長靴をはいた猫


僕の友人で、CGなどの特殊効果の仕事をしているKさんという人がいて、よく遊びにいっていた。
そのKさんのオフィスでたまたま会った人に聞いた話である。仮にNさんとする。
Nさんが沖縄に行った時に、たまたま20歳ちょっとの若いカップルと知り合いになった。
そのカップルは二人とも霊感が強いという。或る日、デートしていると、男の子のほうがだれかとなにやら話をしている。
女の子には彼が話しをしている相手の姿は見えなかった。
「誰と話をしているの?」「え?おまえ、見えない?猫だよ」
お互い霊感が強いことは知っていることなので、女の子にとっても彼が見えない相手と会話しているのは
それほど不思議なことではなく、「ふうーん」といった程度であったらしい。
喫茶店に入り、お茶を飲んでいると、まだ彼は話している。しかし、そのうち彼女にもだんだん相手の姿が見えてきた。
その猫は羽のついた帽子をかぶり、ブーツをはいている。
「あ、私にも見えてきた」「な?猫だろ?こいつだよ」彼が猫をさわると、その猫は「気安くさわるな」と言った。
「何の話をしていたの?」「向こうの世界で神と悪魔の新しい戦いが始まっていて、おまえは来るか?って。俺は断った」

以上が、Nさんがカップルから聞いたことだ。
そこまで聞くと、なんだかなあ、と思った。しかし、Kさんのオフィスで働いている霊感の強い女の子が、こう切り出した。
「その話なら私もされたことがある。私もいつも断ってたけど。それに、猫じゃなかったし」
その女の子もNさんとは初対面だった。
しかし、「神と悪魔の戦いに来るか?」という事を何度かたずねにこられたというのだ。
彼女の場合は、声だけとか、意識の存在のようなボンヤリしたものだったらしい。
ということは、世界中でそういう人が何人もいるのだろうか・・・・。
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