海水で交わりの残滓を流したとはいえ全裸の葉月は人に助けを求めるには問題のある姿のままであり、そして何よりこの田舎には少しでも助けが求めやすそうな通りすがりの同性など皆無である。――早歩きで茂みの中を歩きつつこの村に来てから目にした村人を思い出そうとした葉月は、不意に脳裏に浮かんだ幼くも野生的な顔に首を振った。何故よりによってこの事態の原因の少年を思い出してしまったのか、困惑と奇妙な感覚に泣きたくなる。
純也から離れようと茂みを縫う様に闇雲に小走りに進んでいた葉月は、獣道に近い小さな道に出て戸惑う。兄夫婦の家のある村の中心地の方向も廃屋の方向も判らず、何より先刻と同じ道なのかも判らない。到着した日にちらりと見た村周辺の地図を思い出すが、それも何十万の一か診療所用の手書きの古めかしいものだった。都会と違って交通網の発達していない地域には大きな国道も県道もほとんど存在しない。
「……、企業の保養所に、バスって言ってたわよね……」
ぽつりと呟き、葉月は周囲を見回し、そして全裸での藪漕ぎを避けて闇雲に進んだ自分が来た方向も曖昧になってしまっている事に気づく。いつの間にか波音も消え、奇妙な静けさの中、風が木々の間を吹き抜け葉を鳴らす音だけが響いている。道に迷ったのだと感じた瞬間、気温が数度下がったと感じたのは日差しが木々に遮られている為かもしれない。
いつ村人が現れるかもしれないと警戒しつつとりあえず歩き出した葉月の足取りは重くなる。少年の発言通りの村ならば自分にとっては敵地と考えるべきだろう。兄夫婦の立場を考慮して警察に婦女暴行として訴えはしなくても、所詮子供のした事でどこから秘密が漏れてもおかしくはなく、自分が保護して貰える確率よりも少年に連絡される可能性の方が大きいかもしれない。古い村や権力図を考えれば、一番可能性が高いのは一時保護されてもその後はどうなろうと知らぬ振りをされる事だろうか。
ここで立ちどまっても無意味だと思いつつ、重かった葉月の歩みが不意に止まった。
「……。誰か、助けて」
小さな声で呟いた声に遅れ、葉月の大きな瞳から大粒の涙がこぼれる。
子供の言いなりに痴態を晒し、甥の目の前で犯され、その時点で限界まで溜まっていたストレスが十九歳の娘の精神の脆弱な部分をじわりと侵食していく。泣いてどうなるものではないし、兄夫婦に気づかれる可能性は時間を無駄にすればするだけ高まると判っていても、一度こぼれた涙は次々とその後に続く。
「――誰かじゃないだろ」
やや乱れた声が背後でし、慌てて振り向いた葉月の目の前に息を乱して藪から半分身を出した少年の姿が映った。全身で息をついている姿を見た瞬間、緊張の糸が完全に切れた葉月は道の上で腰砕けになりぺたりと座り込んでしまう。
「そんなに辱めたいの……っ?」
咎める様に問う葉月の目の前に少年は膝を曲げて腰を落とす。
「馬鹿。自分の女が難儀してる時に助けない男がいるかよ」
「貴方の女じゃないわ、私」
傲慢な子供そのものの言動に反発する葉月をそのままに、少年はランニングを勢いよく脱いでそれを差し出した。安堵のあまり肌を隠すのも忘れてしまった葉月は生乾きのランニングを受け取り、反射的に乳房から腰までを隠し、そして少年を見る。
「……、あっち向いてて…、え……?そのお腹……それに……」
少年の引き締まった腹部にはっきりと浮かび上がるまだ生々しい赤黒い痕は葉月の記憶にはないもので、よく見ると全身に海の家の時にはなかった真新しい傷や痕がついている。その理由は考えるまでもなく、葉月の顔が強張った。
「流石に大人相手のタイマンで無傷とはいかないさ、でもちゃんとのしてきて舵と伊月に任せてきた」
「ごめんなさい…私のせい……」
「馬鹿。俺の嫁は俺が守る。当然だろう」大人相手の乱闘の怪我がみっともなく思えるのかやや不機嫌そうに視線を逸らしてから、葉月へと手を伸ばしかけ、止めた。「――格好悪い、か?」
今まで強引過ぎる接触ばかりだった少年が見せる躊躇いに、葉月もまた躊躇いを憶える。体格がよくても所詮は小学生程度の子供なのだから、大人相手に勝てたのならばそれだけでも十分な筈だが、それでもこだわるのは子供らしい意地なのだろうか。道の上に座り込んでしまったままの視線より上に少年の顔があり、気まずく曖昧な沈黙のまま葉月はそれを見つめた。
