「……」
子供だから性的興奮や欲望に忠実過ぎて当然だと考えていた葉月は少年の顔を茫然として見つめる。答えが遅れる葉月に、少年が更に不機嫌な顔になり短い髪を掻きむしる。
「大人だ子供だ言いたいなら年下に我慢させるなよ。やってからでいいならやるぞ」
「え……それは駄目…、――えっと…今まで何人としてるの?」
咄嗟に質問が浮かばず疑問の一つを口にしながら、葉月は気まずさに戸惑う。甥の過ちをネタに自分を辱めた相手なのだから子供であっても嫌悪の対象であっていい筈だが、少年とこうして密着して向き合うのがあまり苦痛でないのが理解出来ない。
十九歳の葉月の腰よりも少年の腰は小さく、胡座を掻いている腿も腰も葉月が乗るのは躊躇われる子供のものだった。夏の日差しを遮る木立を抜ける風が葉を揺らし、藪の中の小道に潮風がそよぐ。身長差があれば当然発生してくる座高の差もあり、その上膝に乗せられた状態の葉月は少年を見下ろす体勢になる。
「……。普通女ってそういうの聞きたがるか?」ややふて腐された様に唇を尖らせ、少年はそっぽを向く。「十人ちょっと…十…三か四だ」
「年齢じゃなくて…、え……十三〜四人も!?」
「言っておくが全員和姦だぞ。こういうのはお前が初めてだ」
思わず大声を上げてしまった葉月に少年がやや大きな声で強く補足する。
「な、な、何でそんな人数としちゃう機会があるのよ」
「父ちゃんの種つけを手伝ってるって言っただろ。村の安産自慢な奴とかやる時とか葬式とか盆とか後家さん相手にやるんだよ」
「後、後家さんって…せめて未亡人とか言えないの?ってそんな話じゃなくって、好きあってしないと駄目でしょ!」
「子供出来たらウチの嫁になるから結構孕むの期待してる奴多いんだぞ。宿六より網元の方がいい暮らしが出来るからな」
年号が変わる前の時代の話を聞いている様で眩暈を憶える葉月だが、彼にとってはそれが当然なのかどこか自慢げに少年は言う。普通の会社員の努力や苦労とは無縁そうなその口調に呆れ先行き不安に感じるのは余所者の葉月だからであって、この村で生き続ける少年達には問題はないのだろう。だが、今この場所で向き合っているのは少年と葉月だけで、だからこの村の掟だけが通用するのではなく、都会の掟も通用していい筈だろう。
「――家が網元だからって、それ貴方の功績じゃないでしょ」
「だから子供を作るんだろ。俺の仕事の一つだ」
「だからって、お互いに愛していなくても子供を作るのは、変でしょ」
自分の言葉が無力な感覚と同時にかすかな胸の奥の重いわだかまりともどかしさに見下ろす葉月の顔を、少年の目がまっすぐに見上げてくる。
「だから、葉月、俺の女になれ」
「……、そんな会話の流れ…変……」
「セックスするならお前がいい」
「お互い何も知らないで言うものじゃないわ」
「一目惚れだ」
どくんと全身が脈打ち、少年の腿の上で葉月の身体の芯が熱くなる。例え小学生程度の子供であっても好意を寄せられて不快に感じる人間はいないだろう…だが行為の後の身体は穏やかな心の交流ではなく肉体の疼きを呼び起こされてしまう。以前のたった四度の交わりではここまで肉欲を持て余す事はなかった葉月は逃げ出したい半面、少年に甘えてみたい衝動に駆られる自分を持て余す。
海水で洗い流した肌が乾き始めて突っ張る中、少年にまたがる形の腿の付け根で剥き出しになっている下腹部が脈打ち膣口から白濁液がとろりと溢れ出る感触が性欲を後押しする。
「……、駄目…私はそうじゃないから……これは…身体のせいだから……」
少年の手がランニングの裾をたくし上げ、乳房を下から掬い上げてゆっくりと揉みしだかれ葉月は甘い呻きを漏らし首を振った。以前にはなかった甘い疼きに全身がどくりとうねり、更なる愛撫を期待する十九歳の熟れかけた肢体が年端も行かない少年の腰の上で卑猥なくねりを繰り返す。
木漏れ日が舗装もされていない小道と藪と裸に近い不釣り合いな若い男女を照らし出し、髭も生えない幼さの残る少年が掴んだ乳房の先端の尖りきった乳首に吸い付き、舐め、歯を立て、少女の喘ぎを絞り取る。少年の愛撫に弄ばれるまま、徐々に仰け反っていく白い肢体は出し惜しむ事すら出来ずに唾液まみれの乳房を晒け出し、そして少年に覆い被さられていく。両手を地面に突き、少年の腿の上にかかっていた負担を無意識に軽減させ、愛撫に身悶だえる肢体と女体を愉しむ身体に自由を与え、交わる範囲を広げさせる。
