オススメ・アイテム・ピック・アップ VOL.6

今回はスペインポルトガルの60〜80年代ポップ〜ロックのレコード特集。スペインのもの(10枚)はフラメンコなどの自国の音楽やスペイン語圏のラテン音楽と、ポルトガル(4枚)は固有のトラッド・フォークやポルトガル語圏のブラジル音楽と、それぞれが欧米のポップス、ロック、フォーク、ソウル、ジャズ等とクロスオーヴァーしているユニークなポップ・ミュージックのレコードを取り上げてみました。



PALOMA SAN BASILIO
/DONDE VAS
1977 SPAIN HISPABOX


SIDE-A
1. CONTIGO
2. TIEMPO PERDIDO
3. HA MUERTO UN AMOR
4. EL MANICERO
5. ENTRE TUS BRAZOS

SIDE-B
1. DONDE VAS
2. I'M GONNA BE A LONG TIME FORGETTING YOU
3. SOLOS TU Y YO
4. EL COLOR DEL MAR
5. CAMINO SIN SABER DONDE IR

80年代に世界各地で公演されたミュージカル「EVITA」で主役を努めていたこともあって、その歌唱力は高く評価されており、現在もスペイン語圏ではかなりの人気を誇る女性ポップ・シンガー。
自国のスペインでは70年代半ばには既にデビューしていました。元々彼女自身、ソウル・ミュージック志向(というかUS POP VOCAL志向)があったようで、レコード会社に送ったデモ・テープはROBERTA FLACKの曲を歌ったものだったそうだし、75年のデビュー盤「SOMBRAS」ではJACKSON 5の「NEVER CAN SAY GOODBYE」、LIVE ALBUM「EN DIRECT」ではDIONNE WARWICK「I SAY A LITTLE PRAYER FOR YOU」やPATTI AUSTINの曲などをカヴァしています。
そんな志向性が合致したのか、まだ初々しさの残るボーカルを披露するこのセカンド・アルバムでは、なんと、同じスペインのアーティストでソウル系サウンドが得意な、あのSILVETTIが半数以上の曲をアレンジしているのでした!しかも彼がSALSOULから「SPRING RAIN」のヒットをとばした翌年の録音なので、あのせつないストリングスに彩られたソウルフルなフィリー系ダンス・サウンドを聴ける曲がこの盤にも収録されているのです。A1などまさに「SPRING RAIN」に匹敵する哀愁ソウル・ナンバー。またサルソウルなノリの「PEANUTS VENDOR」ディスコ・バージョンA4、SILVETTIが関わった曲以外でも、BLUE EYED SOULなA2、MELISSA MANCHESTERのバラード「JUST YOU AND I」のカヴァB3、などもなかなかではないでしょうか。
彼女はスペインの外へと活動範囲が広がるにつれて、よりダイナミックな唱法のLATIN POP歌手として幅広い人気を確立しています。
SILVETTIとの繋がりはずっと続いているようで、2001年の最新アルバムでもプロデュース&アレンジを担当していました。といってもその内容はやはり極甘LATIN POPではありますが...。



SILVETTI
/CONCERT FROM THE STARS
1978 SPAIN HISPAVOX


SIDE-A
1. SUN AFTER THE RAIN
2. SKY LAB
3. LOVE SECRETS

SIDE-B
1. VELVET HANDS
2. GOODBYE MANHATTAN
3. ONE NOTE SAMBA
4. CONCERT FROM THE STARS

SALSOULレーベルよりリリースの76年のDANCE CLASSIC「SPRING RAIN」でその名が広く知られるSILVETTIことBEBU SILVETTI。近年はPLACIDO DOMINGOのPOPアルバムや、LUIS MIGUEL・ROBERTO CARLOSなどのロマンティック系LATIN POP歌手を数多く手掛けるなど、今やスペイン語圏を股に掛け活躍する大物プロデューサー&アレンジャ−として名を馳せています。
このレコードは「SPRING RAIN (WORLD WITHOUT WORDS)」に続いてリリースされた2ND アルバムで、SILVETTIはプロデュース、オーケストレーションを含むアレンジ、ピアノ・シンセ等鍵盤演奏を1人で行っており、その他の演奏は全てスペインのミュージシャンによるもの。やはりここでも、SALSOUL ORCHESTRAやLOVE UNLIMITED ORCHESTRAなどと双璧をなす、甘いイージー・リスニング仕様のストリングスと女性コーラスに彩られたせつな系ダンス・ナンバーが大半を占めており、アルバム冒頭の余りにもメロウなミディアム・ダンス・ナンバーA1は中でもキラー・トラックと言えるのではないでしょうか。他にも、中間部が「SPRING RAIN」そっくりなA2、比較的BPMの速いPOP LATIN DISCO〜B1、すっかりSALSOULなLATIN DISCOに生まれ変わった、ANTONIO CARLOS JOBIM作のBOSSA STANDARD〜B3、ピアノとオーケストラによる映画音楽的で壮大なスロウ・テーマに中盤からディスコ・リズムが加わるタイトル通りのイメージのB4等、18番のダンス・ナンバー・タイプでそのアレンジ手腕を本領発揮。
さらに80年のアルバム「I LOVE YOU」では、女性コーラスとストリングスの多用は相変わらずながら、時代の流れに合わせてか、よりモダンなNY〜ミラノ系のダンス・サウンドを披露しています。



