6月5日 撮影5日目


6時45分、渋谷集合で湯河原へ。
ホテルの一室とレストランのロケだ。

ホテルに到着する前に、車の中の撮影をする。
カメラも一緒に乗り込み、数カットの撮影中、殆どのスタッフは待機しなければならない。
待機場所から片道15分のスタート地点ということは、結構な時間だ。
「お、蕎麦屋がある。あ、トンカツ屋も、う〜む・・」
「も〜、ダメですよ食べにいっちゃ」

ホテルでの最初の撮影は、2階の廊下で、修役の北村君と恋人役の星さんが
楽しく食事をした余韻でフラフラしながら部屋に入っていくシーン。
夜のシーンの設定なので、窓の外から入り込む光をなんとかしなければならない。
「全部遮へいですかね」
「いや、NDフィルターを貼りましょう」
全部塞いでしまうと、ライトを設置する場所がなくなってしまうのであった。

NDフィルター
撮影用のフィルターで、正式名称はニュートラル・デンシティ・フィルター。
光の透過を制限する役割を持ち、濃さも数種類あって使い分ける。

ホテルの部屋は2箇所。
最初は昼間のシーンからの撮影だった。
有実役の星さんをやっと口説いたクラブの常連客役の上杉祥三さんと望月監督。
「我々一般庶民の変態と金持ちの変態って違いますよ」
「しかし、ベランダに出て裸でセックスしちゃうなんて、考えるだけだったら
誰でも思いついちゃうことじゃないですか。こんなことしたらどうかなって
言ってるだけで満足して、それで終わっちゃうでしょ普通。やっちゃうのが変態」
楽しそうな変態談義が続いて、聞いてる僕らも面白かった。

時間制限の関係で、一度外に出てレストランの撮影。
北村君と星さんが向かい合って食事をするシーンだが、
セリフは使わず、音楽をかけるから何でも勝手にしゃべってくれという指示。
「そういうのが一番難しいんだよねー」

何とか時間内に撮影を終え、夕食。
カレーライスだった。わーい!カレーだカレーだあ!
もちろんお替わりである。お替わりはしなければならん!

ホモのシーンではない。
修と有美のベッドシーンの撮影のセッティングをするのだが、
カメラアングルや照明の感じを確認するために助監督さん達が
本人達のかわりになっているのである。
スタンド・インという。

すべての撮影が終了し、帰る準備ができたのはもう夜の10時半近くになっていた。
電車のある時間に東京に着かなければならない。
「12時目標です!」
しかし、ロケバスのドライバーは涼しい顔をしていた。
渋谷到着が11時半。・・・・うわー、1時間だあ!