背負われている私はミニスカートの中の素肌を空気が撫でる心細さに、神津君の肩に添えている手にほんの少しだけ力を込める。
ゴンドラを降りた時のドア開閉係の男性職員の一瞬遅れた驚きと、その後に私の顔を覗き込んだ問いかける表情が頭の中から離れない。ゴンドラ内に篭もった性臭と男子7人女子1人の構成と神津君に背負われて俯く私を見れば何があったのかを想像するのは簡単だったかもしれない。田中君達が頑張って床などに落ちている痕跡をティッシュやタオルで拭っていたから、篭もった臭い以外は迷惑をかけないとは思う。
《大丈夫…ですか?》
もしも犯罪…婦女暴行があったのならば助けてくれようとしている、犯罪被害者をいたわりながら問いかける様なあの視線は、私の行為を軽はずみさを強く自覚させた。
やっぱり普通なら初体験は好きな人と二人きりで行うものだろう。いきなり初体験が乱交状態になってしまった私だけれど、その観念は一応ある。
ミニスカートで下着なしで背負われると流石にお尻が露出してしまうから神津君のジャケットを着せられて背負って貰っていると、不安と恥ずかしさで頭の中がぐちゃぐちゃになる。――神津君は、初めてではなかっただろう。初体験であんなに落ち着いている筈がないだろう。いや、気にはなるけれど、でも気になるのはそれではなくて…こんな初体験をしてしまった私を、神津君はどう思うのだろう。
「――痛いか?」
神津君の問いに、私は自分がいつの間にか泣きじゃくっているのに気づいた。
「訴えたいとか、考えているか?」
日帰りは少しキツい為に、今回は遊園地に隣接しているホテルに豪勢に宿泊する組と日帰り組に分かれていた。私は日帰り組だったけれど神津君達は宿泊組だった。とりあえずベタついている身体をどうにかしないと話にならないという事で、ゴンドラ故障の説明などには須藤君達が残り、私は神津君に背負われてホテルに向かっていた。
訴える事など考えてもいなかった私は、神津君の言葉に首を振る。
「……。軽はずみ、だよね」
「ああ」
身も蓋もない返事に落ち込みそうになる私の腰を、背負っている神津君の手がぽんと軽く叩いた。
「俺も随分流された。集団で童貞捨てるなんてソープじゃあるまいし」
「――え?」
「俺も、初めてだった」
「嘘……」
神津君の言葉を頭から否定してかかるなんてしたくはないけれど、自分の馬鹿さへのやりきれなさに口からぽろっと言葉が漏れてしまう。
クラスでは到底会話が出来ない神津君とこうして話を出来るなんて考えていなかった嬉しさと惨めさで、どうすればいいのか判らない。7人がかりの処女喪失の代償の時間だとすれば、それは喜んでいいものではないだろう。
「で、今後の対応とか…考えているのか?」
お調子者と言っても今回の事を皆に吹聴して回る程ではない田中君や他の面々を思い浮かべて、私は首を振る。
「……。これをネタにしてどうこうする人達じゃないと思う……」
「それは認める。でも須藤を除けば女日照りの連中だから刺激が強かったからな。――勘違いまではいかなくても口説いたりしてもおかしくない」
「そんな……」
呟いてから、その図を想像して私は妙に納得してしまう。やっぱり高校生活となれば男女交際の一つはしたいし、身体もいろいろ疼いてしまうだろう。でも私としては誰でもいいワケではなくて、これで他の男の子に口説かれてしまっても好きになれる自信はない。
「考えてみれば今日は結構運がいいと言えばよかったのかもしれない。1対1だったら今後もネタにしてエスカレートしてもおかしくないから、複数で牽制していた方が安全だ」
「エスカレートって…そんな事言われても……」
7対1で全員膣内射精というのは結構エスカレートしきっている気がして私は口篭もる。
「性的嗜好ってあるだろう。――SMとか、いろいろ」
神津君からその単語を聞いた瞬間、ぞくっと腰から背筋に震えが走った。背負われているから少しの身じろぎでも伝わってしまうのに、はっきりと身体が震えてしまう。震えの後に続くのは、下腹部の甘くもどかしい疼き。
はぁ…っと漏れてしまう熱い吐息と同時に、膣奥からとろりと潤滑液が溢れるのが判った。
遊園地からホテルへの道はまだ日も高くて人通りは殆どない。宿泊客が目的の遊園地に向かうのは大抵開園前後だろうし、ホテルに戻ってくるのは閉園頃か早くても夕方だろう。
