商店街の応援

高原秀和監督の『喧嘩愚連隊』で、千葉のある小さな商店街でナイトシーンの撮影をしていた。
いわゆる盛り場で、風俗店もあるところだった。
こういうところで撮影すると、営業のじゃまだと、良く思われない時が多い。
半分以上撮影が進んだところで、一軒のカラオケスナックから苦情がきた。
撮影隊がいるせいで店への客足がにぶり、迷惑している。営業妨害だ、すぐにやめろと言う。
その店の女将サンはすでに何度か苦情を言ってきていて、もう我慢できんということらしい。

「なんとか説得できないの?あと少しで終わるし、スケジュールだってもうないんだから」
「あの店の人、最初っからああいう感じなんですよ。全然話聞いてくれなくて・・。もう黙らすのも限界っす」
「しょうがないな、場所変えるしかないのか?雨も降ってきたし、たいへんだぞこりゃ」
店の人のケンマクを押さえきれず、機材やセッティングをかたずけはじめると、
いつのまにかそのカラオケスナックの前に結構な人だかりができている。
「まったく、なんだってんだよ。若いやつらが頑張ってるんじゃないか」
「ここまでやってるんだしさ、協力してやれよ」「だいたいあんたはいつもだな・・・」
なんと、商店街のほかの店の人達がみんなで文句をいってくれているのである。
女将サンは他の店の人達に囲まれてなにやら騒いでいる。
普通一番迷惑がりそうな風俗店の人まで僕達を応援してくれていた。
女将サンは普段から色々うるさい人で、まわりの人にけむたがられていたらしい。
さすがに誰も味方のいない状況は厳しい。女将サンは引き下がってくれた。

皆さんのおかげで撮影は予定通り終了することができた。ありがとうございました。
撮影は確かに通行のジャマになったり、迷惑をかけることも多い。
スタッフの中には当然のような顔でやりたい放題とも思える態度のやからも確かにいる。
「あ、撮影なんで、チョット待っててください、撮影してるんすよ」じゃない!
「申し訳ありません、撮影させてもらってるんですが、本番の間チョットだけお待ち願えますか。すみません」と言え!
ちゃんと教育されていないバカなスタッフよ、この場でワシが注意しておくぞ。
しかし、皆さんの協力なしではどんないい映画もテレビドラマもつくれないのであります。
ご協力お願いいたします。


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