職員用の小さな通用門を開ける前から校庭方面から聞こえてくる賑やかな声に私は少し息をつく。7月も中旬。もうすぐ夏休み。三年の一学期期末試験も終わって受験生としてはそろそろ本気を出さないといけない時期なのに、一応は名の知れた進学校である我が校はそんな時期に何故か毎年陸上大会を開催してしまう。
生徒全員が校庭にいるから静まり返った正面玄関から事務室に寄り、遅刻届けの台帳に記入して私は息をつく。外は梅雨明け当日でとても風と日差しが強くて日傘も使えなかったからほぼ無人の校舎のわずかな気温差がありがたい。期末試験明けと同時に風邪をひいて月曜火曜と二日も休んでしまった上に今日の陸上大会ではとてもではないけれど参加が出来ない、という事で朝一番から病院に寄ってきた…けれど今日は本当に見学しかする事がない。
とりあえず鞄を教室に置いてきて、私は少し手持ち無沙汰で廊下を歩く。本当に誰もいない。担任の先生は校庭で各組の応援場所か競技場所に居るだろうけれど、見学組はテント内でずっと座っているだけになるから友達と合流する事すら出来ない。でも出席扱いにはなるのだからテントに行くべきなのだろうけれど、一年二年とそのテント内で更に体調悪化させた前歴がある私はかなり気が重い。
上履きの足音がちいさく響いて、他に誰もいないのだなとしみじみ感じる。昼間だから明るいのだけれど、それでも誰もいない廊下はどこか薄暗くすら感じてしまう。片方が教室で片方は廊下の場所は明るいけれど、両側が教室になっている西校舎の廊下は、突き当たりの非常階段用の磨りガラスが明るいだけで、それ以外は暗くて、そして少し涼しい。
非常階段と言っても鍵の施錠は中からは開けられるので、私は廊下から屋外の非常階段に出る。
鉄骨作りではなくてコンクリート製の非常階段の四階部分からは校庭全体を見下ろす事が出来た。北側が校庭で、まだ午前中の高い日差しは背後の校舎に遮られてギリギリ届かなくて、吹き抜ける風がスカートを揺らす。
進学校にしては結構校庭も広い上に陸上大会と言いつつも球技大会もしてしまう我が校はぱっと見渡しただけでも十以上の競技が同時に行われているらしい。基本は各組用の応援場所で待機と応援をするのだけれど、例えばバスケットの試合の時はバスケットコートに応援団で出張したり各々自由な部分が多い。ただ、条件として校内に戻るのは担任の許可が必要。
「槙原」
不意に声がかけられてびっくりした私の目に、階段を昇ってくる神津君の姿が映る。ちょうど今どこにいるのか探していた姿が目の前に現われ、私は何を言えば判らなくなってしまいながら何とか会釈をした。
「おはようございます」
「おはよう。――身体、平気か?」
階下からの強い風に神津君の汗のにおいが混ざっていて胸がどきっとする。
「あ、え、えっと…風邪。いつもの夏風邪、もう大丈夫」
「そうか」
ほぼ毎日セックスをしてしまっている相手だからもしかしたらまずい事になったのではと心配してしまったのかもしれない。そして私が貧血体質なのは相変わらずで、神津君にはいつも迷惑をかけてしまっている。同じ踊り場に来た神津君はドアの脇に背中を預けて、首にかけていたタオルで額に浮かんでいた汗を拭う。
「神津君、もう中距離走終わっちゃったの?」
「ああ、つい先刻。後は応援合戦だけだな」
少し疲れていそうでそれでいて気持ちよさそうなのは、どちらかと言えば運動が好きでない私と違って神津君は運動神経がよくて運動を楽しめるからなのだろう。多分私が中距離走に出たらその後しばらくは歩きたくもなくなってしまう。
と、私は手にしていた小さな布鞄から水筒を取り出して神津君に差し出した。
「ええっと…レモン水、氷入れてあるから冷たくていいかも。ええっと、まだ飲んでないから口つけてないし、どうぞ」
四百ミリリットルサイズの小さな水筒は男子がよく持っている一リットルサイズと比べてとても小さいからもしかしたら今の神津君だと一気に飲み終わってしまうかもしれないなと思っていると、神津君がじっと私を見た。
「……。今更口つけたつけないって、ありか?」
確かに毎日の様にえっちな事をしていてそれはなしだろうか、でも神津君に直視されるといつでも今でも恥ずかしくて堪らなくて俯いてしまう私の耳に、くくっと楽しそうな抑えた笑い声が届く。
「他の、他の皆は、元気?」
何とか恥ずかしいのを誤魔化したくて口にした言葉に、私は自分ながらに少し驚いてしまう。――他の皆。須藤君や佐々木君達、神津君と一緒に私を好きに出来る人達。その中でも神津君は私の特別な担当で毎日セックスしているけれど、他の男の子達も毎日ではないけれど…私を抱いている。神津君と一緒になって。この春から、ずっと。そんな『仲間』の話をしてしまうとまるで私が乱交を楽しんでいる様に思われてしまうかもしれない、そんな可能性に私は慌てて顔を上げ、そして神津君の顔が近くにあるのに気づいて凍りつく。
「――かなり、欲求不満。特に俺が」
校庭を見下ろす姿勢で鉄製の手摺りを掴んでいた私の手が引かれて、校舎側へと倒れ込みそうになる私を神津君の腕が搦め取って、そして唇が重なった。
セックスの時と運動の後の汗のにおいは違うんだろうか?
