、Q:電場を作る電荷、q:力を受ける電荷、r:二つの電荷の間の距離)となります。向きは、二つの電荷が同符号なら反発する方向、異符号なら引き合う方向です。重力と同じ形なのに注目。

14.色々な力その12:磁界が電流に及ぼす力

次は磁界が電流に及ぼす力。向きはフレミングの左手の法則の通り、大きさはI・B・l(I:電流、B:外部の磁束密度、l:電線の長さの磁界に垂直な方向成分)です。力を受ける電流が作る磁界は関係ないこと、磁界と電流が垂直でない場合には垂直方向成分を考えることに注意。

15.色々な力その13:ローレンツ力

次はローレンツ力。磁界が電流に及ぼす力と実は同じことなんですが、別に覚えたほうがいいでしょう。向きはローレンツ力のとおり、大きさはq・v・B(q:電荷、v:電荷の速度の磁界に垂直な方向成分、B:磁束密度)上と同じく、磁界と電荷の運動方向が異なる場合には垂直方向成分を考えることに注意。

16.色々な力その14:遠心力

最後に遠心力。これは正体は慣性力なのですが、物体が等速円運動をするときの慣性力の計算方法は特殊なので別に挙げておくだけです。向きは回転円の中心に向かう向き、大きさはm・r・ω2(m:質量、r:回転半径、ω:角速度)です。