ORQUESTRA MIRASOL
/D'OCA A OCA ITIRA QUE ET TOCA
1975 SPAIN EDIGSA

SORRY! SOLD OUT

SIDE-OEST
1. SON LAS COSSAS DIL MOMENTO
2. VACILANDO EN CUARQUIER ONDA (URGENTE)
3. ESTATS, TAPADORES I PLUMEROS, FINALMENT NO SE QUE DIR-TE

SIDE-SUD
1. NOT MUERMOS
2. FINO EN ONDA. RESERVA
3. SI HAY VIENTO, DEJAMOS DE REMAR
4. FREED'S FUNK

SIDE-NORD

1. OBRIU LES FINESTRES
2. BEBA COLO-CAO
3. JARRET
4. TO DE RE PER A MANDOLINA I CLARINE

SIDE-EST

1. THE NIGHT OF THE LIVING SEMIS
2. NO VULL ESSER MUSIC, PERQUE TINC MALALTS EL CAP I EL COR
3. COMPANY DE LA S.E.A.T.


BARCELONA周辺のジャズ〜前衛音楽畑のセッション・ミュージシャンが集まって生まれた、プログレッシヴ・ラテン・ジャズ・バンド。彼等の音楽は、1STアルバムのタイトルにちなんで「SALSA CATALANA」と呼ばれていたそうです。鍵盤奏者のVICTOR AMMANNをリーダーとし、2NDアルバムにあたる、2枚組大作のこの盤当時のメンバーは、DAVE PYBUS(SAX)、SANTA SALAS(PERCUSSION)、GUSTAVO QUINTEROS(DRUMS)、XAVIER BATLLES(BASS)の5人。加えて、PIC-NICやOMといったバンドのメンバーとしてプログレ・ファンに知られ、ソロ・アルバムも多い名ギタリストのTOTI SOLERを始め、総勢30名以上のミュージシャンがサポートしています。
収録曲では、BASS・DRUMS・PERCUSSIONによるタイトでファンキーなリフに徐々にメロディ楽器が重なりテンションの高まって行く長尺JAZZ FUNK〜OEST-1、AMMANNのMOOGがリードを取る初期AZIMUTHのようなMELLOW FUSION〜OEST-3、シロフォンとビブラフォンで味付けされたLATIN FUSION〜SUD-2、アルト・サックス&ビオラがハモるリフの間を縫うハンコック・ライクなクールなフェンダー・ローズのソロがフィーチャーされた、HEADHUNTERSを思わせるFUNK NUMBER〜SUD-4、またもやローズがメインのBRASILIAN FUSION〜NORD-2、今度はBOB JAMES〜RICHARD TEE辺りを連想させるピアノとストリングスが穏やかな曲調のNORD-3、MOOGのプログレッシヴなテーマで幕を開ける6/8リズムのAFRO-CUBAN JAM〜EST-1、レイド・バックしたスロウ・ビートとSALSAが往来するEST-2、と2枚組のボリューム故に聴き所もたくさんありますが、総括すると、ラテン〜ブラジル音楽とクロスオーヴァーした70年代のJAZZ FUSION潮流を凝縮したような内容になっていると言えましょうか。
その後バンドはMIRASOL COLORESと名を変え、70年代後半には3枚のアルバムをリリース。また、リーダーのAMMANNは、MIRASOLと平行して、よりポップでオーセンティックなラテン音楽〜サルサの大所帯バンド、ORQUESTRA PLATERIAにも参加しています。近年、AMMANNはORQUESTRA MIRASOLを再編、99年にはアルバム「VIRGEN MORENA」も出されていました。



