Fish-24

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 全身が疲れ切り、そして特に足腰は自分のものと思えない程重いまま、葉月が兄夫婦の家の玄関ドアを開けたのはとうに日も暮れた夜だった。借り物の浴衣姿だったが下着はない。
 田舎では診療時間などない様なものだと言っていたが診療所の照明は落とされており、診療所の離れの玄関の照明が点いていた為に怯えつつ開けたが、兄と義姉の靴はなかった。与えられている客間へそのまま直行して身繕いをしようとした葉月は、古い家屋に似合わない玄関脇のコルクボードに貼られたメモに気づく。
【患者さんの様態が悪いので街まで搬送になりました。帰宅は深夜かも。ご飯は葉月ちゃんお願いします。佳代子】
 義姉の可愛らしい文字に葉月は脱力する…とりあえず見咎められる事はなくなったらしい。救急車もないこの村ではヘリか車で搬送する事になるとは聞いていたが、そう言えば駐車場所のワンボックスカーがなかった気がする。一気に疲れが出た葉月は何かを忘れた気がするまま浴室へ歩く。湯船を湯が満たしているのと脱衣所のリネン棚にバスタオルがあるのを確認し、葉月はするりと浴衣を脱いで浴室に入った。
 少年の家を出る前に一度風呂は済ませてある。しかし広い檜張りの浴室の中でも少年と肌を重ねあった為、ゆっくりと身体の疲れをとるものではなかった。
『――葉月、ここにいろ』
 何度も言われた言葉がまだ耳に残っている。そうはいかないと冷静に考える大人の部分と、少年に求められると燃え上がってしまう女の身体のどうしようもない部分に葉月は今でも混乱していた。髪を洗い、全身をボディソープで洗う手が時折止まり、喘ぎが漏れる。疲れ切っているというのに、まだ身体が疼いている。浴衣姿の岐路の間も溢れた内腿を潤滑液が伝い、淫臭が漂い続け、そして兄一家の浴室にも篭っていく。
 頭上からの湯の飛沫を浴びながら、葉月の両手は乳房と下腹部で蠢く。少年の手や口や性器を思い出しながら白い手が乳房を捏ね回し、腫れたままのクリトリスをさする。少しで満足出来そうな自慰は徐々に熱を帯び、全身の泡が肌の上で流される感触すら愛撫や視線の様に感じ呼吸を乱れさせる。
 このまま明日の始発に飛び乗り家に戻り…そうすればこの村から、あの少年から逃げられるかもしれない。そもそも淫交条例も何もあったものではない子供相手では結婚も交際も問題外だった。親も納得しない。そもそも葉月自身にその意思がない。
「はぁ……う!」
 膣口を撫で回す指に葉月の唇から声が溢れる。
 セックスの相性の問題だったのだろうか、他の男性に抱かれても同じ様な快楽を得られるのが普通なのだろうか。いや、恐らくそうなのだろう、そうでなければ……。
 葉月は、満足が出来ない。
 躊躇いながら葉月は膣内に指を挿入し、そしてゆっくりと抜き差しを繰り返す。だがその表情は快楽に溺れていると評するにはあまりにも切なげだった。曇り止めの効いた大きな室内鏡の中で柔らかな照明に照らされた裸身は前日とは別人の様な淫らに自慰に耽る。それでも物足りない。荒々しく乳房を揉みしだいても、膣内に三本目の指を挿入しても満たされる予感の欠片もない。
 葉月の瞳から大粒の涙が溢れ、狂気を帯びた様な焦りの視線が浴室を素早く見回し、そしてバスバブルの瓶に止まる。直径三センチ程の楕円の円柱のガラス瓶に葉月は口内の唾液を嚥下し、そして手に取る。擦りガラスのひんやりとした感触が逆に少年の肉槍を思い出させた。何度も舌を滑らせ咥えたものに比べて血管や鰓の張り出しも太さもないが、硬さと長さだけはある。
 こんな馬鹿な事をしてはいけないと思いながら、葉月は脚を肩幅まで広げ、そして瓶を下腹部へ運び、どろどろの粘液にまみれた丘と襞を片手で掻き分け、膣口に押し当てた。
 衝動的にぬるりと膣内に瓶を押し込んだ葉月の全身が強張る。
「ゃ……」
 膣内に挿入された異物の物足りなさに、葉月の瞳が大きく見開かれた。期待してぐびぐびとうねっていた膣はまるで空振りをしたかの様に瓶では満足をしない。シャワーを頭の上から浴びながら、葉月の両手は膣口からはみ出した瓶を前後させる。ぐちゅぐちゅと激しい粘液音をあからさまに立てさせ腰を振り少しでも刺激を高めようとしても、身体は一層少年の抽挿を思い出し渇望する。
「いや…っ、いやっ、いかせて…っ!まんぞくさせてぇ……っ!」
 確かに膣は快楽を感じている。だがそれは満足に程遠くまるで行為の途中の愛撫の様なもどかしいもので絶頂とは無縁なものだった。
