撮影11日目 トヨの家(風呂場)




奥田監督のお兄さんの元の家は古くからの日本家屋で、
母屋の裏手に土壁に囲われた独立した風呂場がある。
今は使われていない風呂場を掃除し、撮影しやすいように壁の一部は解体された。


美術スタッフは再生した風呂に水を張り、電熱器で沸かす。
助監督がうちわでパタパタしているのは、設定上の火をおこしているだけである。

このシーンは薄暮の設定で、雨が降っていることになっている。
カメラにうつる範囲が狭いので、特機用の放水車ではなく、何本かのホースで、
水道から水を引いて降らせる作戦がとられた。
ホースの先を指でつぶし加減にして水を散らし、雨のように
するのだが、なるべく高い場所からじゃないと空から降っている
雨のようにはなかなかならない。
普通は脚立を使って高くなるが、降らせたい場所はがけのように段差
になっていて脚立を立てられない。
チーフ助監督が最初、果敢にも電柱に上って様子を見た。

「うわあ〜揺れるよこの電柱、あひゃああ。いや、俺は大丈夫
 なんだけど、電柱がさあ、すげえ揺れる、わあーわあー」

安全帯をつけていながらも大騒ぎのチーフ助監督。
しばらく方法を考えていたがやはり危険で、イントレと呼ばれる足場を
組んで作業することになった。

イントレ
組み立て式の足場で、3尺(約1m)、5尺(約1.5m)のものがあり、主にカメラポジションを
高い位置にするときに使う。
5尺イントレの上に3尺イントレを乗せて使う場合もある。
その様子が、映画創世記に作られた大作、「イントレランス」という映画の中に出て来る
戦闘用のやぐらに似ているということから、この足場のことをイントレと呼ぶようになった。

当日の昼食はキティちゃん弁当。
「なんでキティちゃんなんだろうなあ」
 この弁当はその後スタッフ達のもとに現れることはなかった。
なぜこの日だけキティちゃん弁当が登場したかは謎のままである。
なんとなく和んだことは確かだが・・・・・


スクリプターの長坂さん(中央手前の女性)の誕生日だった。
撮影終了後にケーキが用意され、お祝い。熱さも疲れも忘れる瞬間だ。


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