NURIA FELIU
/NURIA FELIU
1967 SPAIN HISPAVOX


SORRY! SOLD OUT

SIDE-A
1. MAI NO GOSES (ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER)
2. POSTER MAI (I SHOULD CARE)
3. LA VERGE INUTIL
4. ALFIE
5. SOTA UN CIRERER FLORIT
6. FLOR DE SEGONA MA (SECOND HAND ROSE)

SIDE-B
1. NO TENS REMEI (TEACH ME TONGHT)
2. UN DIA DE PLUJA (HERE'S THAT RAINY DAY)
3. CREC EN TU (I BELIEVE IN YOU)
4. EN SAN FRANCISCO (I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO)
5. JA ESTIC BE AIXI
6. RECORDARE L'BRIL (I'LL REMEMBER APRIL)

BARCELONAを含むカタルーニャ地方特有の言語で歌われるカタラン・ポップ。60〜70年代にNOVA CANCO(ノヴァ・カンソ)といわれる音楽ムーヴメントにより、大きく飛躍し広がりを見せたこのジャンルにおいて、男性ではJOAN MANUEL SERRATやLLUIS LLACH、女性ではMARIA DEL MAR BONET、GUILLERMINA MOTTAやこのNURIA FELIUが代表的な歌い手とされていますが、独特のFOLK SONGを発展させてきた、そんなカタランの歌手達の中で、特にジャズやミュージカル・ソングを好んでカタルーニャ語に翻訳して歌うことの多い彼女。60年代半ばには同じスペインの盲目JAZZ PIANIST〜TETE MONTELIUのQUARTETと一緒に録音したアルバムやJAZZ ORGAN奏者LOU BENNETTとの共演盤も残しています。
このアルバムも大半がJAZZ STANDARDのカタルーニャ語カヴァ。全編にウェットな感触のストリングスが施され、時折派手なブラスも切り込んでくる、イージー・リスニング・ジャズ・ヴォーカル・アルバムになっています。彼女はイタリアのORNELLA VANONIにも似た声質で、スペイン語ともまた一味違う言葉の響きをもつカタルーニャ語で歌われるジャズ・ソングはかなり独特。
収録曲では、中盤で木金管が加わって倍テンポになり、さらにビートの効いたリズムに変わるA1、気持ち良さそうにスイングするオリジナルのA3やB3、お馴染みBURT BACHARACHのA4、これまたオリジナルのBIG BAND BOSSA〜SAMBAナンバーB5、ラテン・リズムとスイングを行き来するB6など、JAZZやVOCAL好きもきっと満足する好演です。
90年にはTETE MONTELIUとのリユニオン録音も残すなどしており、 現在もバルセロナを中心に活動中のようです。



MOCEDADES
/LA OTRA ESPANA

1977 SPAIN NOVOLA


SIDE-A
1. LA OTRA ESPANA
2. MARINERO DE AGUA DULCE
3. CHARANGO
4. EL AFILADOR
5. GOIZALDEAN

SIDE-B
1. DIERON LAS DOCE
2. LA VIAJERITA
3. QUE PASARA MANANA
4. QUIEN ES EL
5. DONDE HABRAN IDO


バスク地方の中心都市BILBAOで、60年代後半に、BEATLESやFOLK、SPIRITUAL SONGSを愛好していた、URANGA4兄弟姉妹とBLANCO2兄弟を中心とする8人の学生達により結成されたポップ・ボーカル・グループ。プロデューサーのJUAN CARLOS CALDERONに見出され69年にデビュー。というような経歴からすると、日本で同時期活動を始めた「赤い鳥」などにも似ているような気がします。73年に重厚なバラードの「ERES TU」がスペイン国内で大ヒット、ユーロビジョンのソング・フェスティバルで2位を獲得、さらに「TOUCH THE WIND」というタイトルで英語圏でもリリースされ、74年にアメリカでもTOP10ヒットを記録しています。ここに掲載のアルバムの頃には、既にメンバーのSERGIO BLANCOとESTIBALIZ URANGAが脱退していて6人組になっていました。その2人はというと、CARPENTERSを模したようなFOLK DUO「SERGIO Y ESTIBALIZ」として再デビューしています。
このアルバムは彼等の通算6枚目のアルバムで、アメリカ盤も、ラテン音楽界の大物プロデューサーHARVEY AVERNEのCOCOレーベルよりリリースされていたそうです。
JOSE FELICIANO風FOLKY POP〜A1、J.C. CALDERONによる優しいメロディと瑞々しいアレンジ、そしてハーモニーが見事に調和したミディアム・ソフト・ポップA2、3+2拍子の変則ハーモニー・ワルツ?のA5、南米フォルクローレ調A3&B2、MOR POPバラードなB3&B5、等々、いずれの曲においても、重厚でありながら柔らか味の有る、魅力溢れる混声コーラス・ワークが全開となっています。その素晴らしいハーモニーは一部ソフト・ロック・ファンにもアピールしているようです。
アメリカのポップス史においては、一発屋的存在としてかすかにポップス・ファンの記憶に留められている彼等ですが、スペイン語圏では70年代から今までずっと押しも押されぬ人気グループのままで、一部メンバー・チェンジをしながらも、最新作のディズニー・ソング集に至るまで、これまでに20枚以上のアルバムをリリースしています。