私の格好もあって人目を避けてはいるのか、駐車場に面した大通りではなくて庭園沿いの小道は早咲きの水仙の匂いが漂っていた。まだ桜には少し早く、時折あるベンチにも誰も座っていない。
不意に、神津君が私をベンチに降ろした。
「……、?」
「泣いてる状態でフロント通るワケにはいかないだろ」
少し困った様に言い、神津君が隣に腰を降ろす。何とかやりとりはしているけれど、でもしゃくりあげながらだった私はミニスカートのポケットからハンカチを出して涙を拭う。
「ごめんなさい……」
「槙原が謝る話じゃないだろ。――和姦じゃなかった」
ぽつりと呟いた神津君の言葉に、拭ったばかりの涙が頬を伝った。違うとなると、あれは強姦だと考えているのだろうか。自分がした事が何なのかが判らなくなってしまう。少しでも神津君が私の事を意識してくれていて、それで据膳状態でしてしまったのなら救いがあるのに。
「でも…違う、よ」
「……。そう言われると勘違いするだろ」
「勘違いじゃ……ない」腿にかかっている神津君のジャケットの裾をぎゅっと握って私は息を何とか吸い込む。「まだ……よく判らないけど…、気持ち…よかった……から……」
「だから、勘違いさせるって」
一瞬やりきれなそうな表情をした後、首を振った神津君の腕が私を引き寄せて抱きしめた。ジャケットと同じにおいに顔が埋もれ、そのままベンチの上にゆっくりと、しかし有無を言わせぬ強さで身体を押し倒す。
「神津…くん……」
「判ってるのか?槙原。17の男なんてやりたい盛りなんだよセックスの事ばかり考えてる。お前みたいな華奢なのに胸がやたらと目立って可愛い顔してる奴なんて妄想の中で何百回も犯されてる。――実際に犯ってから自分を大切にしろなんて言うのは卑怯だと自分でも思う。でも、そうしないと…お前の事、都合のいい様に扱ってしまう」
頭の中がぐるぐるする。貧弱なのにみっともないくらい胸だけは大きくて、同級生の中にいると妹と勘違いされてしまう私に、何て言ってるのだろう?神津君はもしかしてロリコンなのだろうか?いや一般論としてそれはありなのだろうか?ワケが判らない。
頭の横に手を突いている神津君がゆっくりと私に覆い被さってきた。
「……」
「凄く具合がよかった。根本まで埋めるとちょうどお前の子宮口にぎっちりと当たって填めてる感覚がたまらない。俺が…、処女奪ったのも嬉しかった。お前が痛がってるのに俺はお前の最初の男になった事で有頂天になっていた。お前が流されるのを見て、他の奴らにやられてる時は『どれだけやっても俺が最初だった』と優越感に浸って、そして須藤のモノでお前が反応して…苛立って、でもお前をもっと責め立てて俺ので一番よがらせたくなった。――恋人じゃないのに、俺はお前を玩具や競争道具にしてる」
玩具や競争道具としての初体験だったのかと、何だか鈍くなった頭で私は何度も繰り返す。持ち上げられているのか叩き落とされているのかどう考えればいいのだろう。他の男の子ともセックスしてしまった事よりも、神津君の気持ちの方がショックだった。やっぱりと思いながら、少しでも期待していたんだと自覚してしまう。
「……。泣くなって方が無理だとは思う。でも…やばい、お前の泣き顔見てるとそそられておかしくなる」
覆い被さっている神津君は春の柔らかい青空を背にしていて、整った顔立ちに影が落ちていてぞくっとするくらいに大人びていた。
「わ…私…、好き……なの…。神津君の事……好きなの……」
「……」一瞬驚いた顔をした後、神津君の表情は困った時のものに変わる。「――俺は…考えてなかった。ごめん」
私の好意を利用して食い物にする事も出来るだろうに、正直に謝った神津君は視線を少し逸らす。小道のベンチの上で組み伏されている体勢でのやりとりは身体の疼きに意識をさらわれそうになる。ちらっと見える背の高いホテルの窓からは庭園を見下ろせてしまうだろう…見下ろした人の目にこの状態はどの様に映るのだろう。
「うん…言葉の端々で何となく判ってたから」
「俺はかなり異常な人間なのかもしれない。集団でお前の事弄んで…ビデオ上映会とかと同じ様に愉しんでいた。いや、生身のお前相手でやってて、いやらしい事をすればするほど愉しくて…恋人同士のセックスよりも大勢の方が愉しいんじゃないかと考えている」
