いやーインターネットを通じて知り合った人たちが１０人も集まって仕立船でマダイを釣るなんてホームページ立ち上げのときには想像も出来なかった事。ともあれ１０人の釣り天狗、太公望が松輪港に集結したのであった。

今回の釣りには伏線があり、えびす丸釣り日記のちょろ松さんにハンドメイドの究極のマダイ竿を発注しており、この竿の製作のために３度にわたる綿密な打ち合わせ（俗に飲み会ともいう。）、相模庵の厳しい注文を越えて完成した相模庵スペシャルの試釣も兼ねた重要な日であったのだ。港に到着する頃には心配された雨も上がり松輪特有の殺気立った雰囲気もそのまま、１０人の釣り師が集合、あいさつを交わしすぐ船に乗り込んだ。

松輪港というのは嫌いな港だ。出港後、湾を出ると船が異常に多く一斉に出てくるので引き波がすごくて船が揺れる。うげげ、１０分後すぐ気持ち悪くなって、恥ずかしいからトイレに行くも吐くものがないので出るのは涙ばかりなり。ポイントに着くと早くも船団が形成されている。通称松輪瀬。開始早々なかじまさんが８００ｇを上げ、船内の士気が上がる。しかし右舷ではワラサのバラシを含め活気があるが、左舷は音沙汰無し。そこで余裕の相模庵、普段釣れないから全然気にならない。しばらくは竿の感触を確かめながらコマセを振って、待つわ〜、いつまでも松輪〜。そのうち気持ち悪くなってゲロゲロっと海に。

あまりにもアタリがないのであーぱんさんとバラシても良いからアタリ来いと話す。『よ〜し、それなら始めちゃうぞ〜』と缶チューハイをプシュー。おつまみにはピーセンと横綱ひねりを必ず持っていく。酒飲んでこれ食ってると船酔いしないジンクスがあるのだ。酔いも回ってアタリもないと眠たくなるのが常、すると竿先がポンと跳ねてあーオマツリかと思い周囲に確認するとどうやら祭ってないらしい。ゆっくりと巻くと魚の気配が、ラインは少し沖目に走りながら、しかしさしたる抵抗感もなく上がってくる。ビシをつかんだあたりから突っ込みが有り、ちょろ松さんはサバかなと言うが私はサバではないと確信していた。相模湾より濁りのある東京湾では水面近くまでは魚種判別しにくいが上がってきたのはメジマグロ、１．６Ｋｇ４６センチの魚体。

とりあえず食糧を確保。するとミヨシの大物＠さんにワラサの引き、しかしあえなくラインブレイク！ちょろ松さんがハリス＋２メートルで棚を取るように指示。ちょろ松さんにも強烈な引き、これも駄目。続いて相模庵にも！うとうととしていてふっと目が覚めたとき緩々に設定しておいたドラグから既に５メートル近く引き出されていた。さらに５メートル走って止まりスプールをサミングしながら竿を立てた瞬間、ワラサが走り一発でハリスがブッチリ・・・・。左隣のあーぱんさんもブツリ。嵐のようにワラサは去っていった。このタイミングで船中１本のみワラサゲット。さらには細かいアタリ。今度はアジだった。これはちょろ松さんに進呈。泳がせ釣りの餌にするもこれまた不発。

ポイントを移動し２０〜３０メートルの浅場を攻める。おっきなデブ＠さんがなんとも美味しそうな金メバルを！するとちょろ松さんが『相模庵さん当たってるよ』上げてみれば、私にも金メバル。体調も少し良くなって右舷を見学するとなんまるさんがちょうどイナダを上げていた、席に戻るとちょろ松さんがまた『相模庵さん当たってるよ。』竿を聞いてみるとおっ！ちょっと手応えありかな？うーんいい感じ、竿の弾力でなんなく魚が上がってくる。引きを楽しみながらゆっくり上げてくると、いぶし銀の魚体はまさしくクロダイ、一発で玉網取りして見たら、針はバックリ飲まれて鋭い歯で良く切れなかったものと思う。３９センチにしては１．４Ｋｇは太った、バスで言うとポットベリーなやつ。

本命のマダイはまたしても私には釣れなかったけれど結構な獲物がゲットできて、『今まで釣れなかったのは道具が悪かったんだな。決して腕が悪かったんじゃないんだ。』と一人納得する相模庵なのです。そして究極のテクニックとは酔ったり眠ったり席を離れたり魚に殺気を感じさせない事。釣るぞ釣るぞって意気込んでは駄目。これこそ究極の奥義、『相模庵酔拳釣法』の完成です。

参加された方は本当にお疲れ様でした。満足のいく釣果ではなかったかもしれませんが、また御一緒させてください。人数が揃えば仕立船も良いですね。次なる企画がすぐ立ちそうですね。