SERGIO Y ESTIBALIZ
/
CANCIONES SUDAMERICANAS
1978 SPAIN NOVOLA


SIDE-A
1. MOLIENDO CAFE
2. BAHIA
3. EL HUMAHUAQUENO
4. A LA ORILLA DE UN PALMAR
5. CAMPESINA SANTANDERIANA

SIDE-B
1. GUANTANAMERA
2. DOS ARBOLITOS
3. SI VAS PARA CHILE
4. MANANA DE CARNAVAL
5. ALFONSINA Y EL MAR


左項のポップ・ボーカル・グループ、MOCEDADESを72年に脱退したカップルのSERGIO BLANCOとESTIBALIZ URANGAが組んだ男女ボーカル・デュオ。73年に、A&M風ポップ「BUSCAME」で再デビューし、1ST ALBUMをリリース。75年にはユーロビジョンのフェスティバルにも出場しています。
やはり70年代の男女デュオを代表する存在のCARPENTERSはかなり意識していたようで、結構イメージの近い曲があったり、さらに1ST ALBUMでは「TOP OF THE WORLD」をカヴァしたりもしています。その辺は、MOCEDADESのアルバムも手掛けていた彼らのプロデューサーJUAN CARLOS CALDERONの狙いもあったのかもしれません。
さて、このアルバムは、ラテン・アメリカの国々の有名曲を集めて歌った企画性の強い、彼らの6枚目のアルバム。それぞれが元々はネイティヴ度の高い楽曲の数々を、CALDERONの洗練されたアレンジと、伸びやかなESTIBALIZの声をメインにした、あまりあくの強くない清涼なハーモニーで、さらりと聞かせてくれます。
ワウ・ギターが入り、管弦アレンジがラウンジ−なミディアム・テンポのラテン・ソウル〜ディスコ調「コーヒー・ルンバ」(元々ベネズエラの曲だとか)A1、前曲のテンポとアレンジを引き継ぐブラジルARY BARROSO作サンバ曲A2、ソフト・ポップ〜ラテン・フォーク調アレンジのメキシコのランチェーラ曲A4&B2(LINDA RONSTADTも歌っていました)、SANDPIPERSなどでもお馴染みキューバの名曲B1、再度ブラジルからメロウなボレロ調になった黒いオルフェ「カーニバルの朝」B4、などは比較的ポップ度が高い仕上がりにと化粧直しされています。他には、MERSEDES SOSAで有名なB5など、アルゼンチン、コロンビアやチリのフォルクローレ曲も取り上げています。



SOLERA
/SOLERA
1973 SPAIN HISPAVOX


SIDE-A
1. NOCHE TRAS NOCHE
2. UNA SINGULAR DEBILIDAD
3. LINDA PRIMA
4. LA TEMPESTAD
5. TIERRA MOJADA
6. EL DISCIPULO DE MERLIN

SIDE-B
1. VOLVERAS
2. CALLES DEL VIEJO PARIS
3. JUAN
4. AGUA DE COCO Y RON
5. TIEMPO PERDIDO

それぞれが他のバンドのメンバーとして活動していた、JOSE MANUEL MARTINと、その兄弟VICTOR MARTIN、JOSE MARIA GUZMAN、 RODRIGO GARCIA、の4人組FOLK ROCK BAND、唯一のアルバム。
MARTIN兄弟はFOLK MUSICを、RODRIGOは、BUFFALO SPRINGFIELDのようなUS WEST COAST ROCKとBOB DYLANを好み、GUZMANはBEATLESに強く影響を受けていたそうです。このように少々音楽志向の異なる4人とも曲作りが出来たため、それぞれの個性が反映された、英米のロックの中間を行くような多様性に溢れる楽曲とサウンドによりアルバムが構成されることとなったのでした。
BEACH BOYS〜ASSOCIATION系シャッフル・ビートのハーモニー・ポップA1、後半ラテン・フォークに移行するFOLKYなA2、BEATLES風FOLKワルツA5、よりJOHN LENNONの影が強く感じられるGUZMANによる美しいメロディのバラードB3、WEST COASTサウンドとビートルズのようなメロディがミックスされたFOLK ROCK曲のB4、などなど楽曲的に大充実なアルバム。そんな中で当時スペインでは、RODRIGOの歌う正にBOB DYLAN的なFOLK SONGのA3と、B4と同路線のB2がヒットしたそうです。
バンドはこの1枚のみを残して発展解散し、GUZMANとRODRIDOは、共にこの後「CANOVAS, RODRIGO, ADOLFO Y GUZMAN (C.R.A.G.)」という、SOLERAのサウンドを引き継ぐやはりFOLK ROCK指向のグループを結成。そしてリリースしたのが右に紹介するアルバム「SENORA AZUL」でした。