そう話す神津君は真面目な表情で、それが私を振る為の言い訳でないのがよく判った。
「お前でその味を占めたから、お前と1対1でセックスしてもそれだけで満足する自信がない」
そんなに乱交というのは面白いのだろうかと私はぼんやり考えて…そして腰の奥がどくっと脈打つのを感じる。膣口から拭ってもぬぐっても溢れてしまっていた愛液が溢れて、もうぬるぬるになっていた下腹部からお尻へと伝っていくのが判った。
皆に見られて…それが恥ずかしくてたまらないのに背筋がぞくぞくした感覚が身体を火照らせる。貫かれて乱れる私を甚振る言葉の責めのたまらない…恥ずかしさ。
「都合のいい話だと自分でも思う。でも、俺は今、お前をもっと滅茶苦茶にしたい。もっとセックスを教え込ませて、しゃぶり方も教えて、知っている体位を全部試して、いやらしい言葉を教え込んで、開発したい。――でも執着や興味があっても恋愛じゃない」
神津君の言葉を聞くとぞくぞくと腰から背筋に甘い疼きが広がっていく。唇から漏れる息が浅く乱れたものに変わって、まだ腰が重いのに自然と太腿を摺り合わせようと膝がもぞもぞと揺れる。
「お前のその顔見てると、セックスしたくて頭がおかしくなる。――マラソン大会の時からもやもやしていた。正直、オナニーはもう一切なしで、全部お前で発散したい。ガキ臭いと思うかもしれないが、毎日、お前とセックスしたい。他の男に1対1で…抱かせたくない」
「ぁ…ふ……ぅ……っ、……、ゃ…だめ……」
青空と神津君の輪郭が潤んだ視界で滲む。毎日…神津君は自慰をしているのだろうか。あんな大きなモノで一人虚しく。全身がぴりぴりと疼いて、自分の想像をもったいないと訴えてくる。私も毎日自慰漬けになってしまうだろう…同じ様に神津君も自慰漬けになるのだろうか、私とのセックスや口を思い出しながら。
遊園地直営のホテルの部屋は家族用なのか8畳の和室と洋間が繋がっていて、4〜5人は宿泊出来る広い造りだった。浴室もユニットバスではなくてしっかりとしていて…神津君と私が一緒に使っても狭さをあまり感じさせない。
全身が疲れ切ってしまったのもあるけれど、スポンジにたっぷりとボディソープをつけて神津君に洗って貰う気恥ずかしさに私は壁に手をあてたまま動けずにいた。
淡い緑色のタイルの浴室は窓から陽光が差し込んでいて明るい。ゴンドラで肌を晒した私だけれど、タオルを巻いているとはいえ神津君が裸というのは初めてで、どこを見ていいのか判らない。
汗と精液でべたべたしていた肌をスポンジが撫でる。男の子のお風呂もこんなにソフトに洗うのだろうかという疑問が浮かぶくらいに、優しい。神津君の裸なんてとても直視出来なくて背中を向けている私を軽く抱きしめる様に両手が胸と首筋をなぞる。恋人同士の愛撫の様なたまらない甘さに身体が震えてしまう。
ただの後始末ではないと先刻の神津君の言葉で意識してしまう。タオルを跳ね上げている猛々しいモノをもっと盗み見てしまいたい、出来れば悦ばせたい胸と身体の疼きと、その主の焦らす様な手の動きにいつの間にか鳴き声が溢れ出す。
何度も繰り返し肌の精液の名残を洗い流された後、指がぬるりと膣内に滑り込んできた。
「はぁ……んっ!」
膣内にたっぷりと注がれた7人分の精液の残りを掻き出す様に膣の隅々を捏ね回す指に、私はお尻を前後左右に振ってその刺激に溺れきる事から逃れようとして…負けた。
「あいつらが帰ってくるまでに出ないと…判ってるのか?」
ちらりと神津君を見上げながら、私はぴっちりと唇を貼り付かせて何とか半分まで咥えている傘を舌で何度も舐め上げる。教わった通りに幹の根本から上へと指で絞り上げると少し塩っぽい粘液が尖端から滲み出てきた。浴槽の床についている濡れた膝の辺りまでねっとりと愛液がいるのは神津君にお願いして繰り返し何度も達した後の為で、私は頭の中も身体もぼんやりと甘く疼ききっていた。
神津君も指で女の子をよがらせる事が面白いのか、最後は3本も指を挿入して私を前後不覚の滅茶苦茶な状態にさせている。その後口元に突きつけられた傘に、私は躊躇う事も出来ずに舌を這わせた。私の身体を洗う前に湯加減を調節しながら洗っていた傘は愛液や精液の名残はなくてすんなりと舐める事が出来る。
