仲間のT君が大学の映画研究会時代に体験した話。 この話は有名になって都市伝説化しているが、体験当人の話はこのページだけだろうと思う。 他のサイトなどでビデオという事になってるのがあるが、本当は8ミリフィルムである。 T君によると、先輩がビデオに起こしたらしく、それが出回ってる可能性もあるということだが・・・ 大学の8ミリ映画研究会でね、当時はハチケンって言ってましたけど。 卒業前に記念の映画の撮影で、夜にトンネルでロケしたんですよ。 トンネルの中にロウソクをずらりと並べて、その間を女の子が舞うように歩くというイメージ的な映像でした。 現像されたフィルムをみんなで観たときに気がついたんです。 子供が写ってるんですよ。 「子供だ、あんな子供いなかったよな。結構明るかったし、いたら気がつかないわけないもんな・・」 現場では誰も気がつかなかった子供が後姿で立ってるんです。 編集の時にビューワーで見るでしょ?その時はわかんなかったんですけどね。 うわあ、写っちゃったあって感じでね、結構盛りあがっちゃって。 上映会では、心霊映像としてかなりの話題になって大盛況でした。 その評判はほかの大学でも盛り上がって、上映したいからフィルムを貸してくれというオファーが殺到しました。 もちろん他の大学でも、話題の心霊映像は大入り満員の評判だったみたいでね。 ある日、フィルムを貸している大学の映研から電話があったんです。 「いやー、すごい評判ですよ。あれは怖い!」 「そうでしょう?バッチリ写ってますからねえ」 「すごいですよね。振り向こうとしている横顔がすんごく怖い。ホント、ありがとうございます」 「そうですかあ、盛り上がってよかった」 ってその時は電話切っちゃったんですけどね。 ・・・・・・ちょっと待てよ・・・・振り向こうとしている横顔?・・・おかしいんですよ、後ろ姿なんですから。 確認しようと思って、その大学の映研に折り返し電話をかけました。 「あの・・さっきの話だけど・・僕達が見たのは後ろ姿ですよ。横顔のはずないんですよ」 「え・・はっきり横顔ですよ・・この世のすべてを憎むようなそりゃ怖い目ですよ。横顔です」 「いや、後ろ向きに立ってるだけのはずなんですよ。顔なんか見えないですよ」 電話の向こうじゃピーンと凍りついたような沈黙ですよ。 よし、ほかの学校にも確認してみようって思いました。 その前に貸した大学の映研にも電話して、さぐりを入れてみようと思って。 「あ、あのフィルムのことなんですけど・・」 「ああもうそりゃあすごい評判ですよ。ホントに怖いですよあれ」 「子供、怖いですよねえ・・」 「怖い怖い、ちょっと振り向いた感じの目がすごい!」 「・・・・・横顔が・・怖かったですか・・」 「横顔ほどじゃないでしょ?ちょっと振り向いて目が見えそうなくらいのあの感じですよね、あれが怖い!」 「横顔ほどじゃない?」 「ほら、ね、ほら、ちょっとだけ目が見えそうな感じが怖いじゃないですか」 あのね、貸して上映するたびにだんだん振り向くような感じってことですよ。 僕達が見たのは完全に後ろ向きなんだから。 ハチケンのメンバーの中に、神主の息子がいて、彼がその事をおやじさんにに話したらしいんですよ。 「フィルムを貸し出した大学のリストを見せてみろ」って言うから、なんだろうと思って見せるとね、 「フィルムは西へ向かっている。子供は西を目指しているんだ。完全に振り向いたときは終わりだぞ」って。 確かにだんだん西なんですよ、貸していった大学の場所。 次に貸し出すことになっていた大学も、例外なく更に西の方向です。 「大変なことになるかもしれない。これ以上西へ向かうことは絶対に阻止しろ」 「振り向いたらどうなるのさ」「そりゃわからんがな」 何だかわかんないけどとにかく阻止しようと思って、次の予定の大学に連絡して、 もう平謝りですよ。ジャンケンして女の子が取りに行くことになって、嫌々行ったみたいだったですけど。 「そのフィルムは今どうなってるんだい?」 「まだ大学にありますよ。NGフィルムって書いて封印して保管して」 もし、誰かが観て、再び西へ向かうなんてことにはならないんだろうか・・・ |