エンテべの勝利    監督 マービン・チョムスキー   ヘルムート・バーガー バート・ランカスター
アンソニー・ホプキンス リチャード・ドレイファス
   
1976年公開
STORY
1975年、テルアビブ発パリ行きのエア・フランス航空機がパレスチナ人民開放軍のテロリストに
ハイジャックされた。各地の同胞達の釈放のためである。
飛行機はウガンダに降り立ち、アミン大統領のもとでイスラエルを中心に要求が出された。
交渉が決裂した場合は、200人以上の人質になった乗客は殺されてしまうのだ。半分はユダヤ人だった。
要求を受け入れるのか、それとも人質救出のための軍隊出動作戦か。しかし、時間がなさすぎた。
そして、不可能と思われた救出作戦が綿密に練られ、実行された。全員救出のために。

NOTE
実際に起こった事件を再現した作品で、イスラエル軍の作戦で人質を取り囲むテロリストとウガンダ軍は全滅し、
人質は3人の命が失われたほかは、全員救出されるという奇跡とも言える事件である。
しかし、死んだ3人は全て当のイスラエル軍兵士に射殺されている。
故意か誤射かはさだかではないが、作戦成功を喜ぶ政府と、疲れ果てた人質達は対照的に描写されている。
人質の命を第一に考えての果敢な戦いか、それとも国のメンツか。
ただの再現だけではない、人種、戦争、政治思想についての問いかけがこの作品の中にあるのだと思う。
人質生活の中のユダヤ人達は、ナチスに迫害された家族の事や自らの人生を振り返りながら、誇りを失わない。
ゲリラの銃口におびえながらも、決して屈しない。生きることとは、戦うことであるかのような強いまなざし。
戦争も人種問題も宗教問題もひとつとして身近ではない僕には理解など到底できるものではない。
上記のスターのほかに、リンダ・ブレアー、カーク・ダグラス、エリザベス・テーラーというすごい顔ぶれの
この映画は、公開後、数日間で打ち切られた。客の入りが悪いのではなく、政治的な圧力であったと思う。
そういう作品は、遂に日本では公開されなかった『ブラック・サンデー』という、
やはりパレスチナ問題を扱った映画がある。