音楽鑑賞 II

このサイトを持ったひとつの動機は、買ったディスクを何らかの意
味で刻印するためだったのかもしれないと、思ったりする。

モノ、と、コト。

<モノ>それ自体のコレクションではない、という意味で中身を持
つ<コト>であるCDや本のライブラリ。コトを吸収したらコトを
出力せずにいられないという、貧乏性なのかもしれない。
こんな、モトの取り方。

それについて文章を書いたディスクは、だから「済み」ということ
にもなるのかもしれない。その時点でのある対象(ディスク)への
思考とか感覚を記録していくこと。そうすれば、必ずいつかは形を
失う(あるいは、僕のほうが先かもしれない)はかなげなモノをは
じめて「手にした」感じがする。

面白いのは、本当は「済み」などではさらさらないこと。一度でも
何かを書こう、言おうと思った対象は、ある時全く別の美質を、見
せてくれる。それはそれ自体が持っている美点でもあり、こちらの
思考が一度クリアされたことによる感覚のサラ地が、あらたな余地
ができ上がったからとも言えるだろう。

こうして終わりようのない音楽鑑賞は、続く。

何かを考える、そして書くというオブセッションは、しかしとても
せわしないキャラクタではあるけれど。

実はいちばん贅沢なのは、ただただ、聴くこと。
当り前なことか。

September 5,1999

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