CANOVAS, RODRIGO, ADOLFO Y GUZMAN
/SENORA AZUL
1974 SPAIN HISPAVOX


SIDE-A
1. CARRUSEL
2. SOLO PIENSO EN TI
3. EL RIO
4. DON SAMUEL JAZMIN
5. SI PUDIERAS VER
6. NUESTRO PROBLEMA

SIDE-B
1. BUSCANDO UNA SOLUCION
2. SUPREMO DIRECTOR
3. MARIA Y AMARANTA
4. EL VIVIDOR
5. SENORA AZUL

左で紹介の「SOLERA」のメンバー〜GUZUMAN & RODRIGOに加え、「LOS BARDOS」「MODULOS」などのバンドで活動していたJUAN ROBLES CANOVASとADOLFO RODRIGUEZによって結成された、名前からも連想されるようにスペインのCROSBY, STILLS, NUSH & YOUNGとでも言うことのできる、4声ハーモニーが爽やかなFOLKY ROCK BAND。「SOLERA」でのWEST COAST ROCK指向をさらに推し進めたようなサウンドになっています。
まずアルバム冒頭のA1からして、アコースティック・ギターのカッティング+アナログ・シンセのイントロ〜爽快なサビのハーモニー〜BEATLESの「PENNY LANE」風のインタール−ド挿入、のなんとも素晴らしいFOLKY ナンバー!。他にも、アルゼンチンのLEON GIECOにも似た歌声のRODRIGOによるフォーク・ナンバーA2、管もバック・アップしたR&B味のミディアムA4、SOLERA時代を受け継ぐGUZMAN作の美メロ・バラードB4、マリンバ&スライド・ギター入りの緩やかなLATIN FOLKのB1、等々、このアルバムはSOLERAに負けず劣らずの内容の好盤。
こんな充実したレコードを作りながらも、70年代に彼等が残したアルバムはこの盤のみでした。CANOVASは翌75年くらいから、前衛演劇やミュージカルの音楽作家としての活動も行うようになっていったそうで、一方、GUZMANは80年代に入ると、NEW WAVEに接近したバンド「CADILLAC」のフロント・マンとしてアルバムをリリースしています。その後C.R.A.G.は84年に再結成、「QUERIDOS COMPANEROS」「C.R.A.G. 1985」の2枚のアルバムを録音。さらにCANOVASが抜け、「RODRIGO, ADOLFO Y GUZMAN」として現在もライヴなどを行っているようです。