搦め取られた様に非常階段の踊り場にずるずると身体が崩れ落ちながら、神津君の舌が私の口内に侵入してくる。日向のにおい。汗と土のにおい。熱い身体。今先刻まで日向で走ってた神津君の身体はかなり汗をかいていて、こんな事を感じてはいけないのだけれど少し不快な感触がして、でもそんな不快な感触がたまらなく男性を感じさせて、頭の中がくらくらする。
耳に届くのは非常階段のすぐ外で開催中の陸上大会の歓声。競技用ピストルの音、女子が意中の男子を応援してる甲高い声、男子の唸り声、とても混沌としていて、いかにも青春な健全な喧騒。そんな中、至近距離では、舌を絡めあう音が鳴っている。
ほとんど毎日セックスをしているから数日の中断で欲求不満になってしまう神津君。私はこの月曜火曜…いや土曜に熱を出したから日曜日も、三日もいやらしい事をする余裕もなく寝込んでしまっていた。寝込んでいる間は少しもなかった性的な衝動が、神津君の姿を見た途端に身体を支配してしまう。神津君とイコールでセックスと考えるのは失礼なのに、でも神津君主導で快楽を教えこまれてしまっている私の身体は簡単にスイッチが入れられてしまう。
多分三分くらい、もしかしたらもっと長い間、非常階段の踊り場に座り込んで濃いキスを繰り返した後、唾液の糸を引いて唇が離れた。
「槙村ひんやりして気持ちよかったんだけどな」
「えっと…冷却シートみたいな感じの話?」
火照り始めた身体が熱を帯びるのは当然で、でも神津君にそう言われるとどうすればいいのか判らなくて困惑する私に、抱きしめたまま神津君が笑う。多分、春先よりこうして二人きりの時に神津君が笑う回数が増えている気がする。それだけで幸せになってしまう。
「いや、汗まみれになるのがキツい季節に変わりないなって話」非常階段脇の壁に背中を預けて座り込んでいる神津君の足の間で膝立ちしている私の首の後ろにはまだ神津君の腕が回されていて、まだまだ近い距離になっている。そんな状態日向より少しだけはマシな日陰を風が吹き抜けていく。「……。俺の方が汗まみれだ」
少しすまなそうに言う神津君に、私は慌ただしく首を振る。その汗のにおいにすら興奮してしまうなんて異常な性癖なんだろうかと恥ずかしくて、でもそういった所に気を遣ってくれそうな神津君に遭遇して即座にキスをして貰ってしまうのが贅沢な気がして、頭の中がごちゃごちゃになって上手に言葉が紡げない。
さぁっと風が吹き抜けていって思わず目を閉じてしまった私の髪を神津君が撫でて整えてくれた。自分でそんなのは直さないととか気恥ずかしさとか考えている間も顔が熱くて、でも神津君の視線やちょっとした動きが常より慌ただしくて少し苛立っている様に感じられる。
「……。休み中に何かあった?」
「? あぁ、いや、何もない。せいぜい期末試験が返ってきたくらいで。俺の結果はいつも通りだった」
その結果は聞くまでもないだろう。進学校だから競争心を煽るのかデリカシーに欠けるのか、返却時に組内順位三位まで発表する先生もいれば、大胆にも全員の点数をそのまま読み上げる先生までいる。そして神津君が上位三位から外れた大事件を私は聞いた事がない。――ちなみに私は中の中と言った所で最近は事の後に神津君達が帰路に教えてくれるのもあって中の上くらいに上昇している。でも、そんな事を当然の様にさらりと言う神津君も相当の自信家でそして実力が伴っているのが凄い。
