鳥と海亀とダイバーの天国 ─ シパダン(8) ─
3月25日(土)
まだ夜も明けぬ頃、モーニングコールで起こされる。
とうとう最後の日となってしまった。
大急ぎでシャワーを浴びて、着替えてチェックアウト。
さすがにこのあたりは、毎朝30分で洗顔、朝食、歯磨き、着替えを済ませる
訓練を積んでいるため、得意である。
ホテルの下のアーケードの店は、まだ閉まったまま。
結局、ほとんど町を歩き回ることがなかったのが残念であった。
チェックインを済ませたが、出発までまだ1時間半以上も残っている。
お土産探しと、時間潰しに免税店に入る。
クアラルンプール国際空港の免税店は、本当に大きい!!
通路に沿って、横幅は200m、奥行き20mくらいの横にだだっぴろい形をしている。
おもちゃ売場では、日本の「どらえもん」のぬいぐるみが沢山ならんでいる。
アジアでも「どらえもん」は大人気のようだ。
ブランド物には興味がないので、素通りしてしまったが、
なかなか充実の品揃えのようだった。
搭乗ゲートへと向かう通路の真中に鎮座しているのがマレーシアの国民車
「プロトン」が輝いている。
価格は、日本円に換算して約200万円。もとはただのミラージュである。
結構高い。やっと普及してきたとはいえ、まだまだ一般の人には羨望の的である。
聞いてみると、この車をイギリスに輸出しているらしい。
その輸出価格は100数十万円。マレーシア人が手に入る価格よりもずっと安い。
輸出振興、外貨獲得の政策に沿っているものらしい。
店を回るのも飽きた頃、アナウンスがあり、飛行機に乗り込む。
無茶苦茶混んでいる。帰りの便もなかなか取れなかったが、なるほどと納得。
半分は日本人。半分はマレー系、インド系の人たち。
離陸してしばらく、テレビでニュースが始まる。CNNである。
と、何とトップ記事が地下鉄サリン事件。見覚えのある電車が大映しにされ、
倒れこんだ沢山の人の姿が目に入る。
アジアのトップニュースどころではない。世界のトップニュースだったのだ。
改めて、事件の大きさに驚くとともに、日本の安全神話が音を立てて
崩れていくのが感じられた。
さて、長い飛行機の旅の楽しみその1は、地方色豊かな機内誌に目を通すこと。
(といっても、大抵何が書いてあるか分からないのだが)
その2は、回りの人(一部スッチャンを含む?)とのおしゃべり。
その3は、日本で未公開の映画を見ること。
エコノミーしか乗ったことがないので、機内食を楽しみにするという
習慣がない。(その前に乗ったのはNWだったし)
ところが、帰りの機内食もなかなか美味しい。行きは、「どうせ成田で
積んだから美味しいのだろう」と思っていたのだが、どうやら認識を
改めなければいけないようである。
楽しみその2の映画。シルベスター・スタローンとシャロン・ストーンが
主役の「スペシャリスト」が上映される。
最初に、英語のテロップで「ハリウッドの承認を得て、一部内容をいじっている」
との注意書きが現れる。
最初は、その意味がよく分からなかったが、見ていくうちに分かってきた。
この映画は、日本では「激しいラブシーンとアクションシーン」が売りだと
聞いていたが、イスラムの世界では、この二つはタブーなのである。
だから、あともう少し、というところでカットが入ってしまうのである。(^.^;)
6時間の長旅を終え、やっと成田上空へと到着する。
やはり、片道1日半というのは遠い。だからこそ、自然が保たれるのだろうが。
成田は雨。低い雲が垂れこめていて、見るからに寒そうである。
そう、マレーシアは常夏でも、ここ日本ではまだまだ冬の寒さが
残っているのである。
飛行機を降り、この寒さに肌が触れた時点で、私の旅行気分は終ったのである。
そして、体には心地良い疲れを感じつつ、月曜日以降の仕事への意気込みに
満ちていくのである。
というのは大嘘。そんな訳はありません。
長いバカンスを取ってきたヨーロッパの人たちに影響され、
「何で日本の休みはこんなに短いんだ?」との悲しみが溢れていたのでした。
(( お わ り ))
長々と拙文に付き合ってくださり、ありがとうございました。
最初は一気に書き上げるつもりだったのに、なかなか時間がとれないまま
二カ月くらい放っておいたこともあり、文章のトーン、密度、言い回しなど、
ぐちゃぐちゃだったことと思います。
やっと書き終えた今、もう校正する元気がなくなってしまいました。
ということで、校正もせず、そのまま出してしまった失礼をお許しください。
ご質問等ありましたら、気軽にメールください。
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