VENENO
/VENENO
1977 SPAIN CBS

SORRY! SOLD OUT

SIDE-A
1. LOS ANIMALES
2. LA MUCHACHITA〜CANCION ANTINACIONALISTA ZAMORANA
3. INDIOPOLE

SIDE-B
1. LOS DELINCUENTES
2. APARTA EL CORAZON DE LAS MANGUERAS
3. SAN JOSE DE ARIMATEA
4. NO PIDO DE MUCHO

KETAMAやROSANA、ROSARIOといったアーティスト達が日本でも知られている、NUEVO FLAMENCO(フラメンコとロックやポップスのミクスチャー)のベテラン・シンガー〜KIKO VENENO。FRANK ZAPPA、BOB DYLAN等にも影響を受けたという彼の音楽は、フラメンコとR&Bやロック、ファンキーなリズムとのブレンドが絶妙で、ボーカルはフラメンコ的な情熱唱法ではなく、DYLAN系の愛嬌溢れるどこかとぼけた感じがするものなので、オーセンティックなフラメンコには抵抗があるようなひとでも、きっとすんなり聴けてしまうはず。
そんな彼のまだ荒削りな1ST ALBUMがこのレコード。フラメンコ・ロックの名バンドPATA NEGRAを後に結成する、RAIMUNDO & RAFAEL AMADOR(共にGUITAR)兄弟に加え、DRUMSとBASSを含むグループ形態。AMADOR兄弟は二人ともフラメンコ・ギターの名手で、時折BLUESYなフレーズも交えるその素晴らしい腕前と、音圧の高いクリアな録音のスパニッシュ・ギターのサウンドには圧倒されるばかり。中でも、重量感のあるビートに乗って2人のギターが重なって転がる、迫力のフラメンコ・ロックA2、暴力的なまでに豪快な16 BEATのファンキー・ロックン・フラメンコB3は抜群のかっこ良さ。
このアルバム1枚でグループは解消、以降KIKOはソロでレコードをリリース。ベスト盤を除く2001年のソロ最新作「FAMILIA POLLO」も、97年のアルバム「PUNTA PALOMA」共々大推薦盤。また彼は、ロリータ・ヴォイスが魅力のフランス出身フィメール・シンガー〜CATHY CLARETの、昨年日本でもヒットした最新アルバムのプロデュースも手掛けています。



CECILIA
/CECILIA
1972 SPAIN CBS

SORRY! SOLD OUT

SIDE-A
1. FUI
2. DAMA DAMA
3. SENOR Y DUENO
4. MI GATA LUNA
5. LLORA
6. PORTRAITS AND PICTURES

SIDE-B
1. AL SON DEL CLARIN
2. CANCION DE DESAMOR
3. FAUNA
4. MAMA DON'T YOU CRY
5. NADA DE NADA
6. LOST LITTLE THING

生まれはマドリッドでしたが、外交官だった父親の仕事のため、イギリスやアメリカで幼少期を過ごした彼女は、滞在中にFOLK MUSICを好んで聴き、歌い演奏するようになっていました。そしてスペインに帰国後'68年20才のとき、英詞のブルージー・サイケ・フォーク・バンド「EXPRESION」のシンガーとしてEPを1枚だけ録音。その後ソロ・シンガーとして71年に再デビュー。フォーク的なA1、B5等のヒットを経てリリースした1STアルバムがこのレコード。アコースティック・ギターとパーカッションをメインに、ソフトなオーケストレーションが施された、ラテン風味のポップ・フォーク・サウンドに、オトナに成りきれないながらもそれでいて芯の強さも感じさせる彼女のヴォーカルが映えています。
シングル曲や、マイナー調ボッサ・テイストのA4、英詞の可愛らしいバブルガム・フォークB4なども良い曲ですが、特に、キャッチ−なメロディの軽快なラテン・フォーク〜ソフト・ロック的ナンバーのB3が白眉。
この盤のPRODUCER〜JUAN CARLOS CALDERONは、元々JAZZ PIANISTで、自身のJAZZ録音も残す一方、今回紹介のMOCEDADESやSERGIO Y ESTIBALIS等ポップ・アーティストのための作曲やアレンジも数多く手掛けるという職業音楽家でもあり、日本で言ったら大野雄二氏や鈴木宏昌氏のような存在だったと言えるかもしれません。
彼女はもう2枚のアルバムを残して、76年に不幸にも交通事故で亡くなってしまいました。死後の83年には未発表曲集も発売されています。



PAULO DE CARVALHO
/PAULO DE CARVALHO
1977 PORTUGAL ORFEU

SORRY! SOLD OUT

SIDE-A
1. EUROSOM, LDA.
2. A ROSA E O CRAVO
3. CANTO, E SEI PORQUE
4. IDADE A BEIRA-MORTE
5. CANTO DE ESPERANCA

SIDE-B
1. AMOR SEM PALAVRAS
2. GAIVOTA DE LISBOA
3. CHUTA AGORA, VA!
4. LARANJAS DE PORTUGAL
5. QUAL E COI$A, QUAL E ELA?
6. MAFALDA