咥えきれない大きな傘の尖端の亀裂を舌で少し開くと、頭に添えられている神津君の指に少し力が篭もった。男の人の、かすかな呻き声。ひくんと揺れる大きなモノに私の小鼻からうっとりとした啜り泣きが漏れた。まだどこか怖いのに、頭の奥が甘く溶ける。
私の身体を引き起こして、浴槽の縁に腰を降ろしている神津君はその膝に跨がせた。既にタオルは外してあるその下腹部には、勢いよく反り返って手を添えておかないと引き締まった腹部に当たってしまう硬く逞しいモノがあって、ひくひくと時折跳ねながら透明な粘液を尖端から滲ませている。
「……、だって…だって……神津くん…ずるい……」
膝の上に乗っている私の腿がぬるぬるになっている事は判りきっている筈なのに問いかけてくる神津君をほんの少し甘えて訴える私の唇を、彼の唇が塞いだ。
最初、どうすればいいのか判らなかった舌と唇が徐々にねっとりと絡まりあう様になり、私の胸が神津君の胸板で潰れて捏ね回され、そして子宮口を傘が何度も突きまくる。唇が少し離れるたびに甘い牝犬の鳴き声が溢れ、私は両手を神津君の肩に乗せて身体を上下させた。ぐちゅぐちゅと浴室に愛液が掻き混ぜられる音が篭もり、歯で唇を擦られながら、子宮口を小突かれるたびにこらえきれない声が私の唇から溢れる。
セックスが気持ちいいのかはまだぼんやりとしているけれど、でも膣内を神津君のモノに拡げられ掻き混ぜられて、みっちりと密集した剛毛がクリトリスを掻く刺激に絡め取られて私は行為の終わりを微塵も考えられなくなっていた。ずっとずぅっとこのままセックスしていたい。
こんな事を毎日されたら、それだけしか考えられなくなりそうだった。怖いのに、神津君の性欲が毎日の行為を必要としているのならそれに耽ってしまいたくなる。
時折胸を滅茶苦茶に揉まれる事も、お尻に指を食い込まされて揺さぶられる事も、唾液を流し込まれる事も、うっとりとして私は受け入れてしまう。
「あふぅ……っ、こ…こうづくん……いぃ…っ、そこ…っ、そことってもいいのぉ……」
「お前…懐いてくる子猫みたいだな。俺も…1対1も、意外といい…。――槙原は?」
「いじわる……ぅっ、神津くん…してぇ……もっと…もっとぉ、あっ、そこっ…あぅ…んっ!きもち…いぃ……とってもいい…の…、擦ってこすってもっともっといっぱいしてぇ…っ」
口の端から溢れてしまう涎を神津君が啜ってくれて、そして私の腰に両手を添えて激しく上下させてくれる。愛液まみれの幹が抜けそうなくらいに引き戻され、そして痙攣する膣口で愛液をこそげ落とされながらずぶりと貫き…私の膣が神津君の形に拡げられた。
「――あ…香奈ちゃん? 今日は途中で帰っちゃってごめんね。え?今…?少し体調崩して病院に寄ってるの…うん、気にしないで。本当に今日はごめんね。じゃ……」
ホテルの近くの公衆電話で受話器を置いて、私はふぅっと息をつく。既に夕暮れた屋外はほんの少し寒くて、私は神津君のジャケットの襟をしっかりと合わせる。ホテルの部屋からの電話では居場所が判ってしまうかもしれなくて避けたけれど、でもこの姿で部屋の外に出るのはかなりに勇気が必要だった。
ハイソックスにまで、愛液と精液が垂れている。お風呂とベッドを何度も往復して掻き出して貰っているのに、コロンをつけていても私の身体からは精液のにおいが漂っていた。
「ん……ふぅ……っ!」
受話器を置いた吐息の次の瞬間、ジャケットの合わせから潜り込んでいる神津君の指にクリトリスを強く摘まれて私は全身を震わせる。ひくっと蠢いた膣からまた粘液がどろっと溢れた。ホテルの庭園の隅で神津君に注ぎ込まれたばかりの精液だった。
裾が太腿の半ばまで届いているジャケットとハイソックスとローファー以外は何も身につけていないのに、私は強い不安と羞恥と同時にたまらない疼きに支配されて電話中もずっとソフトに私を弄び続けていた神津君を見上げる。多分、物欲しげに。
「部屋に戻るか。そろそろ佐々木達が玩具を買って帰ってきてる頃だ」
全身がふわふわと漂っている様な甘い感覚に神津君の腕にしがみつきながら、私は頷いた。
『空中浮遊』
Fin
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投稿2005/05/10(火) 22:12:55〜22:37:38+微修正