AV野郎〜抜かせ屋ケンちゃん  撮影レポート



監督 望月六郎   配給 エクセス



カメラマンの石井さんから電話があった。
「望月さんのピンクなんだけど、どう?」
そう、『新・悲しきヒットマン』『鬼火』『皆月』などの話題作で数々の映画賞に輝いた
望月六郎監督が、十数年振りにピンク映画を撮るという。
異論はない!
僕にとっても久し振りのピンク。
さらに、監督も準主演で出演するという。楽しみだなー。
3月25日から6日間の撮影。

ピンク映画って?

ピンク映画は、以前日活の看板だったロマンポルノとは違う。
独自の製作体制と配給ルートを持つ、何十年前から制作費3〜5百万円の成人映画だ。
もうひとつの映画界とも言われる。
では、ピンク映画は他の映画より格下なのか?マイナーなのか?
否!
ピンク界が産んだ、現在日本映画界で第一線で活躍している監督は、望月六郎のほかに
若松孝二、中村幻児、滝田洋二郎、石川均、高原秀和など、枚挙に暇がない。
彼等がバリバリ撮っていた頃は名作といわれる作品も多い。
しかし、日活作品のようにビデオ化になっているものが少ないし、特に女性は
ピンク映画館には相当行きづらいから、観る機会はほとんどないだろうけど・・・。


こんなベッドシーンも・・ こんなにスタッフがいる

前張り(マエバリ)

ベッドシーン(からみと呼ぶ)のとき、もちろん本当にSEXしてるわけではない。
殆どの場合、アソコが見えないように前張りをしている。
女優の前張りは、肌色の伸縮性のあるテープであることが多い。
男優の場合、ずっと以前はテープだったが、ある時期からストッキングやバンダナなどを
イチモツにかぶせ、クルクルっと巻いてから根元でキュっとしばり、ボンボリのように
するのがはやった。テープだと剥がれやすいからだと思うが・・。
今ではそれに加え、巾着をかぶせるという方法もある。
まあ、テープを貼ると剥がす時に痛いし、かぶせ物の方が見た目にかわいいという意見もある。

 
STORY
職活動をしているケンにことごとく送りつけられる不採用通知。
気分転換に観ていたアダルトビデオの中のAVギャルに引きつけられ、
衝動的にAV製作会社に就職志願の申し込みに出かける。
「街に出て、女の子を連れて来い。そのコをここで脱がすことができたら採用だ」
しかし、慣れないケンにうまくやれるはずもなく、何人もの女のコに軽蔑の目で
見られ、ぐったりして街の片隅に座り込んでしまう。
そこへ、警備員のバイトをしている孤独な女の子が現れた。
ケンは色んな人生を背負った女達に出会いながら、盗撮、ハメ撮りなどの
AV助監督経験を積んで行く。
そんなとき、会社に借金取りのヤクザが来て、2500万すぐに返せと迫られる・・。

 
温泉
伊豆の温泉でのロケがあった。一泊である。
露天ブロで女湯を盗撮するシーンだった。
3月も末だったが、まだまだ暖かくはならず、河原の風は冷たい。
しかも、終わった時間が遅くて、みんなはついに温泉に浸かれずじまいだった。

SM
SMのシーンがあった。女優を縛るのに、緊縛師といわれるプロが呼ばれる。
一本のロープをたくみにあやつり、全身にロープを巻くように縛る。
素人にはとてもマネのできないワザは芸術的である。
ローソクをたらすのだが、使用するのは赤い和ローソク。
普通のローソクに比べると、熱くないのだ。
しかし、濡れ手ぬぐいでたたくシーンは本当にたたく。
女優さんのお尻がミミズバレになった。
かわいそうだった。

アフレコ(アフターレコーディングの略)
ピンク映画のほとんどはアフレコである。画面をみながらあとから声や音を入れるのだ。
シンクロ(同時録音)する予算の余裕がないのと、フィルムも少ないので、少しくらい
セリフを間違えたり、本番中に救急車などの余計な音を気にしなくてすむためだ。
喘ぎ声もアフレコだから、スタジオのマイクの前に立って、真剣な顔であえいでいる
様子は見ているとおかしいが、本人達はたいへんなのである、



なんとなくピンク映画の雰囲気がわかっていただけただろうか。
これだけじゃわからんですね・・。
ま、またチャンスがあればレポートします。


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