「……。葉月お姉ちゃん……やっぱしそんなにおちんちん欲しいんだ」
 至近距離からの声に、葉月の身体が凍りつく。何を忘れていたのかを一瞬のうちに思い出し、そして葉月は言葉を失う。
 ぴしゃりと浴室の引戸が締まる音の後、突然葉月は浴室のタイルの上に突き倒された。疲れ果てた身体が思う様に動けないまま、葉月の脚を割り開く全裸の甥の下腹部が幼いなりの…松崎少年のものとは比較にならないものがそれでもぎちぎちと天を仰いでいるのを見た。
「駄目…!純也君……いや!やめて!」
 引き抜かれた瓶が割れ、薔薇の噎せかえるな芳香が性臭と共に浴室に篭り息が詰まりそうになるが、それよりも絶望的な状況に葉月の全身ががくがくと震える。確かに帰宅後の異性との交友を考えなくもなかったが、あくまでも同年代の異性とであり、そして自慰で済ませられるのが一番理想的だった。
「嘘だ。松崎君の家であんなにずっとずっとセックスしてたじゃない、いっぱい声出しててみんな二人をこそこそ見てて、知らないおじさん達なんか葉月お姉ちゃん見ながらおちんちん擦って僕とおんなじでいっぱい出してて、すけべな嫁ごとかおこぼれ貰えるかのとか嫌な声して変な目で見て…でも僕のお姉ちゃんなのにあんなにあんなに松崎君とえっちしてて……僕もしていいでしょ!」
 泣いているのか怒っているのか判らないが苛立ちに満ちた顔と声音よりも、葉月は純也の口にした内容に愕然としていた。やはり村人に見られていた事と嫁として見られていた衝撃に言葉を失う。少年の言葉で未亡人を相手にするなどと聞いても嘘かもしれないと考えていたが、そんな常識はこの村では通用しないのだ。葉月よりも年長で未亡人でも跡継を産む為にあてがわれる…それを非常識と思うよりも先に胸に何か痛みがはしり、その理由が解らずに戸惑う葉月は、ぬるぬると下腹部を滑る熱い塊に気づき慌てる。
「やめなさい純也君っ!い……やああああっ!」
 ぬろりと侵入してきた甥のものに、葉月の身体がタイルの上で足掻く。だがその力も動きも非常に緩慢であり挿入後即座に腰を抱え込んだ甥を突き放せるものではなかった。松崎少年よりも更に子供らしい都会育ちの純也の細い腰を腿の間に迎え入れさせられた形で、頭上からのシャワーを上半身に浴びながら葉月は悲鳴をあげる。
「う……わ…っ!おまんこ熱っついよぉっ!ぬるぬるしててすごく気持ちいいよ!葉月お姉ちゃんのおまんこ気持ちいい!」
「いやぁ……!」
 容赦なく突き入れるものの行為自体初めてであろう純也な上、濡れたタイルの上では安定しないのかその腰の動きは非常に拙い。潤滑油に事欠かない状態の為何度も抜けては無理矢理挿入する純也の声は快楽を訴えるものと抜ける不本意な苛立ちが交互に繰り返され葉月への配慮など一切ない。
 葉月は絶望的な状況に泣き激しく首を振りたくる。
 静かな田舎の村では閑散としていても、音の反響する浴室なのもあり大きな声を張り上げれば遠くまで聞こえてしまうだろう。それは分限者の跡継だけでなく甥からも犯されてしまった事が村の周知の事実になる事を意味する。悲鳴を上げて助ける事も出来ず、だが逃れなくてはいけないのに身体が疲れ切り動けない。――そして更に葉月を絶望させるのは、己の身体だった。
 甥に犯されてもまだ足りない。確かにセックスをさせられている実感があり、それは惨めな事に瓶に勝っていた。だがそれでも膣内に避妊具なしで挿入されても満足出来ないのは少年よりも身体も幼い純也だからなのか、甥だからなのか、慣れていないからなのか、合意の上の行為でないのは同じなのに牝肉の感覚のあまりの違いに愕然としてしまう。何故か以前の相手を思い出してしまう…だが恐らく以前の相手の方が少しはましだった筈である、それなのに以前の相手を思い出して、そして少年を渇望してしまう。
「あああああああああああ出ちゃうでちゃうよ葉月姉ちゃん!僕出ちゃううううっ!」
「いやあああ!」
 壊れたからくり人形の様にがくがくと勝手に動く純也に、それだけは避けようと葉月は懸命に身体を捻ろうとする。
 その目の前で、純也の身体が突き飛ばされた。
 膣内から抜けた瞬間に純也の性器の先端から迸った濃い精液が葉月の下腹部から顔にかけて勢いよく飛び、弾ける。頬にまで届いた精液の生臭い匂いに息を詰まらせる葉月の視線の先に、純也を蹴り飛ばした姿勢のままの松崎少年の姿があった。
「だから、俺に助けを求めろよ」
 精液が頭上からのシャワーの湯に流されるのを視界の隅に捕らえている葉月の心臓が、どくんと激しく鳴った。

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