60年代に自国のポルトガルや隣国スペインで人気を博した、英詞でビート・ロックを演奏するバンド〜OS SHIEKSのドラマー兼コーラスを担当していた、リスボンの生まれの彼は、68年のバンド解散後、FLUIDO、BANDA-4、THILO'S COMBOなどのグループへの参加を経て、70年代に入るとシンガーとしての素質を開花。ポルトガル国内やブラジルなどにおける数々のソング・フェスティヴァルにソロ・アーティストとしてエントリー〜入賞するようになっていました。初めのうちは他人の書いた曲を歌っていたようですが、徐々に作詞・作曲活動も始め、ジャズやソウル・ミュージック、ブラジル音楽、アフリカ音楽、そしてもちろんファドからの影響を表出。73年にはマドリッド録音でスペインのミュージシャンと共演した1ST SOLO ALBUMをリリース。75年のアルバムに続くこの3RD ALBUMでも、オリジナリティ溢れる歌手および作家としての才能を垣間見ることができます。
ストリングス・フィーチャーのメロウ・ディスコ・インストA1、ピアノ・トリオをバックに歌う伊達男なSLOW JAZZ WALTZ〜A2、アフロ・フォーク〜A5、AORポップ・ミディアムB1、アコースティック・ギターと口笛、アコーディオンのみの伴奏によるBREEZYな SLOW FOLKナンバーB2、ピアノのバッキングがパーカッシヴでリズム隊もタイトかつグルーヴィーな16ビート曲B3、ムーグ&エレピを伴うSAMBAリズムの FUSIONナンバー〜B5、口笛でハモるFOLKインストB6など、楽曲やアレンジからはモダンなセンスの良さが感じられます。。
彼はその後も、1STを録音したマドリッドなどでたびたびレコードを製作。94年にはファド歌手DULCE PONTESとのデュエットを含むLONDON PHILHARMONIC ORCHESTRAをバックにしたファド・アルバム「ALMA」もロンドンで録音。また、99年のアルバム「MATRIA」にはブラジルのIVAN LINSがゲスト参加していました。今年は彼の音楽活動40周年にあたり、2枚組の記念アンソロジ-編集盤がリリースされています。



TROVANTE
/BAILE NO BOSQUE
1981 PORTUGAL VALENTIM DE CARVALHO


SIDE-A
1. BALADA DAS SETE SAIAS
2. GENERICO
3. PASSAGEM POR SEVILHA
4. COMPANHA
5.LISBOA

SIDE-B
1. PRIMA DA CHULA
2. ATADOS E SIMPLES
3. PESCARIA
4. OUTRA MARGEM
5. BICHOS
6. FINAL

ポルトガルのトラッド・フォーク〜舞踊音楽と、ROCK・JAZZの融合を試み、アフリカやブラジルの音楽をも通過したような斬新な音楽性が、同国の後進アーティスト達に大きな影響を与えたという、ポルトガルのポップ・ミュージック史において重要な位置を占めるグループの、これは3RD ALBUM。
メンバーはARTUR COSTA (SAX, FLUTE), JOAO GIL (ACOUSTIC GUITAR), NUNO REPRESAS (PERCUSSION), LUIS REPRESAS (LEAD VOCAL & BANDOLIM), MANUEL FARIA (PIANO、EL-PIANO & ACORDION)、の5人。加えて、現MADREDEUSのベーシストFERNANDO JUDICEや、サポート・ドラマーがゲストで参加。
このレコードでも、ソロ・リード楽器の旋律やリズムは確かにJAZZやROCK的に聞こえる瞬間があるのですが、彼等の音楽の土台となっているのは、6/8リズムを多用する幻想的なTRAD FOLK。また、ファドやブラジルではショーロに使われるバンドリン、そしてフルートもサウンドのアクセントになっています。アルバムのハイライト・トラックは、6/8リズムのSCAT NUMBERで、テーマ・メロディはトラッド的ながらもFOLKY なJAZZ SESSIONナンバーになっているA3、同タイプのB3、アコーディオンを入れ、ブラジル北東部のFORROのリズムを取り入れたB1。ハーモニーも爽やかなLATIN FOLK ROCK調A4、辺りでしょうか。
彼等は77年から10枚のアルバムを残し、92年に解散。ボーカリストのREPRESASはソロに転向後CUBAに赴き、NUEVA TROVAの旗手〜PABLO MILANESと交流を持つなどの遍歴を経て、現在はポルトガルの国民的人気ポップ・シンガーになっています。また、99年には一夜だけTROVANTEのリユニオン・コンサートが開かれ、その録音はCD化もされていました。