堪える事も出来ないもどかしさに首を激しく振りたくる葉月の思考の隅で、少年の愛撫が荒々しくも巧みであればある程苦い感情がわだかまっていく。――どれだけ他の女性をこの手でこの口でこの凶器で悦ばせていたのか。布団の上で未亡人に挑んだのか。村の人間は恐らく知っているのだろう、この少年が複数の女に膣内射精を繰り返しているのを。まだ大人と呼ぶには若過ぎるこの少年が。
『どうして…どうしてそんな事が気になるの……?』
じりじりと胸の奥を焦がす苦い感覚に、葉月は身体をくねらせつつ首を振る。首を振らなければ完全に身を委ねてしまいそうな欲情のうねりに、葉月の腰が少年の腰に擦りつけられる形で前後左右に足掻き続けた。堪え切れない甘い声がかすかに漏れ、葉月が四肢で堪えて腰を徐々に浮かせた為に自由度の増した互いの身体に、牡の硬く猛ると子供らしからぬ傘と幹と牝の潤みきった粘膜がぐちゅんぐちゅんと卑猥な音をたてて擦れあい絡み合う。
「――約束だからか?」
腰を擦りつけあいいつ挿入されてもおかしくない状況での不意の問いに、葉月の肢体がびくりと揺れる。
「……、わからない……」
確かに純也の失敗の口止めの為の約束はこの少年が満足させるまで有効ならば葉月本人にその気があろうとなかろうとまだ果たさなくてはいけないのかもしれない。だが、先刻の純也の浅さましい行為への怒りが収まらない葉月には、これ以上従い続けなければ理由が感じられない…それならば逃げるべきだろう。避妊の欠片もない交わりは葉月自身が未成年としても、相手の年齢がそれに輪をかけて若過ぎるのも、そして結婚など問題外な関係としてもあってはならない。だが、しばしの戸惑いの後葉月の唇からこぼれたのはまるで迷子の年端も行かない少女の様な自信のない声だった。
「これから俺に惚れればいい」
「そんな……ぁあ…ん……っ……そんなの……」
質問の答えにすら迷いのある葉月は少年のまっすぐな視線に更に戸惑う。それなりに異性と交際していた事はあっても焦がれる様な恋などというものを十九歳の少女は知らない。小学生くらいの子供ならば尚更な筈なのに、自分ばかりが何も知らない様な感覚が葉月を不安にさせる。
「好きだ」
「――っ……だめ…ぇ……ぁあんっ、やぁん……」
「我慢出来ない」
猛りきった傘で膣口を撫で回され、子供が動きやすい様に四肢を自ら突いている葉月の全身が妖しくくねり仰向けの乳房がぶるぶると震えた。駄目と言い続けるその下腹部ではささやかな包皮では隠しきれない程に膨れた鴇色のにクリトリスが弾けんばかりに感度を増し、陵辱者の傘を滑らかに招こうと膣奥から溢れる潤滑液がとろとろと溢れている。一度は堪えて止めてくれても所詮は子供なのだろう、野生の若い獣の様な激しい欲望の視線を浴び、葉月は言葉を紡げずに視線を彷徨わせた。
先刻中断した事がそもそも奇跡なのかもしれない。葉月の哀願を聞き届けたのは彼の誠意と考えていいのかもしれない。既に膣内射精をされているのだからもしも妊娠してしまうのならば可能性は変わらないのかもしれない。もしもこの少年が本当にのぼせてしまっているのならば少年自身と純也を諌める手段として利用すればいいのかもしれない。――瞬間的に浮かぶ思考は吟味する余裕もなく浮かんでは消えていく。
ぐちゅりと音を立てて少年の傘が膣口にめりこみ、二人の身体が凍りついた様に動きを止める。
少年の呻きが口から漏れると共にゆっくりと大人以上のその肉茎が埋没していく。全身を硬張らせたままの葉月の顎が激しく震え、再び迎え入れてしまう若過ぎる牡の逞しさを爪先まで噛みしめて歓喜に戦慄いてしまう。肉の交わりの味を刻み込まれてしまったのだという苦さよりも、複数の大人の女性を満足させてきたであろうこの猛々しいものに好まれ選ばれた牝の密かな優越感が恍惚感へとすり変わっていく。
「はぁ……ぁあああああああああんっ」
溢れた声は甘く濡れた嬌声だった。
子供に犯されている。ただの好奇心などではなく孕ませる事すら前提にして葉月を貪り尽くそうとしている子供に、どこかも判らない小道の途中で、乳房も柔毛も結合部も陽光に晒して、声すら堪えられないまま。
避妊具もつけていない傘の先端が、膣奥まで届いた瞬間、十九歳の牝は達した。
Next Fish-23