Fish-20

19<20>21 TOP BBS

*                    *

 あまり体育が得意とは言えない甥に手を引かれながら、逃げ出してよかったのか葉月は判らず戸惑った表情のままになる。――あそこまで弄んだのだから純也を咎める事はもうないだろう、だがそれを確認していないのが気掛かりなのか、乱入してきた男達が退散するのを見届けなくてよかったのか……。
 一歩踏み出すたびに、身体が揺れる。くちゅくちゅと膣口がくねり、乳房が揺れた。
 大学生になってからは体育の授業など当然ないが、走る機会は日常的にある。しかし身体の感覚の違いに葉月の瞳の奥はほんのりと妖しい色を帯びていく。まだまだ消えない膣内の強烈な違和感が、乳首の疼きが、乳房の揺れが、身体が動けば動くだけ余韻を引きずり出し、淫蕩な交わりの続きへと十九歳の身体を煮えたぎらせる。それは全裸で雑木林を走る異常さと羞恥心も大きかったかもしれない。
 はぁっと吐く息が艶めかしい艶を帯びる。子供に片手を引かれて走る不自然な体勢のまま胸元を隠す片手で自分の乳房を包むと、硬く尖りきった乳首が指の間に挟まり足の爪先にまで甘い痺れに足が止まりそうになるが、葉月はその手を離す事が出来なかった。
『――私…へん……』
 ぞくぞくと背筋がざわめき、今すぐにでも立ちどまって身体の疼きを発散させたい衝動に駆られてしまう自分に、葉月の顔が恥辱と困惑で泣きじゃくる子供の様なものになる。
 小道を駆け抜ける足の裏に土にまぎれた小石の硬い感触が混ざり、数分経った頃、純也の足取りが鈍った。
「足…、痛いよぉ、葉月お姉ちゃん……」
「……、少し、隠れる?」
「うん」
 嗚咽混じりの純也の声に葉月は純也自身も裸足なのだと気づく。男達の乱入の時に手にした葉月自身の水着は、純也が手を引いた時に落としてしまい、今葉月が身に纏えるものはない。生まれたままの姿で屋外にいる羞恥にその場にうずくまりたくなるが、先刻の男達を思い出すとそうはいかなかった。獣道の様な雑木林の中の小道はほぼ一本道で少年達が追いかけてくればすぐに差は埋まってしまうだろう。だが男達をそのままにして来る事もないだろう、そう考えつつ、葉月は周囲を見回し、何とか裸足でも踏み込めそうな場所を見つけ、今度は手をほどいた甥より前を歩き出す。――泣きじゃくりつつ疾しさと後ろめたい欲情の混ざった視線を全裸の後ろ姿に注いでいるのに気づく事もなく。
 一本道から身を隠す事を考えつつ小枝などをそっと払う葉月は、肌に絡み付く視線を本能的に感じて更に昂ぶる身体を持て余し、思考しようと足掻いていた。これからどうすべきなのか、全裸の自分がどうすれば兄の家まで戻れるか、純也の今後をどうすればいいのか…考えていくうちに、葉月は少年との交わりを思い出してしまう。身体を絡め取る子供の手、打ちつけられる腰、舌の感触、女体を指で弄びながら口にするいやらしい言葉の数々、そして膣奥までみっちりと犯す逞しい性器と、熱い精液の感触……。
 ぶるっと身体が震え、尻肉がひくひくと揺れる。背の低い甥の視界はその分だけ成人よりも腰の位置に近く、その目の前で淫らに拙く蠢く白い尻が、精液の伝う内腿が、木漏れ日に照らされぬらぬらと光を弾いていた。廃屋での窓の隙間からでもなく、村の野蛮な子供達もいない二人きりの空間に、甥の視線が足元と目の前を歩く悩ましい肢体の間を往復する。
「……、これから、どうするの?」
 少年達と葉月だけの取引ならばまだ単純な構図だったが、目撃した上に無理矢理逃げ出してしまったとなると純也自身が更に因縁をつけられて無理難題を押し付けられかねない。それなのに人任せにする様な純也の問いに葉月は泣きたい気分になるのを堪える。子供だから仕方ないとはいえ、ならば性的興奮などもしない無垢な子供であってくれた方が割り切りやすかっただろう。
「純也君は、どうするの?」
 あの男達から葉月を助けようとした点では純也も少年達も同じ様に感謝すべきだと考え、だが葉月はそれに違和感を覚える。原因は少年達の陵辱で、しかしその原因は甥がウニを獲った為で、葉月自身の考えの甘さも存在して、そう考えていくと誰をどう咎めて許せばいいのかが判らなくなっていく。
