狼よさらば    監督 マイケル・ウイナー   
チャールズ・ブロンソン   
ジル・アイアランド
1974年公開
STORY
カージーは建築設計技師として、美しい妻と娘と共にごく平凡に幸せに暮らしていた。
ある日の昼下がり、妻と娘は近くのスーパーで買い物をしていた。
たまたまそこで暴れていた二人に目を付けた不良3人組が家まで付けて来る。
彼らの暴行で妻はひどく殴られて殺され、娘はレイプのショックで廃人同然になってしまう。
突然の不幸に呆然とするカージーは悲しみに暮れるが、何とか気を強く持とうと、仕事に没頭するしかなかった。
そして、取引先の仕事仲間に射撃場に誘われ、仕事がうまくいったお礼にと、拳銃をプレゼントされる。
それからカージーは拳銃の魔力に獲り付かれたように、夜の町を徘徊する。
わざと強盗に襲われてまで、容赦なく射殺していく。
街中では強盗ばかりが狙われることで、「影の死刑執行人」として新聞をにぎわすようになる。
カージーはついに警察にマークされてしまうが・・。

NOTE
ブロンソンのアクション物の中では結構小粒な作品だが、ごく普通のサラリーマンという設定は渋い。
カージーは街を荒らす不良の辻強盗を見つけては次々と容赦なく殺していくのだが、それは計画された行動ではなく、
手にしてしまった拳銃に引き込まれるような、衝動的なものである。
悪いとわかっていてもついつい手を出してしまうといった感じで、カージー自信も後ろめたさを感じている。
妻を殺され、娘に深い傷を負わせた犯人を探すという安易な復讐ストーリーではない。
彼の怒りは犯人という特定の標的にとどまらず、街中の辻強盗に向けられる。
そして、弱く、被害者にしかなりえない市民達の英雄となってしまう。
それはそのまま、狂暴化する暴力への警告であり、カージーは我々のかわりに実行動をしてくれる市民の代表なのだ。