オピネル展示室

その四

特定用途モデル




(2004年5月)


オピネルにも包丁があります。いつからあるのか知りませんが、つい最近知りました。
大きさ、重さ、どちらも程良く、なかなか使えますよ。





フィレナイフは魚をさばくために作られたものばかりですから、すべてステンレスブレードです。折り畳みできない包丁風のものが一つあり、フォールディングタイプ(折畳式)が4サイズ。ハンドルにいくつかのバリエーションがあります。普通の木のものと、ハードウッドとよばれるもの。さらには下の新製品「フランスの木シリーズ」の6種類。水仕事の友ですからハードウッドとか柘植が良いかもしれません。


種類 固定 No.9 No.8 No.8 No.8
全長(mm) 307 320 270 223 183
刃長 175 145 125 100 77

 

左の最長モデルがNo.9で、あとの三つは全てNo.8です。
ブレード長が145mmもあると、鮭でも何とか三枚におろせそうです。しかし、三枚おろしはやはり和式の片刃の包丁が良いようです。

ブレード長100mmのものは手頃な大きさでちょっとした用事に役立ちます。そういう理由なのか、1996年にでた新シリーズ、"フランスの木"6種類はこのサイズです。

ちなみにバックに写っているトランプはこの"Chateau Micmac"でルールなどを説明している Tarot ゲームに使うものです。大変おもしろいゲームですが、残念ながら日本ではカードを入手することは難しいようです。
 





2002年秋の東京には、タヒチからのお客さんがありました。
この催し物に合わせて日本旅行を敢行した、ジルベールとジョアンナ夫妻です。
二人とも日本の刃物が大好きで、包丁とか、刀とか、色々なものを持っています。今回は私がお勧めする越前武生の佐治武氏の刃物を4本も仕入れていきました。
そして私へのタヒチ土産がこれでした。
彼らの友人が彫ってくれた、タヒチの森の賢人だとか。
なるほど、私よりは賢そうです。


Merci, Gilebert et Joanna.


このナイフの刃長は100mmで、下のものより少し大きいです。豪華に箱入りです。黒い革のシースもこのナイフの長さに合わせて作られています。
魚を捌くのにはじめは、しなるナイフは使いにくいと思いこんでましたが、そうでもないという気がしてきました。ちゃんと研いであれば問題ないですね。そりゃそうだ、あちらの人たちは皆これでやっているのですから、それなりの合理性がないはずはないです。


ジャック・モンジャンというフランスのナイフメーカーをご存じのかたも多いでしょう。
ハンドルにハニーホーンを多用することで知られています。(ハニーホーンとはこの淡い色の牛の角です。モンジャンは真っ黒の角も同様に使います。そちらの方がヨーロッパではウケがよいとかいわれますが、日本ではむしろ逆かと思います)
割と最近、会社ごとオピネル社に吸収合併されました。そのあと少しして、このフィレナイフのハニーホーンハンドルが売り出されました。彼と無関係ではないかもしれません。これは一番小さいフィレナイフです。刃長は77mm。

こちらは小型フィレナイフ専用の革製の鞘です。タッチアップ用のヤスリも付いてます。ホーンハンドルと組み合わせるとゴージャスであります。




"フランスの木"シリーズ 6種です。
この6本はどれも申し分なく美しいです。特にオリーブとトネリコの木目は何とも言えません。
<< Bois de France >>


柘植
原産地:南欧
楽器に多く使われる。
西洋トネリコ
原産地:欧州
かつてはスキー板の原材料だった。
野桜
原産地:欧州及びアジア
大きめの家具に使用される。
クルミ
原産地:中国
丈夫なので彫刻や高級家具の材料になる。
オリーブ
原産地:アジア
高級家具や食器に。
昔から平和と智のシンボルだった。
原産地:欧州
大きな家具、廊下にも使われる。

折り畳みではない、もう一本珍しいモデルがあります。果物ナイフです。これも使い込んでロゴが怪しくなってきました。いまどき炭素鋼の果物ナイフも珍しい。ハンドルの塗料もボロボロです。
 ちなみにこれをよんだフランス人の一人は、これをデスクナイフとして使っていると、メールをくれました。
 
こちらは新しいモデルです。新しいフルーツナイフです。ハンドルはプラスチック(六色)、ブレードはステンレス。
ただし、木製ハンドルの炭素鋼ブレードもなくなったわけではありません。今でも売ってます。
カタログにはオフィス(デスク)ナイフと書かれますが、料理用にもよいとあります。私はフルーツナイフと思って使っています。
日本では折り畳みできないオピネルを珍しがる人もいますね。


左のフロリストNo.8は結構日本でも見かけます。花をいじる人にはいいでしょうね。下のように折りたたみできるから持ち運びが楽です。

右に写っている大きなカーブを持ったブレードのナイフNo.10はいまだに使い道が分かりません。フロリストではないようです。とあるフランス人は葡萄摘みに使うのだろうと言ってましたが、確信はないようです。

*やはりフランス人からのメールでは、これは接ぎ木作業に使うものであるとのことです
パリに住む音楽家、パトリック・ガルシアがこの二つについて興味あるメールをくれました。

接ぎ木以外には、電気工事の職人がこの二つを頻繁に使うのだそうです。
特に太いコードを切るには大きく曲がった方が、細いコードにはカーブの緩いものが頻繁に使われるとか。
さらに絨毯を床に敷くときなどもこの曲がった刃が役に立つそうです。(どうやって使うのかな?)
パトリックは見たこともないような楽器を使う、フランスの伝統音楽専門の音楽家です。
サイトは仏語だけですが、見るだけでも面白いかも。
→ Passacaille


鋸が2タイプ。大きい方はブレード長が18cm、閉じても23.5cmですから堂々としたもんです。小さい方はNo.12で、ブレード長12cm、閉じて16cm。右の小さい方をアメリカのボーカー社から通販で入手しました。

ところでこのNo.xxという数字は、ナイフの大きさに関係するのは間違いありませんが、長さとは無縁で、ボルスターの直径に対応してつけられているようです。当然このページの最上段のフィレナイフもNo.9だけが太く、残りの3サイズはNo.8ばかりですから全て同じ太さで、長さだけが違うのです。