「どうするって……だって……」
「どうすれば一番いいのかよく考えてみて。家に着くまでの宿題」
 もう小学五年生なのだからそろそろ自分で考える習慣をつけさせた方がいい時期だろう。あの少年達は酷すぎるが純也の不甲斐なさが苛立たしかったのかもしれないが、それは葉月自身の年長者としての自己嫌悪を転嫁している感覚もある。だが葉月が年長者であってもこの村の社会を知らない以上、子供の意見でも聞いておくべきだと妙に冷静に考えつつ、ぞくりと身を震わせる。村社会という得体の知れない世界の不快な毒に身体を浸している様な生理的嫌悪に自分の身体を抱きしめた葉月は、ぬるりと肌にまとわりつく精液の残滓に気づく。
 辺鄙な田舎であっても診療所のある場所の周辺には低密度ではあるが民家がある。人目につかない様に帰るとしても、少しでもおかしな跡は消しておきたかった。
 茂みの深くに進むのも躊躇われて海側へと歩く葉月は、先刻より波音が大きな事に気づき小さな岩場を見つける。
「とりあえず待ってて、洗ってくるから」
 海水浴場のあるだろう方向を見、視界に入らないのを確認して葉月は茂みから岩場へと歩を進めた。海水浴場とは丘を隔てているらしく、入江状の岩場は低い波が寄せているが素足では危ないとは感じさせない。潮が満ちれば隠れる岩場なのだろう潮溜まりには可愛らしい蟹や小魚も時折見られ、子供の磯遊びには最適かもしれない。
 そんな場所を汚していいものか悩んだ後、波打ち際の岩に腰を落として葉月は海水を手で掬い顔を洗う。手のひらで乾きかけている精液のぬるつきがまた甦る感触の生々しさに息が詰まり、せわしなく何度も素早く顔を洗う葉月は、甥が茂みの影から自分を注視している事に気づかない。
 冷たい水の感触が肌を伝う。いっその事泳いで懐中に身を沈めて綺麗に洗い流したいが、全裸のままではどこか恥ずかしい。手で水を這わせる所々に精液の余韻が残って絡み付くのは激しかった交わりの証明なのかもしれない。うなじを、内腿を洗う葉月の瞳が更にぼんやりと熱を帯びたものへと変わっていく。
 水を掬い、胸元へ注いだままその手を肌に這わせると、ぬるりと指や手のひらと乳房の間に淫らな粘膜が石鹸水の様に滑らせた。両手の下で形よい乳房が卑猥に捏ね回され、可憐な色合いの乳首が硬く尖り快楽を訴える。岩の上で小刻みに尻肉が震え、下腹部から溢れた白濁液が牝肉と岩の狭い空間で濃厚な水溜まりをつくり、蠢くたびにぬるんぬるんと小振りな襞を泳がせる。
『きもち…いい……』
 身体の汚れを落とす爽快感とは異なる先刻から持て余していた燻りの再燃に葉月の呼吸が乱れる。
 あの少年の手はもっと激しくて執拗で意地悪だった、自分の動きでは予測出来てしまう為なのかも知れないが、物足りなく、そして気恥ずかしい。以前の交際相手との交わりの後でもこうも燻ってしまう事はなかった。考えてはいけない方向へと身体が後押ししていく。
 ――いやらしい事を、したい。もっと、して欲しい。
 少年の手を思い出す葉月の手が荒々しく乳房を揉みしだき、乳首をきゅっと捏ね回す。ぬるぬると滑る液体は精液が混ざっている為だと思うたびに恥ずべき被虐心が激しく焙られ、陵辱の激しさを思い返す牝肉が淫らな収縮と弛緩を繰り返す。身体の火照りを逃そうと、汚れを落とそうと、更に手を這わせようと、何度も水を掬っては肌に注ぎ、そして柔肌を自ら撫で回す葉月の少し俯いた上気した桜色の肌を海面の陽光の反射が余す所なく照らす。乳房の下までを照らす反射の中、徐々に葉月の腰が浮いていく。
「――もう…やめなきゃ……だめ……」
 誰にも聞こえない筈の小声は濡れきっていた。
「背中…流してあげようか?」
 不意に至近距離でした純也の声に葉月の全身が大きく跳ねる。
「じゅ、純也君、待っててって言ったのに!」
 慌てて肩越しに振り向いた葉月の瞳に映ったのは至近距離から自分を見下ろす甥の子供らしからぬ…いや子供らしいかもしれない残酷な好奇心に満ちた目だった。
