端物釣りの楽しみ


ハモノ釣り、簡単に説明してしまえばフィッシュイーターの魚を小魚などを餌にして釣り上げようという釣りである。
その語は「ハモノ」「歯物」などと表記もされるが、正式には「端物」が正しいらしい。釣り雑誌記者が初めて「端物」という語を用いたと聞く。本命の釣り以外に竿を出すので半端な釣りってことで「端物」らしい。
のちに当記者はこの語を用いたことを反省している。なぜなら端物で釣れる対象魚は時に本命魚以上に高級魚だったりするからだ。今回は端物釣りについて書いてみる。

20才の頃だったか従兄弟と小アジを釣り、それを餌にゴムボートで沖に出てアジ餌の延縄(はえなわ)を仕掛けてみた。結果は小さなサメが1尾掛かっただけだった。しかし沈めた仕掛けの中にはハリスを千切られていたものもあった。どんなデカイ奴が食いちぎったのか?青年相模庵の心は躍った。そんな想いを現在まで引きずっている。

フィッシュイーターは獰猛である。そして引き強くファイトも激しい。これを釣るのはブラックバス、シーバス然り、非常に面白い。ハモノ釣りの対象魚は多岐にわたるが、ほとんどがルアーでも釣れる。これを本命ターゲット別に紹介したい。

まずキス釣り、船釣りでもボート釣りでも構わないが、相模湾の場合、冬〜春はスミイカ、アオリイカ、ヒラメ、スズキ、ホウボウが釣れる。初夏にかけてはマゴチも期待できる。相模庵はマダコも釣ったことがある。どれも高級魚である。餌はもちろんシロギスで、イカの場合は中型のキスでも構わないが、ヒラメやマゴチはピンギスのほうが食いが良いようだ。ただし弱りは早い。
船でアジを釣りにったら、水深にもよるが大型のヒラメ、マトウダイ、カンコ、イシナギがターゲットになる。餌はアジ、イシナギを狙うならサバが良いかもしれない。最大級クラスの魚が釣れるので仕掛けもごついものが必要になるだろう。 タイ五目や青物船に乗ったときも釣れたアジやイサキ、イワシを餌に悪戯心を出してみるとワラサ、カンパチなど思わぬ釣果に恵まれることがある。また相模湾西部ではヒラメも中型のものが期待できる。
イカダイという言葉がある。イカ釣りで小型のイカが釣れたら餌にしてタイを釣る。イカを食うくらいのタイだから小さいはずがない。 ときにイカブリといってブリが釣れることもある。
陸釣りでも充分端物釣りは可能。岸壁からのヒラメ狙い、青物回遊時の飛ばしウキ釣法で御馴染みである。

さて、買わない宝くじは当たらない。竿を出さないと端物は釣れないのである。あたりまえだ。しかしなかなか竿を出せないのも事実。端物釣りは確率の悪い釣りという印象があるからである。が果たしてそうだろうか?、その答えは相模庵は正しいとも正しくないとも言える。相模庵の場合は日計算で釣率70〜80%くらいか。専門に狙うとこんな感じである。 本命を釣っていて2本目の竿で端物なんだから釣れたらラッキーくらいの気持ちで、といいたいところだが、こと相模庵は端物のほうに気合が入りがち。だからキスやアジを釣っていても横目でチラチラと端物竿を見ている。本命が釣れないのはそのためであーる。(言い訳)

しかし、端物竿は、ほったらかしでは釣れないのである。まめにタナを取り直したりしないと、魚が食ったり、イカが乗ったりした時のアタリを見過ごす。特にマゴチやイカを釣る時のようにテンビン仕掛けを用いる時はオモリが底付近にあると、餌だけ食ってアタリが出ないこともある。イカが餌の魚の頭だけ食ってサヨウナラなんてことは良くある話。そういう小さなアタリを見逃さないためには餌の魚が底ギリギリを泳ぐようにタナ取りをまめにすることが肝要。底ギリギリに餌があればターゲットが少し動いただけで竿先にアタリが出る仕組み。マゴチの場合は上げ過ぎると釣れないという。マゴチは底から15センチ以上、上のものは食わないと有名釣具店のカリスマ店主は言った。青物の場合は逆に青物が餌の魚を見つけやすいようにタナを少し高めに取ってやる。置き竿とはいえいろいろやることはある。 アタリの話が出たので道具の話を少し。端物釣りの命はズバリ竿。竿先が軟らかく感度の良いもの、魚の食事を邪魔しないものであれば何でも良いのだと思う。相模庵は浅場ではフライロッドの改造品、深場ではマダイ竿を使用している。

端物釣りの魅力とは?やはり食い込みタイムと竿の突っ込みの瞬間であろう。ターゲットが魚を食い始めるとゴツゴツ、ゴツゴツっと、またイカの場合は竿先に微妙な変化を見せる。
来たか!、変化の無かった波に揺れるだけの竿先に生命感が伝わった時、釣り師の心はヒートアップ!。餌が小魚なのだからそれを食うやつは小さい魚ではないのだ。釣れれば美味しい食卓を飾る魚に間違いないのだ。興奮が治まるわけがない。
さあ、しっかりと食い込め!、そして一気に俺の竿先を突っ込ませてみろ!。竿先が海面に突っ込んだ瞬間、グイッと合わせを食らわす。ズシッとくればそれはもう至福のひとときだ。反対にスポッと抜けたりしたら脱力感である。食い千切られた魚を見ながら出るのは溜め息ばかりである。
数少ないアタリゆえ釣った釣らないのギャップはでかいし、ターゲットがどの魚だったのかがわからぬ釣りなので頭の中はヒラメだったかなー?いや、マゴチだったかもしれない、などと陥りやすい。釣った場合もサメやエイ、ウミヘビだと煮えきらぬ思いに苛まれる。この歓迎すべきでない魚たちは良く釣れる。釣り上げてみないとわからない楽しみと悔しさ。

端物釣りは信念の釣りである。まず、釣れたらいいやじゃなくて釣ってやるである。そう思ってないとアタリが少ないので飽きてしまうだろう。精神力の強さは我慢強さ、そこに釣れればいいやの楽天的な部分も加われば最強。端物釣りは、まず竿を出すところで勝負なのだと言いたい。竿を出さねば釣れない。しかし竿を出さない釣り師がいかに多いことか。竿を出した時点で50%、魚を手にしていると信じたい。ならば早起きして四隅の席を取って竿を出すべし。出来たらミヨシがいい。ミヨシは船の行き足方向、新しい魚を釣れる。で、左ミヨシは相模庵のために空けておいて欲しい。(笑)

最後に、端物釣りをするときに注意をすること、周りの人に迷惑をかけないように、のひとこととなる。それが早起きして四隅を確保したり、船長の移動告知時に急いで仕掛けを巻き上げたりすることにつながろう。他の人は本命の魚を釣りに来ている、もし自分が大物を掛けたら仕掛けを上げてもらうことにもなる。マナーを守って楽しいハモラー人生を送るべし。


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