FERNANDO GIRAO
/CONTOS DA EUROPA TROPICAL

1982 PORTUGAL RADIO TRIUNFO

SORRY! SOLD OUT

SIDE-A
1. COLEIRA DE SOLIDAO
2. HISTORIA DO CALCAO
3. SUPER DONA
4. QUANDO TUDO ISSO VEM

SIDE-B
1. JOANA (DO VAO DA ESCADA)
2. DO OUTRO LADO DA BARREIRA
3. INTELECTUAL DE CAFE
4. CONVALESCENCA


ポルトガルとブラジルは公用語が同じだけに、両者間ではミュージシャンの交流も盛んなようですが、この人もポルトガルに移り住んだアーティストのひとりでした。そして、ブラジル音楽だけでなく、ロック、ジャズから、アフリカやアラブの音楽要素まで取り入れる柔軟な音楽性を持つ、シンガー、ミュージシャン、コンポーザー、作詞家でありプロデューサー。
サン・パウロ生まれで、リオでクラッシック・ギターを学び、14才頃ロック・バンドのボーカリストとして活動開始。17才の時ポルトガルに渡り、"PENTAGONO"後に"HEAVY BAND"などというロック・バンドに参加。HEAVY BANDでANGOLAに渡り、LIVEを続けながら3年を過ごす間にアフリカ音楽の影響を受けたようです。そして、さらにパリを経由して、ブラジルに一時帰国し、ブラジル音楽に自らのルーツを再確認。そして、ポルトガルに戻り、リスボンで録音されたのが、ブラジル&アフロ・ルーツを強く感じさせるこの1ST ALBUM。
"VOO LIVRE"(自由飛行)と名づけられた5人組固定バックバンドを伴っており、自身もBRASIL〜LATIN JAZZのリーダー・アルバムをリリースするドラマーのZEZE N'GAMBIも含まれています。
イントロと後半の口パーカッション・インプロヴィゼーション・ソロも熱い、SPEEDY LATIN ROCK'N FUSIONのA1、エレピをメインにしたアーバン・メロウ・ボレロ〜A2&4、MEDIUM MELLOW SAMBA 〜A3、パーカッションのリズムがブラジルからカリブを通過したようなトロピカルなB2、高速AFRO-BRASILIAN FUSION〜B4などからは、結束が強く演奏能力の高い、ハイ・レベルのバンド的なアンサンブルを聴く事ができます。
このアルバム以降彼は、PEDRO RUY-BLAS等スペインやポルトガルのアーティストのアルバムにゲスト参加したり、アメリカ〜ロス・アンジェルスの"MUSICIAN INSTITUTE OF L.A. (UCLA)"に講師として招かれ、一時アメリカに滞在するなどしています。ポルトガル再帰国後の近年は、98年にアルバム「CANTOS DA ALMA」をリリースするなど、地道にライヴ活動を続けるほか、今回紹介したスペインのデュオSERGIO Y ESTIBALIZやブラジルの女性歌手FAFA DE BELEMに曲提供もしている模様。



EUGENIA MELO E CASTRO
/TERRA DE MEL
1982 PORTUGAL POLYDOR


SIDE-A
1. BECO DO TISO
2. DIFFERENCA HORARIA
3. EM MILIMETROS
4. VIRA VIROU

SIDE-B
1. CAIS
2. E ASSIM
3. COMECAO DE MAR
4. TERRA DE MEL



ポルトガルとブラジルの2つの国にまたがって活動する個性派女性アーティスト。70年代後半から女優として活動していた彼女は、80年に出演したTV番組で上項のTROVANTEと共演、その時からディレクター、歌手、作曲家としての音楽活動も始めています。その後、当時MILTON NASCIMENTOの音楽ディレクターだった、SOM IMAGINARIOのキーボーディスト〜WAGNER TISOに招かれてブラジルに渡航し、交流の中でブラジル音楽との関わりを強めています。
そのTISOのディレクション&アレンジにより、ブラジルとポルトガル両者のミュージシャンを集め、リスボンで録音された1ST ALBUMがこのレコード。ブラジルの男性MPBデュオ〜KLEION E KLEDIRも参加しており、半数以上の曲が彼女とKLEITON RAMILとの共作。ブラジル音楽と、ポルトガルのトラッド・フォーク(6/8)のリズムを使い分け、そこにモダンなメロディを載せる、というオリジナルなスタイルを産んでいます。また、彼女の歌声は、ファドのようにメリスマの効いたダイナミックなタイプではなく、ソフトで透明感のある伸びやかなハイ・トーン・ボイス。
ブラジル北東部系のフレーヴォ・リズムのスキャット・ナンバーA1。トラッド・フォーク色と共にミナス・テイストも感じられる優しいメロディが特徴の6/8ナンバーA2&B1、爽やかなフォーク・ワルツA4&B4、まるで海風のようなミディアム・フォークB3、などで彼女のボーカリスト、ソングライターとしての資質を堪能できるはず。
TISOはこの後も彼女のレコードやショウに深く関わっており、そのパートナーシップは現在に至るまで続いているようです。
昨年、音楽活動20周年を記念した編集アルバム「EUGENIA MELO E CASTRO. COM」がリリースされましたが、TOM JOBIM、CAETANO VELOSO、CHICO BUARUQUE、GAL COSTAなど、ブラジルの有名アーティストとの共演曲ばかりを集めたという、非常に豪華な内容でした。


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