俺達に明日はない   監督 アーサー・ペン   ウォ―レン・ビーティー  
フェイ・ダナウェイ
ジーン・ハックマン
1968年公開
STORY
1930年初頭のアメリカ。
強盗で刑務所に行き、出所したクライド・バロー(W・ビーティー)は、テキサスで車を盗もうとする。
それを見つけたボニ―・パーカー(F・ダナウェイ)は、クライドのアウトローの体臭に引かれてしまう。
彼女はウェイトレスをしている退屈な日々が我慢できず、この片田舎から逃げ出したがっていた。
「このテキサスからミズーリまで派手にやらかそう。世間をあっと言わせてやろうぜ」
2人は刺激と冒険を求め、銀行強盗を繰り返しながらアメリカ中を疾走していく。
途中でC・W・モスという少年を仲間にするが、モスのヘマのせいで人を撃ってしまうクライド。
強盗はするが、今まで人を殺した事はなかった彼は初めてボニ―に弱みを見せる。
そして、前科者の兄、バックと再会してから、ギャング一味として常に新聞をにぎわすようになった。
警察の追っ手は厳しさを増し、彼らは逃げて身を隠すために精一杯になっていく。
追い詰められ、初めて平穏な暮らしにあこがれたボニ―とクライド。
しかし、もう逃げる事しかできなくなっていた。
女を喜ばすことが出来なかったクライドはついにボニ―と結ばれるが、もう2人には明日がなかった。

NOTE
実在したギャングカップル、ボニ―とクライドの壮絶な青春を描いた作品。
これもアメリカン・ニューシネマと呼ばれた作品のひとつである。
女を抱くことの出来ないクライドと、退屈な日々に飽き飽きしているボニ―。
二人を繋いでいるのは刺激的な日々だった。
強い絆で結ばれているような二人だが、最期まで愛しているという言葉をかわすことがない。
刺激を求め、騒がれる事に華やかさを感じる彼らはしかし、決して極悪人ではなかった。
追っ手と銃撃戦を交えることはあっても、一般人には手だしをしなかったのだ。
全編流れるカントリー&ウエスタンのメロディーが広大なアメリカに埋もれたくなかった彼らの、
壮絶で悲しい青春を語っている。
集中砲火を浴びて蜂の巣にされ、踊っているかのように散って行くあまりにも有名なラストシーン。
輝き方を間違えてしまった青春の、明日へのラストダンスのようで、何度観ても悲しい。
監督のA・ペンは、ヘレン・ケラーを描いた奇跡の人』の監督である。
それにしても、この題名はホントにいいなあ。・・・・・俺達に明日はない