6月10日 撮影10日目



新宿歌舞伎町にある空きビルでの撮影は、ヤクザの船水の事務所のシーン。
道端でセッティングができるまでスクリプターさんと話をする監督。

望月監督の演出は、まずそのシーンの芝居を
俳優さんに自由に演じてもらうのを見る。
自分の思っていることと違うところの話し合いと、
新しい発見に目を光らせ、どう撮れば芝居が良く
見えるか、イメージ通りの表現ができるかを考え、
スタッフ達といっしょに方向性を固めて行く。


← 窓から外光が入り込むライティングをしている

このヤクザの事務所の設定は、何かあったらすぐに逃げられるように
家具も最小限度。金庫も使わず、金はダンボールに入れている設定。
ダンボールに積め込まれている札束は、見えるところだけ本物だが、
1枚めくるとただの紙である。
しかも、お札を取ると、その下は詰め物、いわゆる上げ底だ。

そこから移動したのは、病院のシーンの撮影のために借りた、老人介護施設。
都内では、撮影のために快く貸してくれる病院は少ない。
撮影では、美術さんが病院らしく見せるために看板やドアの表札、ポスターなどを用意して飾り込んだり、医者や患者、看護婦などのエキストラを用意する。
エキストラの動きをつけるのは、助監督の仕事だ。
ただの通行人ならまだしも、特定の職業の通行人の場合は、細かいところまで
それらしく芝居をさせることが必要である。
「ちゃんと芝居させてくれよ。医者が看護婦にそんなに深くおじぎなんかするかよ」
歩くコースも、手前の芝居とのタイミングや、動きがダブらないように注意するなど、
結構難しい仕事であるのだ。
      廊下のセッティング

  

夜には赤羽に移動。
繁華街の雑居ビルの前でのロケだ。

夕食の弁当を食べるスタッフ。
赤羽の街角で、地べたに座って食べるのも、
撮影中だからこそだろう。
普段は絶対できないことが、ロケ中だと結構
躊躇無くできたりするのはなぜだろう。

雨が降ってきてしまった。
こういう時のために、制作部さんは大きなパラソルを準備している。
雨が降ると、カメラだけでなく、ライトにも養生をしなければならない。
点いているライトに水滴がつくと、電球がワレてしまう。

酔ったおじさん達に静かにしてもらうようにお願いしながら、
無事に撮影が終了した。