伽藍へ

オルガンと単旋律の聖歌が
フェイドインする
霧が晴れるように眼前に現れた
屹立する幻影の壁の中へ入る

伽藍の壮大さに
眩しく乾いた内部の空気に
高い天井をふちどる祝福された言葉に
アーチ型の旋律のラインに
視界を埋め尽くしそうなベイジュの
壁と白色の光に

涙が 滴る
頬を濡らさない夢想の水

カテドラルで聴いた真昼の光に浮かぶ音楽は
積み上げられたマーブルに囲まれた内を
交錯しながらも収束する
ひとつの響きだった

揺曳する
沈める寺院


claude debussy "la cathedrale engloutie"




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