■FISHING REPORT 9月11日 江戸前ハゼは奥が深いぞ


おもむろと私と息子の3人で羽田の海老取川へハゼ釣りに出かけた。2週間ほど前におもむろが偵察に来ており、多分釣れるだろうという甘い目論見でやってきた。当日朝は雨が降るもののすぐに好天して釣り日和だ。道具はぶっこみを2本、ミャク釣りを1本、ウキ釣りを1本用意した。幼い子を連れているのか、いろいろな人が声をかけてくれる。そのなかで一人の老人のはなしをしよう。

日新釣会・三村さん。フィッシングベストの刺繍を覗き見しただけなので良く覚えてないが。朝から息子に語り掛けてくれて釣れた魚も私たちのバケツの中へ放り込んでくれた。にこやかな顔とおしゃべり好きな御老人だ。19歳の孫がいるということなので70歳をちょっと越えたくらいか。私たちが5匹くらい釣る間に、25匹くらい釣り上げて全部魚をくれた。『ミャク釣りのハリスは15cm以上にするとハゼのアタリが取り難いよ』と アドバイス。にこっと笑ってまた釣り上げる。『毎日来てるからまたおいで』と他の釣り場所へ去っていった。

当日は昼に向けて下げ潮だったので午後からが勝負と意気込んだが、酒もかなり回って来た。子供の竿にはルアーをつけてやると水に落としたり巻いたり繰り返す。うんうんいいぞと父親としては満足。教育は順調だ。2歳ではこんなもん。おもむろと私は2人あわせて40〜50匹のハゼしか釣れなかった。でもまあいいやと帰り支度をしていたところ、例の老人が来て今度は60匹私たちにくれた。別の人にも60匹あげたそうだ。何という事だ。おそろしきは老人パワー。まさしく名人技とでも言うべき。お礼と誉め言葉に、『毎日来てるから』とまた笑う。私たちのあまった餌も明日使えるからおくれというので喜んで差し上げた。しかし上には上がいるとはこの事だ。毎日の修練の積み重ねこそが肝心なのだ。とてもいい経験をさせてもらった。またいつか会うのだろうと思う。あの老人と。


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