撮影12日目 昌三の家


昌三の家とは、すなわち少女陽子とその兄、佐政(すけまさ)の家である。
昌三は陽子と佐政の祖父で、昔は腕の良い刺青師としてならしたが、現在は
葬儀屋を家業として、孫達に仕事を手伝わせている。

ここで一度、家族を整理してみよう。



現在は刺青師としては引退している。
実は友川の刺青は昌三の一世一代の作品である。





幸枝の現在の男、寺岡
夫婦同然にくっついている
        
昌三の娘で陽子、助政の母、幸枝
子供よりも男が大事で、陽子達には
少しの愛情も感じていない
父は陽子達が幼い頃に
首吊り自殺を遂げた
                     
妹、陽子
不良警察官の友川を女として
すべてを賭けて愛する
高校生の兄の助政は幼い頃の
トラウマのせいでてんかん持ちである。

幸枝はもはやこの家では暮らしておらず、都会で
寺岡と一緒に生活をしている。



家の中と外は、実はまったく違う場所で撮影された。
中の様子と外の雰囲気が、両方イメージどおりの場所がなかなか
見つからなかったためだが、撮影ではしばしば同様の作戦がとられる。

昌三の家の場合、中の感じはじつにいい雰囲気だったが、
外はすぐ前が広い通りで廻りの風景がうまくマッチしなかった。
ほかの場所で撮影しなければならないということは、
中から見える実際の外の風景をあまりはっきり見せられないということだ。
入り口の引き戸には、薄いクリーム色のカーテンがかけられているという設定になった。

二階の部屋では、昌三と陽子の二人の重要な芝居の撮影。
難しいシーンで、演出を詰めていく奥田監督 部屋の中に光を流し込むため、屋根の上に
ライトをセッティングしている照明チーフ助手。
直射日光で灼熱地獄の屋根がわら。



どんなシーンかはここでは言えない。
それはもう重要な重要なシーンである。
昌三は人生の完結へ、陽子は人生の序章へ・・・

テストは幾度と無く繰り返された。



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