まだどこか幼さの残る野生的な顔立ちだが顔のつくりは精悍で、大人になれば魅力的な異性になるのは間違いないだろう。だが、今は所詮小学生程度であり、それは致命的だった。こんな子供に身体を思うがままに弄ばれそして快楽に溺れてしまった自己嫌悪に葉月の視線が迷う。
「……。もし連れていかれたら…きっと酷い目にあったと思うの、だから、助けてくれたのは嬉しいの……ありがとう。でも…私のせいで怪我させるのは嫌だし、それに……」
あの男達に連れていかれた場合、写真に撮られつつ犯されるのとどう違うのだろうか…だが悪意を剥き出しにしたあの嘲笑は葉月には生理的に耐えられないという意味では少年の方がマシと言えた。第一少年に抱かれてしまったのは純也の為であり、男達とは取引もないのだから関わる必要は欠片もない。しかし、もう一度少年に抱かれた以上、既に純也の失敗の償いは十分に果たしている筈だろう。――だが……。
どくんと葉月の全身が脈打つ。
理性でこれ以上異性の玩具になるのは避けたいと考えている葉月の視線は、少年の身体から逃れようと逃げれば逃げるだけ意識してしまう。それは海の家から逃げた後も残り続けていた快楽の余韻だった。こんな子供に弄ばれた、口も膣もたっぷりと犯され、ずぷずぷと大きな性器で貫かれ、顔も膣内も精液を浴びせられ、太い幹と傘が膣壁を擦り抉り絡み付き吸い付き、腰がぶつかりあいくねり弾み押さえつけられ腰の動きが牡と牝の淫らな律動で互いに貪り愛液と精液と汗が下腹部を中心に肌にとろとろに擦り込まれ…。地面に座り込んだままの葉月の全身が小刻みに震える。気まずげな表情の中、淫蕩な靄が大きな瞳にかかり、吐息が揺れた。
「無理よ…、あなたは……まだこどもだから……」
「判ってる」
ぶっきらぼうに呟いた少年が苛立った表情を浮かべ、そして葉月を見下ろして表情を歪める。
「……」
少し年齢相応な迷いを見せていた少年の顔に浮かんだ大人の男と大差ない嗜虐的な表情に葉月の鼓動が高鳴った。また犯される予感に不安と同時に乳首と膣肉が疼き、葉月は身体をよじらせる。夏の日差しが陰ったのを感じると同時に、覆い被さってきた少年が葉月の首筋を舐ぶりあげ、吸い付きながらランニングの中へと手を滑り込ませてきた。
「しょっぱい」
どくんどくんと熱く脈打つ身体の疼きを持て余す葉月の乳房をランニングの下で少年の手が激しく揉みしだき、硬く尖った乳首が少年の指先で摘まみ弧ね回されるだけで、葉月の唇からはいやらしい喘ぎがこぼれてしまう。身体が少年を欲しがってしまう疼きに葉月は何度も首を振りたくり、そして唇を唇で塞がれる。精液を飲ませた事をさして気にしないのか、少年の舌が葉月の歯を舐め、そして口内に潜り込み激しく粘膜を擦りたてた。異物に口内を犯される感触は性器で犯された記憶を甦らせ、葉月の膣口が脈打ち熱い白濁液をどろりと溢れさせる。
自分のものと他人のものでは精液への抵抗が違うのか、キスに抵抗のない少年にどうしても甥の嫌そうな反応を思い出してしまう。海水で流したと言っても洗いきれてはいない陵辱の残滓も当人にとっては問題がないのだろうか…この少年にとってはまだ葉月は触れるのに問題がない存在なのか…胸の奥の痛みを紛らわせ溶かす様に少年の手が葉月の肌を這い、舌が拙く絡み合う。
「だめ……」
唾液の糸を垂らして唇が離れ、呆ける葉月の視界に少年の腰が映る。ランニングを葉月に着させている剥き出しの上半身は傷だらけで、そして半ズボンの上端からはあの猛々しい性器がはみ出して天を仰いでいた。葉月を守る為に負った怪我と挑みかかろうとする若過ぎる牡の逞しい性器に、葉月はどうすればよいのか決められず顔を背ける。
「どうして駄目なんだ?」
「親に紹介出来ない相手と…しちゃだめよ……嫁とか女とか、早すぎるから……」
「俺は葉月が欲しいんだ、他の女はいらない」
たかが小学生程度の子供に告白されても十九歳の葉月にとってはおままごとの域を超える事はない、少年の声音が真剣であればある程、子供と関係を持ってしまった罪悪感が膨らむのが判らない少年の男としての未熟さが葉月にはどこか歯痒い。そして良識ぶりながら、疼ききっている肢体は少年の愛撫に応え淫らな火照りで塩混じりの汗を滲ませる。
身体をくねらせている間に両手は地面につき、愛撫から逃れようとしつつその実少年の手に操られるまま体勢を変えていった身体は、やがて四つん這いになっていた。
