スルメイカにつくアニキサスという寄生虫について

アニサキスは回虫に似た寄生虫で、その成虫はクジラ・イルカなどに寄生します。  クジラなどに寄生するアニサキスの成虫は産卵し、虫卵を海中に散布させます。そ の後この虫卵はふ化し、第一期幼虫を経て、第二期幼虫がオキアミに寄生します。こ のオキアミがイカ、サバ、アジなど餌として食べられると、魚体中に寄生し第三期幼 虫をむかえます。さらに、寄生された魚をクジラ・イルカなどが食べると、それらに 寄生し成虫となります。

 人がアニサキスの幼虫に寄生されたイカ・サバなどを食べると、これが胃または腸 に寄生します。人体内では幼虫は成虫にはなれませんが、寄生したアニサキスの幼虫 によりアニサキス症を発症することがあり、その症状は、感染後約一カ月程度でおこ り、おう吐や腹痛を起こし、しばしば虫垂炎や腸閉塞、胆石症などとまちがえ開腹手 術されることがあります。治療法は、自然治癒することもありますが、その程度に よっては外科的に幼虫を摘出しなければならない場合もあります。

 防衛手段としては、食べる前にアニサキスを殺しておくことが重要で、その方法と して60℃以上の加熱や−20℃以下の凍結保存で死滅することがわかっています。 ですから加熱調理をするか冷凍ものの刺身では感染の恐れはありません。

また、スルメイカでは寄生虫と間違われるものとして、雄の生殖器官である精莢嚢の 中にある精莢というものがあります。これは、雄イカの精莢嚢に約100個入ってい て、人が触ったりして刺激を与えると動くため、寄生虫と間違われ苦情となることが あります。
また、精莢は白色で直径0.1o位、長さ0.5〜2p位のとげ状のもので、交接 (交尾)の際に雄が雌の口の周りに刺すようにして固定しますが、誤ってこれを食べ て口内に刺した事例があります。
 精莢が刺さると激痛を感じることもあり、自分で抜くことも困難です。いくらスル メイカが好きでも、スルメイカと交接するのが嫌なら、スルメイカの内蔵を生食する ことは止めた方が無難でしょう。

農林水産消費技術センター

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