炎は自分で光を発する マッチの炎から大火事の炎に至るまで、その強さや光の発し方は実に様々です。 そして、その炎はそこにどういう意味で存在しているのかがライティングに大きくかかわってきます。 焚き火をしているとか、火事とか、炎のほかに光がないとか、そのシーンにとって雰囲気として大きくかかわるとき、 一番問題になるのは炎自体の、カメラで設定する露出に対する光量です。 ライティングで更に炎の雰囲気を作ったほうがいいときと、炎自体の光だけで充分で、 時によってはそのほうがいい時があるので、僕達は炎が登場するときは全てそうしているわけではない ということを前提に聴いてください。 炎の光をそのまま利用した撮影でも、例えば人物のクローズアップを撮るときに実際の炎のそばで 撮影できない時には、ライトで炎の雰囲気をつくります。 まず、炎の色ですが、よく見てください。決して赤ではありません。 実際の炎がそこにない時に炎の印象をつくるには赤でもいいかもしれませんが、実際の炎の色に合わせるには、 赤プラスオレンジ系の色をつくらないとリアルには見えません。 ひとつのライトに数種類のオレンジ系のエフェクトフィルターをかけたり、一色のフィルターをかけたライトを 複数使うこともあります。 炎の色をつくるエフェクトフィルターの例(ここではLEEフィルターです)
このほかに色温度変換フィルターのアンバーをあわせたりもします。 炎をライトで作る ライトにフィルターをかけるだけでは、色がつくだけで炎の感じにはなりません。 炎の感じに近くするために、ライトの光をユラユラさせます。 パラフィン紙をタンザク状に切る
オモチャ屋さんなどで市販されている、よく公園や空き地でみんなでやる花火は近い場所で強い光を発するので、 ライトを使うまでもないことの方が多いです。 町の花火大会のような大きな花火の照り返しは芝居とのタイミングもあるので、ライトで作ることが多いです。 花火の特徴は、パッと大きく開いてから、色が何種類か変わり、消えるときには急に消えずにゆっくりと光が小さく なっていくので、ライトでもそういう感じを出すようにすると雰囲気が出ます。 スライダックを使う 一台には赤いフィルター、もう一台には青いフィルターをかけた二台のライトを使うとします。 それぞれを別々のスライダックにつなげます。 二台同時に0から100ボルトに電圧を上げ、次にどちらか一方を先に電圧を下げて光を弱くし、続いてもう一方を 若干強弱をつけてゆらしながら電圧を下げて光を弱くしていきます。 最初に二台同時でなく、一台を0から100ボルトにして、再び0まで落とすと同時に、光が入れ替わるように もう一台を0から100ボルトに上げるなど、バリエーションはそのときそのときに工夫していきます。 そうすると、最初は2色混ざった色から一色になって消えたり、一色づつ混ざってから消えたり 色々な花火の感じをつくることができます。 シャッターを使う ※このシャッターというのは、ライティング用の機材のことです。 写真を用意できしだい、解説しますので、お待ち下さい。 夜、走っている車で撮影するのは、芝居をしながら運転する危険性や、出演者が運転できない人の時など、 人通りの無い場所に車を止めている状態で、ライティングによって、あたかも走っているかのように撮影します。 その場合は、周りの風景が流れていないのがバレないように、外灯などで明るくない場所や、 建物や木が近くに無い場所を選びます。 ライティングで走っているように見せるには、設定上、その車はどういうところを走っているのかをまず考えます。 実際に走っている車の客観のカットの撮影がある場合は、その実際の場所に合わせなければなりません。 そのシーンが完全に独立している場合は、物語の設定から、場所を想定してプランをたてます。 |
もちろん、電車そのものではなく、電車の窓の光を走らせることで、電車が通過したように見せるのです。 撮影後の仕上げの時に電車の音を加えると、実際の電車は写っていなくても、電車の存在を感じます。 僕達が使う機材としては、六角ミラーというのがあります。それに光をあて、回転させると四角い光が流れ、 電車の窓の光が通過しているように見えるのです。 実際にはそんなに感じることはないので、イメージ的な光ですね。うまく使うと効果的です。 水の存在感を出すために、ライトの光を反射させて波の影をつくる方法です。 プールや浴槽、池、沼などに反射させるのが一番簡単ですが、近くになかったり不可能な場合、 大きめの水槽(あまり深すぎないもの)を用意します。 反射しやすいように墨汁などで不透明にしたり、底に細かく割れた鏡を沈ませることもあります。 晴れた日の川沿いで、太陽の光が川の水に反射して、橋げたに波の反射がユラユラしていたりします。 普段から観察して、どんなゆれ方がリアルなのか考えておくことです。 今日はここまでということで・・・ |