師匠と先輩



スペイン映画「狼男と侍」のロケにて

三船プロで照明助手として迎えてくれたのが、「戦国自衛隊」の照明技師、遠藤克巳さんだ。
千歳烏山のスナックで、「挨拶はハッキリと元気よく。三歩以上は駆け足。仕事は楽しく。」
と最初に教えられた。
仕事中は厳しくて毎日のようにどなられたが、ギャグが通じる、非常に面倒見のいい人だ。
面倒見だけではない。仕事の教え方、育て方は職業問わず日本のトップクラスではあるまいか。
あんなに仕事覚えの遅かった僕をよく辛抱して育ててくれたと思う。
初めて技師としての仕事の依頼が来たときも、
遠藤さんがダメだと言えばまだ無理だということだからお断りしようと電話をかけた。
「何でも経験だからな。やってみろ」と言ってくれた。
遠藤さんの助手になって丸3年、サード、セカンド、チーフと、1段階づつじっくり育ててくれた
恩人である。同時に、自分達が大変だったろうに、よくあんなに仕事ができなかった僕を
面倒みてくれたのが当時のチーフ、中村誠さんと田村文彦さん。いじめもせずにていねいに
色々教えてくれた。
半年間続いた「暁に斬る!」がおわり、田村さんが僕の肩を組んで
「桜井もよくやってくれたよ」と言ってくれた。
厳しい先輩だったので、そのときは涙をこらえるのに必死なくらい嬉しかった。