「今、オナニーしてたんだよね? すごくエッチな気分なんだよね、逃げてるのに何で?もう大丈夫だって思うから?それとも我慢出来ないの?」
 率直な疑問で畳み込まれる葉月と純也の距離はじりじりと寄せられていく。可愛くも生意気で内弁慶な甥の口調そのままに、だがそのパーカーの裾はいきり立つものに突き上げられ不自然な形に歪んでいた。
「駄目……」
「葉月お姉ちゃんは僕が窓の外でしちゃった事知ってるから、僕が葉月お姉ちゃんの秘密知ってもいいよね、おあいこだよ。――すごく、えっちなんだよね?葉月お姉ちゃん」
 お互いに気まずい事は口にせず隠し続ける、そんな今後を朧に想像していた葉月は、純也の言葉に視界が暗くなった様な錯覚を覚える。実際は夏の午後の眩しい日差しに照らされる岩場だが、葉月は日が陰った様にすら感じた。
「純也君…、甥と叔母はそういうのを気にしたら駄目なの……」
「何で?二人だけの秘密にすればいいんだよね?僕もお父さんやお母さんに言えないし…、ね?葉月お姉ちゃんは松崎君とセックスしちゃったとか、僕の目の前でオナニーしちゃったとか、言っちゃ駄目だよね?」
「絶対に言っちゃ駄目! 純也君だってお父さんを悲しませたくないでしょう!?」
 子供だから取り返しのつかない事が判らないのだろうか、口封じの脅迫にしか聞こえない甥の言葉に葉月は激しく首を振る。心臓がどくどくと激しく脈打ち、口の中が乾いていく葉月の肩に、純也がそっと指を伸ばして触れた。
「お姉ちゃんの身体、すごくやわらかい……」
「やめて……おかしな事しないで……」
「僕憶えてるよ、昔お風呂一緒に入ったよ。まだこんなえっちな身体じゃなくって、背中流しっこして、でも…おチンチン洗ってもらってない気がする」
「当たり前でしょ!――ひ……っ!」
 勢いよくしゃがみ込んだ純也の指が葉月の尻肉の間へと伸びる。咄嗟に避けようにも岩場に座り込んでいた葉月に逃げ場はなく、尻肉の谷間を甥の指が強引に撫で回す。
「……、ぐちゃぐちゃだよ、お姉ちゃんのおしり、松崎君のでぐちゃぐちゃだ」
 とても悔しそうな顔をする純也の指が動くたびに淫猥な音があからさまに鳴り、そして葉月の腰がはっきりと跳ね上がる。背後からの指は性器よりも先に窄まりを擦り、生理的嫌悪感で思わず正しい場所を教えたくなる惨めさに葉月は歯を食いしばり、純也の腕を掴もうと身体を捻った。腰の角度が変わり、背後からの指から逃れた葉月は岩の上に手を突き、片手で胸元を隠して甥を睨みつける。
「純也君、甥と叔母はそういう事をしていい関係じゃないの」
「――ずるいよ葉月お姉ちゃん、僕に動くなとか命令してばっかり。それなのに葉月お姉ちゃんは松崎君とセックスしてあんなにえっちに喜んでたし」
「よ、喜んでなんていないわよ」
「おまんこ気持ちいいってあんなに言ってたのに?」
「純也くん!いい加減にしないと怒るわよ」
 男の子だから少しは生意気な方がいいと思っていたがそれも時と場合によるだろう、まさかこんな事態で内弁慶さを発揮されるとは思いもよらなかった葉月は正直な所どう対応すればいいのかが判らない。元から葉月自身末っ子で年下や子供の扱いは慣れていない。どう言えば親類として丸く収められるか想像も出来なかった。
「怒ったら言っちゃうからね、葉月お姉ちゃんが松崎君とセックスしておまんこ気持ちいいって僕の目の前で言った事とか、松崎君のおちんちん舐めて頬張った事とか、お父さんとお母さんに全部言うから!」
「な……何て酷い事考えるの純也君!そんな悪い子だったの!?」
「悪いのは葉月お姉ちゃんだよ、僕、ずっとおチンチン痒かったのに松崎君のおチンチンばっかりおまんこ入れたり舐めたりしてさ、僕すごくつらかったんだよ、おチンチンすごく痒いのに手しばられてて……葉月お姉ちゃん、それなのに僕の前でおまんこしたんだよね、僕の事ほっとくくらいおチンチン大好きなんでしょ」
 全身ががくがくと震え葉月の頭から血の気が引いていく。まるで新しいゲームが欲しい時の様な、子供ならではのしたたかな口調は明らかに何かをねだる前の時のもので、そしてこの状態で何をねだりたがるかは考えるまでもなかった。
