ディスク選定の基準について



ここに紹介するディスクには、それを制作した音楽家自身がアンビエントと呼
んでいないものが多く含まれています。もちろんこのことは「アンビエントで
はない」、と明言していることを意味するものでもありません。したがって、
「これがアンビエントだ!」という保証つきディスクレビューとはいくらか事
情が違います。

ここで筆者はアンビエントという音楽が持ちうるいくつかのファクターを、音
楽の内に部分的にでも持っていると思われるディスクを紹介しているに過ぎな
く、それは例えば新たにアンビエント・アルバムを作ろうとする場合に参照す
るための手法やコンセプトの源泉をさまざまなところから集めたアイディア・
ブックのようなものと言えます。

これのどこがアンビエントだ、という疑問を筆者自身が持ちつつも、それ的ポ
テンシャルを持ったものは載せています。その理由は、この難しいカテゴリを
一言で定義し、多くのアルバムを締め出してしまうよりは、多数の事例から帰
納法的に、ゆったりと認識することのほうがはるかに有効だと考えるからに他
なりません。

アンビエントはひとつのありかたに定着するものではないはずですから。



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