少年に腰を突き出し、ランニングが肩甲骨までめくれあがった白い身体は俯いた乳房をふるふると震わせ、少年の指が背後からクリトリスを擦るたびに葉月は鳴き声をあげる。海の家ですらなく、いつ誰が通るか判らない森の茂みを縫う様な細い獣道で、腰を前後に振りたくりながら葉月はキツく瞳を閉じて柔肌の内側で熱くうねる快楽に呑まれるのを必死に堪える。
こんな場所で背後から貫かれてはいけない、そう思えば思う程被虐的なざわめきが土の上で縮こまる足の爪先までを痺れさせ、腰を抱え込む形でクリトリスを責める少年の茎と付け根を密着している葉月の膣口から窄まりまでの卑猥な脈動が愛撫する。
「こんな…こんなところじゃ……いやぁ……っ、ゆるし…てぇ……っ…ぁあは…ぁっ…やぁ…んっ……こすっちゃいやこすっちゃいやぁこすっちゃだめぇ…っ! ぁ…はぁぁぁぁ…!こんなばしょで…しちゃいやぁ……っ、ここじゃだめぇっ」
鳴き喚きながら葉月は少年の腕に抱え込まれた腰を前後左右に振りたくった。もう絶対に貫かれると悟りながら、いや、身体は挿入を今か今かと待ち焦がれ期待に震え、少年の腕に逆らうだけの力など入らない状態だった。嫌がれば大人の女としての面目が保たれる、いや、葉月の理性は未だに少年を受け入れる事に抵抗しているが、同時にこうも乞われる事と猛々しい牡に征服される悦びが頭の芯を甘く痺れさせている。
甘い鳴き声をあげる葉月の膣口が脈打ち、白い尻肉が引き攣り、発育途中の少年の腰を撫で回す。ねっとりと糸を引く粘液が互いの肌の密着を滑らかにし、強い夏の日差しを遮る海辺の木立をそよぐ潮風の中、葉擦れの音の中で淫猥な粘液音が大きく湧き立つ。付いた膝を受け止める地面が白い足を土で汚す事すら屋外で責められよがり狂う被虐に更に油を注ぎ、激しく身体をくねらせる葉月の四つん這いの乳房が激しく揺れる。
今度こそ挿れられる、今度こそ貫かれる、膣口を傘がしたたかに擦るたびに呼吸が詰まり、そして幹で撫で上げられ肩透かしにあう。クリトリスを捏ねられながら繰り返されるもどかしさが疑問へ、そして確信に変わっていく。――自分から求めないと犯して貰えない、屈辱的でいやらしい焦らしで責められている事実に。
折角逃げられたのに、腰を振ってねだらせられる。屋外の地面の上で乳房下腹部も露出したまま獣の体位で子供に犯されるのを哀願させられる。海の家で求めてしまったのは取引からの継続した流れとして諦めがついても、今度は一度逃れた後だからそうはいかない。
煮えたぎる様なもどかしさに葉月の白い肢体が限界までしなり、肩越しに少年を恨みがましい視線で見る。貫かれる事を期待している牝の濡れた瞳に少年の姿が映った瞬間、それに戸惑いが浮かんだ。幼い。幼すぎる。いや、小学生程度と言ってももう中学生でもおかしくない位には育っているが、抑え込まれた自分の腰が大人の物であるのに比べ、まだ少年の身体は幼さが残っている。どう見ても淫交扱いを免れる十八歳どころか婚姻可能な十六歳以上ですらない。まだ善悪の判断も常識も曖昧な子供に犯されてよがる自分に嫌悪感すら芽生えてくる。
「だめ……やっぱりこんなの…いやっ」
身体は疼ききって仕方ないというのに葉月は首を振り、哀願した。
「何が嫌なんだ。俺も葉月もしたいのに」
「いままでもそうしていたの?むすばれるって…そんなのじゃない」
葉月の言葉に一瞬の間を置き、少年が不本意そうに舌打ちをし、葉月の腰から手を離す。ぬるりと離れる猛々しい性器に全身を大きく震わせ、四つん這いの体勢のまま崩れ落ちそうになる葉月を少年の腕が起こし、地面の上に胡座を掻いたその上に強引に坐らせた。
「……?」
「そのまま坐ると汚れるぞ」
向き合う形で少年の腿の上に座り込まされた葉月の膝についた土を少年の手が払う。かなり不機嫌そうな声音であっても、まだ若過ぎる少年が行為を中断するのはかなりの忍耐力を求められるだろう。まだ衰えていない反り返りは葉月の下腹部に密着し、手を添えれば角度を直しすぐに熱くとろけた粘膜を味わう事が出来そうだが少年はそれをしようとはしなかった。
「……、どうして?」
「馬鹿な事言うと続き始めるぞ。何が足りないのか言えよ」
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