農園の四季 〜
寒い冬の訪れとともに冬野菜の収穫のときを迎える。

ナガネギ、ハクサイ、ダイコンは寒さが増すにつれて旨味をましてくる。

サトイモ、ナガイモ、ヤーコンなど根菜類の収穫も続けられる。

ホウレンソウ、シュンギク、ミズナなどは寒さの中でも緑豊かに生育している。

朝収穫したものを持ち帰り、その日の内に鍋料理などにして食べる味わいは 格別である。

この時期の作業としてタクアン漬けとハクサイ漬けがある。
タクアンは畑のダイコンを引き抜いて2週間ほど天日干しをする。
米糠と塩、ザラメ、クチナシの実を加え、更にこの農園で採れた柿の皮、タカノツメなどを加えることにより味に深みが増す。

ハクサイ漬けは四つ切りにして塩、昆布、リンゴを加え、更に農園のユズ、 タカノツメを加え大きな樽に詰める。1週間ほどすると独自の味に仕立て 上がり美味しく食べることができる。

また、春の栽培に備えて有機質の堆肥づくりを行う。
大きな穴を掘り腐葉土、枯草、落葉、鶏糞、牛糞などを入れ、米糠と水を 加える。
微生物の働きで発酵が進み、2,3ヶ月経つと野菜にとって 栄養豊かな堆肥が出来あがる。


先代の農園主石塚良一さんには農作業について手取り足取りいろいろなことを教えていただいた。実に純朴な人柄であの穏やかな笑顔が偲ばれる。

冬の暖かい陽射しの中、藁塚(藁ぼっち)や藁縄を一緒に作ったことなどさまざまなことが思い出される。

年が明けると畑の周辺では、水仙が清楚な白い花を、蝋梅が透き通る黄色の花を咲かせていい香りが漂う。

白梅、紅梅も美しい花を咲かせ、春の訪れを告げているようである。