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「――うん、だから僕と葉月お姉ちゃん、松崎君の所にしばらくいていいって事になったんだ。大きな家だし村の他の子とも仲良くしてるから安心して。こっちに来てずっと忙しかったんだし、新婚さんな気分でのんびりしてよ」
少し離れた場所から聞こえてくる純也の弾んだ声を聞きながら、葉月は少年の上で息をつく。
メモは残してきたものの心配をかけてはいけないと家に電話をさせたのだが、純也のあまりの機嫌のよさそうな声に葉月には義姉の喜ぶ顔が思い浮かび憂鬱になる。――まさか二人とも妹と幼い息子がこんな遅くに淫らな行いに耽っているとは想像もつかないだろう。古めかしい黒電話を手に滑らかに嘘をつく純也の傍には純也より年下に見える全裸の少女が無言で座っている。美帆という名前の少女らしいが、彼女が村でどの様な立場なのかは葉月には判らない…ただ少年達に呼び出され浴室を片付け、そしてロクに第二次成長期を感じさせない身体の少女が純也にあてがわれても異を唱えない事と、葉月よりも上手に異性を迎えるのだという事だけは目にして理解せざるをえなかった。
いつ逃げ出せばいいのだろう。
そんな事を虚ろに考える葉月の乳房を、少年が下から掴み捏ね回す。自然と漏れてしまう甘い呻きを堪えようとする葉月に少年がにやりと笑う。純也の電話の間だけは控えて貰えている責めだが、膣内には猛々しいものが奥深く迎えたままになっている。
「ずっと居られそうだな」
「……。夏が終われば帰るわ」
明日の朝にでも帰らないといけないと思いつつ、葉月は頼りない声で答えた。自分でもどうすればいいのかがまったく判らなくなってしまっている。ただ、身体はこの状態に甘え切っているのは嫌でも自覚させられる。半日で、葉月の身体は余韻の味わい方すら憶えさせられはじめている。ゆっくりと時折動く腰に、緩慢な動きで十九歳の身体が応え騎上位のまま弧を描いた。
まだ虫の声には早い海辺の夏の夜は、蚊帳の中にもかすかな心地よい風が流れ込み、運ばれてきた波の音が耳に優しく届く。ゆるやかな腰遣いにのけぞる葉月の視界に、雨戸も障子も開け放たれたままの縁側の更に向こう側の夏の夜空が映る。純也のいる電話の辺りの照明以外は何も点けていないのに、星明かりだけで十分に世界は明るかった。
「それまでに俺を好きになればいい」
少年の真面目な表情に、葉月はどの様な顔をすればよいのか判らず曖昧な顔になる。
「せめて私より背が高くなって、両親が許してくれる様になってからじゃないと駄目よ」
「最初よりいい返事だな」
葉月の腰を抱え込み、少年は布団の上で上半身を起こす。挿入したまま互いに対面する状態になっても、やはり身長差の為葉月は少年を見下ろす形になる。そんな葉月の頭を抱き寄せ、少年は唇を重ねてきた。舌を絡みとられた瞬間、葉月の膣がぎゅっと少年のものを締めつけ、それを合図にキスが濃厚なものに変わり、少年の片手が葉月の乳房を強く捏ね回しはじめる。
少年から逃れた後、ずっと激しい性交が理性を奪うのだと思い続けていた葉月だが、今は甘い愛撫も何もかもが危ないものだと判ってきていた。この少年自体が葉月にとっては危険なのだと。――それとも手慣れた異性は誰もが同じ様に陶酔させるのだろうか?それを試す暴挙は葉月には無理な話であり、そして少年から逃れる具体的な案も何故か浮かんでこない。ただ夏の終わりになれば葉月自身の事情で家に帰り、そこでこの異常な時間が終わるのだとは感じていた。しかし、何故か自分がそれを期待していない様に葉月は思う。
いつの間にか電話が終わったのか、純也の弾んだ声は家族へのものではなく避妊具をつけての可哀想な少女と舵少年を交えたセックスの嬌声に変わっていた。悲しいくらいに純也の声ばかりで、他の二人の声は時折にしか聞こえてこない。自分ではなくあてがわれた少女に狂喜する純也を気の毒に感じながら、葉月はどこか安堵していた。少女への罪悪感は確かにあるが、だが誰でもよい様な純也の不甲斐なさがどこか情けなく、そして惨めで憐れみさえ憶えてしまう。舵少年がいる理由は何となく葉月には想像がつく。不慣れな純也が無茶をしない様に見張っているのだろう。
唾液の糸を引いて離れた唇に、葉月はうっとりとしながら少年を見下ろす。
「私がここにいる間は…他の人とセックスしないで。そしてさせないで」
「馬鹿。誰がやるかよ。俺の女だ、お前は」
恐らくあの少女は大勢と関係しているのだろうなと想像し、それが自分の身と重なり不安になる葉月に、少年がにやりと笑う。
既に疲れ切っている身体にはゆるやかな愛撫が堪らなく心地よかった。乳房を舐め回されながら時折膣内で跳ねる肉茎を互いの腰の動きでじっくりと堪能し、指で身体をまさぐりあう。抱え込んだ頭の短い髪の感触が手のひらと指にこそばゆい。まるで湯に浸かっている様な、穏やかでいて蕩けそうな快楽のうねりに従い、葉月は少年の身体に指を這わせる。
まだ葉月より小さな少年だが、手と足は身体と比べ意外と大きい。もしかしたら成長期になればかなり背は伸びるかもしれないと葉月はぼんやりと考える。
「跡継で据え膳ばかりで育つと、気が短くて暴君で飽き易い酷い人になる気がするけれど……勲君は、どうなの?」
葉月の問いに、少年は少し呆れた顔をしてから葉月を抱きしめた。
「馬鹿だな。――漁師ってのは根気がいるんだよ」
FIN
第二稿200907011732