キツネにつままれた?

俳優志望だったY君が当時の仲間と夜のドライブをすることになった。

「たとえばさあ、あそこに、触ると何かが起こるっていう石があるなんて話があると、
わざわざ行って触ってくるヤツっているじゃん。そういう感じだったんだよね。」
メンバーは男と女二人づつだった。あるウワサを面白がって向かった先は奥多摩の山だった。
山道は片側が切り立ったがけだったりする一本道で、彼らはひたすら車を走らせていた。
「なあ、この道さっき走らなかったか?」
「え?そんなわけないよ、一本道からソレてないし、勘違いだろ?」
しかし、確かに見た標識や道の様子だ。しかし、まさかという事で、そのまま走りつづけた。
「おい、やっぱり同じ道走ってるぞ」

それから、充分注意して周囲を見るようにしたが、わき道はなかったし、真っ直ぐ走っていれば
後戻りするわけがないのに、確かに同じ場所に戻っているようだった。
「ほらな、またさっきのところに戻ったろ?さっき走った道だろ?」
自分たちはこの先には行けないのだろうか、そして、もしかしたら帰ることも・・・・
みんなは言い知れぬ不安に襲われた。そして・・・
いつのまにか、ぽっかりとある空き地のような場所にたどり着いた。
空き地のまわりはうっそうと茂った木々に囲まれていた。
「あ〜なんだかなあ。少し休もうぜ」
Y君ともう一人は外の空気を吸いに車を降り、二人が車に残った。

しばらくくつろいでいると、森の中から何かが出てくるのがわかった。「ん?・・・」
よく見ると、小さな、子供のような宇宙人のようなのがいっぱいいるのが見えてきた。
「おい、車に戻ろう。なあ、早く」
Y君はもう一人に言うと急いでエンジンをかけ、車を出した。
「どうしたんだよ」「え?いや・・・別に」
Y君は、自分が何かを見たということは黙っていた。
「そんでさあ、なんかやばいなーと思って、とにかく早く帰ろうと思って・・・。そしたら、助手席に乗ってたのが
霊感が強いあいつ、Mだったんだけど、俺、まだ何にも言ってないのに言うわけよ。」
「ねえ、なんか、子供みたいなのいっぱい出てきたよねえ・・・」
「やっぱり見たんだなあーって思って、あとは猛ダッシュで帰ったよ」


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