撮影現場用語

撮影現場にはいわゆる業界用語というのがある。
一般的に通用する言葉もいくつかあるが、殆どは何で?と思う。
THAT’s業界用語

ピーカン 雲一つ無い晴天。青空の見えない曇り空のことはドンテン。
やおや ナナメにすること。八百屋さんの野菜を並べてある台がななめである様子が語源。
どんつき つきあたりのこと。
つなぎ 昼食や夕食の時間を過ぎても撮影が一段落せず、手のあいた人がちょっとつまむ用に
用意する、パンなどの軽い食べ物。
アサイチ いわゆる、朝一番の略。午後一番はゴゴイチ。
ばみる 目印をつけること。
わらう ジャマなもの、必要のないものをどかすこと。
昔、せっかく用意してもらっていたものがいらなくなり、どかすように頼んだ時に
「笑って許して」と言ったのが始まりという説の他、諸説がある
モノホン ホンモノ。逆に言う習慣は、クリソツ(ソックリ)、ビーチク(乳首)、ジャーマネ(マネージャー)
など、きりがない。
エンカイ カメラのフレームの中に写ってはいけないものがあること。
けつカッチン 何時まで、と終了の時間が決められていること。
まく、おす 「まく」は急ぐ事。まいている=予定より早い。まきがはいる=急がせる。
「おす」は遅くなる事。おしている=予定より遅い。おしがはいるとはあまり言わない。
せっしゅ 台などを置いてふつうの位置より高く見せる事。ハリウッドで活躍していた日本人俳優、
早川雪洲がアメリカ人より背が低いため、台の上に乗って高く見せていたのが語源。
まんま ごはんのことではない。そのままの事。
てれこ たがいちがい。または交換するといった事。「赤と青をてれこに並べる」「3日と5日の
スケジュールをてれこにする」などという風に使う。
送り 深夜まで撮影が続き、電車がない時間にタクシーでスタッフや俳優を送る事。宅送とも言う。
内トラ 身内のエキストラ。プロダクションに頼んで来たエキストラではなく、スタッフがいわゆる通行人で
出演すること。時にはセリフがある事もある。
ドンデン カメラアングルがまるっきり逆を向くカット。
対話する人物を交互に撮影(カットバック)する時などには「切り返し」と言う。
ドンブリ ワンシーンをワンカットで撮影すること。
テル連 電話連絡。現場に呼ぶ時間があらかじめわからない時など、当日テル連でよろしく、などと使う。
中空き 時間配分の中で、撮影と撮影の間の時間が何時間もあいてしまうこと。
早メシ 集合時間の前に食事を済ますこと。または昼は12時、夜は5時の前に食事時間にしてしまうこと。
ラッシュ 現像できたフィルムの試写。初めて観るのをニューラッシュ、おおざっぱに編集してあるのを編集ラッシュ
撮影が全て終わり、編集途中で監督が確認するのを監督ラッシュ、その最終段階がオールラッシュ。
0号、初号 編集後、音楽や効果音など全ての仕上げが終了し、映画館にかかる完成状態のフィルム。
実景・情景 あるがままの風景、建物の撮影が実景。そこに人物の芝居があったり、
ライティングなどで手を加えると情景。
中抜き 台本の順番通りではなく、作業効率上、同じようなアングルのカットやシーンを続けて撮影すること。
片撮り、片押しともいう。
順どり カメラアングルがそのつど変わることになるとしても、最初のカットから最後まで
カットの順番どおりに撮影すること。
行って来い ピストンとも言う。往復すること。「行って来いする」「行って来いさせて下さい」というように、命令形ではない。
テスト 本番に向けてのリハーサル。演技だけでなく、カメラ、照明など、全てのスタッフのために何度か繰り返す。
本番テスト 略して「ホンテス」。この状態で本番行きますよ、という最終確認のためのリハーサル。
リテイク 一度OKになったカット、シーンをもう一度撮りなおすこと。
なめる カメラのフレームの中で、メインの被写体の手前に何かを置いて撮影すること。
人物の肩の場合は肩ナメ、テーブルだったらテーブルナメ。舌で舐めることではもちろんない。「〜越し」ともいう。
ロケハン 撮影する場所を探し、下見をすること。ロケーション・ハンティングの略。シナリオを書く時に、舞台となる場所を
下見、取材することをシナリオ・ハンティングという。略して「シナハン」。
ロケセット 撮影する室内。撮影スタジオのセットではなく、撮影所の外のどこかの建物や部屋を借りて撮影するので、
ロケーションとセットの合わせた言葉として定着している。
スケベる 決まったスケジュールをこなしてから、余裕の時間を使ってその日の予定以外のことをすること。
多くはできないけど、「ちょっとだけよ」という意味からくるのか・・・さだかではない。
ヌケ 背景。カメラが向いている方向のバックグラウンド。
ホン シナリオのこと。台本を略したことば。尚、シナリオとは映画、ドラマの台本を指し、演劇の場合は戯曲という。
板付き あるカットにおいて、登場人物が最初からその場にいること。
フレーム・イン あるカットにおいて、最初はいなかった登場人物が途中から画面に入ってくること。
その逆はフレーム・アウト。
フェード・イン 黒い画面からだんだんある画面がちゃんと見えるようになっていくこと。その逆はフェード・アウト。
ワイプ 画面を人物や物がさえぎるようにして横切ること。
画面が横、縦、ナナメ、時にはギザギザにスライドするように変わることもワイプと言う。
フカン 高いところから見下ろすように撮影するカメラアングル。見上げるようなアングルは「あおり」と言う。
メイン・スタッフ 通常こう呼ばれるのは、監督、カメラマン、美術デザイナー、照明技師、録音技師、チーフ助監督。
スクリプターやメークだってメインじゃないのかァという論議も出ていたりするが、今のところはこうである。
スタンド・イン カメラや照明のセッティングの最中に、人物の位置や大体の動きを確認するため、
役者さんのかわりに助監督さんなどがその位置に立ったり動いたりすること。
盗む ドロボーではない。あるものが実際の設定上の位置にあるとカメラ、照明、演技などが非常にやりずらかったり
不可能になったりする時に、実際の位置からわからない程度にずらすこと。
テーブルの位置を盗む、カメラの位置を盗む、手前のエキストラの位置を盗む、など。
盗み撮り 許可がおりていない場所で、撮影をしていることがまわりにわからないように撮影すること。ゲリラとも言う。
スチール 宣伝用に撮影する写真。映画館に貼ってあったり、雑誌やポスターなどに使われているのは
実際の映画のフィルムから取り出したものではなく、殆どの場合現場でスチールマンがテスト中に撮影したり、
改めて宣伝用に撮影したものである。
消え物 劇用に使う飲食物。食べると消えてなくなる物だから。
ありもの そのために特別に買うなどして用意する必要がない、最初からある物。
「食器はどうします?」「スタジオのありものでいいよ」
目線 視線。視線のポイント。
見た目 あるものの視点を想定して作られたカメラアングル。。

コラム
映画界とテレビ界では、システムも業界用語も多少違っている。
映画界 テレビ界
監督 ディレクター
照明技師 L・D(ライティング・ディレクター)
助監督 A・D(アシスタント・ディレクター)
テスト リハーサル
など・・・・
テレビの仕事が多いスタッフやキャストが、映画の録音部さんに「音声」さんと言うと
なんじゃその呼び方ァと言われたりする。

また、映画の現場は会社員ではなく、フリーのスタッフが集まっていることが多いので、
作品のたびに初めて会うスタッフがいて、いろんな出会いがある。



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