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STORY
アメリカ人数学者のデヴィッドは、研究に打ち込むために妻の故郷のイギリスの田舎町に引っ越してきた。
壊れかけた一軒家を借りた彼は、町の若い衆を修理屋に雇い、家をなおさせ、
自分は研究に没頭する日々を送っていた。
しかし、若い衆達は町の乱暴者で、おとなしくてよそ者のデヴィッドを良く思わず、からかうほどだった。
若い衆のいたずらに怒りもしない彼は、或る日猟に誘われ、断ることもできずに若い衆達について行く。
デヴィッドを騙して連れ出した彼等はこっそり家に戻ってエミーをレイプしてしまう。
しかし、心に深い傷を追うエミーをデヴィッドは満足に慰める事もできず、
いつものことなかれ主義でやりすごそうとしかしない。
その夜の教会のパーティーの帰り、デヴィッドは町の嫌われ者になっている少し知能遅れの男を車でハネ、
家に連れ帰ることになってしまった。
その男は町1番のあらくれ男の娘をたぶらかしたと、町の乱暴者達に追われているところだったのだ。
デヴィッドの家に来たヤツラは無理に押し入ろうと、乱暴のかぎりを尽くす。
そして、ずっと争いを避けて生きてきたことなかれ主義の数学者の心に戦いの炎が燃える。
NOTE
暴力、圧力に抵抗するのではなく、ことなかれ主義で生きてきた男がキレる。
そして、それ以上の暴力で初めて立ち向かう。
変わり者あつかいされながら知らない街を歩き、土地の人間達と接する様子は、
ここはあぶないよと言われている裏通りを、夜に一人で歩いているような嫌な緊張感をただよわせている。
デヴィッドじゃなくても、ことなかれ主義で生きていきたい気分にさせる雰囲気。
ペキンパーの演出とD・ホフマンの演技は、ラストにいたるまでの夫婦の心情に観客を引き込み、
キレて戦うに至る様子に思いっきり感情移入させてしまうのである。
キャッチ・コピーの中で「心の中に潜む暴力」と謳われているが、
デヴィッドの心の動揺をそのまま僕達観客に訴えるラスト。
D・ホフマンの表情と同じ顔を僕はしていたかもしれない。
やるかやられるかの状態になったとき、僕は何を選択し、どこへ帰るのだろう・・・。 |