ワイルド・バンチ   監督 サム・ペキンパー 
ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン
ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ  
他 
1969年公開
STORY
パイク(W・ホールデン)をリーダーとするならず者の集団はワイルド・バンチと呼ばれ、
好き放題暴れまわっていた。
白昼、銀行を襲う彼等は賞金のために彼等を狙う男たち取り囲まれていたが、壮絶な
銃撃戦を交わして去っていく。追っ手の中には、ワイルド・バンチのメンバーだったソーントン
(R・ライアン)もいた。彼は一度捕まったが、追っ手に加わることで放免されていたのだ。
ワイルド・バンチの面々は追っ手から逃れて分け前について話し合うが、命がけで奪った
袋の中はすべてニセモノだった。彼等はメキシコとの国境へ向かう。国境はメキシコ内乱の
ゲリラ軍に統率され、一度は手を組んで列車強盗を成功させるが、ささいなしくじりで仲間が一人、
ゲリラに人質にとられてしまう。
このままゲリラ軍の手の内で飼い殺しのように生きるか、それとも・・・彼等の道は決まった。
何百人という軍隊を相手に、アウトロー達の血が逆流するような凄まじい闘いがはじまる。

NOTE
ワイルド・バンチは西部末期に実在した無法者達で、「明日に向かって撃て!」のブッチとサンダンスも
元はそのメンバーだったと言われる。西部末期ということは、銀行のシステムや警戒も厳重になり、
列車強盗もうまくいかなくなってきて、ワイルド・バンチのような強盗団は生きていきずらくなっていた。
この映画のワイルド・バンチのメンバーも、決して若くはなく、時代の終焉を感じさせる。
しかし、追っ手と交える銃撃戦や、ラストの映画史に残る闘いでも、西部の荒くれ者の底意地を
思う存分炸裂させ、ペキンパー独特のスローモーションを使ったモンタージュは血なまぐささ以上に
爽快感さえ覚える。
ゲリラを敵にまわす瞬間、彼等は目で言葉を交わす。ここは俺達の墓場になるかもしれねえぞ。
だが、その目には悲壮感はなく、最高の晴れ舞台を前にしたように誰もが笑い合うのだ。
DVDの特典映像では、製作当時、最優秀ドキュメンタリー賞を獲得したという、メーキング作品が
収録されている。
ホールデンの演技プランは、ペキンパーそのものを演じることだったということを言っていた。
自分だけのルールにこだわり、死に場所まで自分で決めるアウトローの生き様に、ペキンパーは
共鳴というより、自分の中に流れる「男」そのものの血の匂いを感じていたのかもしれない。