 葉月に振り払われた手についた粘液をじっと見てから純也はパーカーで何度も拭く。
「僕、あんまりセックスって知らなかったけど…今なら判るよ。おまんこにおチンチン入れるのって、手でこするのより気持ちいいよねきっと。この白いの、松崎君のでしょ……汚い」
「――純也君、少しは反省したらどうなの?」嫌悪感も剥き出しに神経質そうに手の精液を拭き続ける純也に、葉月の口調は厳しいものになる。「私がこんな目にあった原因は純也君がウニを獲ったのを見咎められたからなのよ? 我が侭を言うのも人を貶めるのも自分の胸に手をあててからにしなさい」
 もしも血が繋がっていなければ少しは柔らかな物言いになったかもしれないが、年長者として身内として葉月の咎める声は鋭いものになる。逆に厳しく突き放さなければ際限なくエスカレートしそうな純也に葉月は恐怖や嫌悪すら憶えているのかもしれない。キツく睨む葉月に、純也の目が左右にわずかに逃げ、そして唇を膨らませる。
「だって、でも、葉月お姉ちゃんもダメな事しているよ、子供とセックスすると警察に捕まるんだよ?TVで言ってるの知らないワケないよね。それに葉月お姉ちゃん、松崎君と赤ちゃんつくる気がないんだよね?それなのにしちゃったんだから、セックス大好きなんでしょ」
「違うわ!」
 大声で突き放したつもりなのに葉月の声はわずかに震えていた。
「違わないよ、みんなセックスするから赤ちゃんが出来るんだから、おじいちゃんもおばあちゃんもお父さんもお母さんもみんなみんなセックスしてるんだよ?みんなすました顔しててもセックスが好きなんだよ。そうしないと赤ちゃん出来ないもん」
 両親の性行為など想像するのが躊躇われる禁忌を口にする甥に葉月は耳を両手で塞ぎ首を振る。確かにそれがなければ葉月が生まれる事はなかったが、だが子供が親の性行為を想像するのはあってはいけない事だった。
「そんな事考えてはいけないの!」
「葉月お姉ちゃんは変な所で子供だよね。みんなしてるのに知らんぷりするなら、みんな内緒にしてるって事だよね、だから、僕も内緒にしていいんだよね」
「――ひ…っ!」
 両手で耳を塞いでいる葉月の両脇から回された子供の手が両の乳房を唐突に掴んだ。
 一瞬躊躇った様に力を緩めた手が、わずかの間の後乳房を這い回る。椀型の下半球を持ち上げ重みを確認し、押しては戻る弾力を楽しむ動きに葉月の全身が凍りつく。背後からうなじを撫でる呼吸は荒々しく、意味をなさない上擦った感嘆の声が漏れるたびに、甥の興奮した反応が葉月の胸に重い槍の様に突き刺さる。
「すご……おねぇちゃん……っ、おっぱい…たぷたぷしてて……えっちだ、えっちだよ、すごくえっちなからだしてるっ……」
 赤ん坊の頃は毎日吸い付いていただろう母親の乳房は流石に憶えていないのだろう、母性への憧れとしての執着や興奮ではなく、甥の手の動きも上擦った声も性的ないやらしさに満ち、それでいて子供らしいあからさまな反応が相手の年齢を葉月により実感させる。子供に、よりによって甥に乳房を揉まれ、乳首を弧ね回される異常な事態に鳥肌立つ葉月の乳首が子供の指の間で硬く淫らに尖り疼いていく。
「いや……っ、やめて…こねちゃだめ……っ」
 敏感な部分を無遠慮に擦られてはやむを得ないが、それでも自分の身体が甥の責めで反応する事実に、葉月は激しく首を振る。
 このままではこんな幼い甥にまで押し切られて犯されてしまう事は明確だった。それだけは避けなくてはいけない、兄夫婦や両親に顔向け出来なくなるのを避けなければと考えた葉月は咄嗟に純也の身体を無理矢理突き放した。
 小柄な純也が尻もちをつく音に葉月は振り向きもせず立ち上がり、茂みへと駆け出す。
「痛いよ、葉月お姉ちゃん」
 その声が重傷ではない甘えた声だと瞬間的に察しながら思わず振り向いた葉月の目に、上目遣いの拗ねた顔の純也の顔が映る。
「懲りて反省しなさい!」
 念の為に怪我の確認をしたい自分の甘さを振り切る様に葉月は茂みへと駆け込んだ。

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