ぽけっと次の言葉を待つ私の前で、神津君が横を向いたりせわしない動作を繰り返す。
神津君の成績は相変わらずで、私もただの風邪で…後の他の要素が想像がつかなくて指を顎にあてて考える。
「……。中距離走で何かあったとか?」
「問題ない。連中も特に問題ない。槙原もまだ本調子と言えないだろうけど風邪が治って何よりだ」
気まずそうな顔でそう言われてもどう返事をしていいのか悩んでしまう。
と、たまに私が悩んで空や壁に視線を彷徨わせている時に神津君が私を見ているのに気づく。不意に視線があって、そして離せなくなる。どくんと心臓の音が大きくなって、階下の歓声が耳鳴りの様に近くて遠いものに変わる。今までにも何度かこういった事があり、何となく神津君の考えている内容が判った気がして、でもそれは勘違いだと恥ずかしい事で……。
神津君の脚の間に割り込んでいる状態の自分の膝が、膝の近くのあるものに、意識が向いてしまう。どくんどくんと心臓が鳴っているのが神津君に伝わってしまいそうで怖い。思わず息が止まりそうになる。耳鳴りの世界のどこかで気の早い蝉の鳴き声。土埃と汗と水のにおい。さぁっと神津君と私の脚のわずかな隙間を風が吹き抜けていく。神津君の体温が伝わってきそうな距離と熱をはらんでいて、それでいて心地よい夏の風。
神津君の手が私の腕を掴み、引き寄せた。
いつもはかなり手加減をしてくれているのに、今日はかなり容赦のない手の力で二の腕を掴まれた瞬間、頭の中の疑問が確信に変わる。その確信を裏付ける様に神津君の唇が私の唇に重なり、そして抱きしめる手が背中や腰を荒々しくまさぐり、まるで全身で私を確認する様な激しい動きで目茶苦茶にする。直前にも濃厚なキスをしたけれど、今度のは違う。キスだけで満足しない、交わりを前提にしているキスだった。
校内で。いつ誰が来るかも判らない、もしかしたらグラウンドから見えてしまうかもしれない非常階段の踊り場で、陸上大会中の、たくさん人の気配がする場所で…神津君も、そして私も、発情している。神津君が興奮してしまえば私のスイッチなど簡単に入ってしまう。まるで手懐けられた犬や猫の様に神津君の行動を全身で待ってしまう。乱交好きで屋外好きでスリル好きという常識的に考えれば困った嗜好の人なのに、私にとっては神様に等しい人。
進学校で生徒の自主性を尊重する校風の為か、女生徒のスカート丈は入学時の校則の膝丈からウエストで重ね上げた超ミニまでかなり各々自由な格好をしている中で、私のスカートは膝丈より少し上。これは校則通りに作ってからほんの少しだけ背が伸びたおかげで、でもまだまだ中学生に間違われる私だから入学当時は更に悲惨で……。
「ん……ふ…っ!」
神津君の手がブラウスの上から乳房を掴む様に揉みしだく。皺一つないブラウスに確実に跡がついてしまいそうな荒々しい力で、掌から指先まででまるで片手でボールを掴み上げるみたいな握力は痛くて、でも神津君の指の付け根近くになる私の乳首が恥ずかしくなるくらいに硬く尖って疼き切ってしまっていた。何かを絞りじっくりと甚振る様な力なのに、神津君の舌の動きは私の口内を性器に見立てているみたいに卑猥にねっとりと粘膜を撫で回す。舌を深く突き挿れられるたびに、して貰えていないのに膣口がぎゅっと締まる。片手は乳房に、そしてもう一方の手はお尻にあって私の身体はまるで粘土工作か何かの様に捏ねられ、徐々にブラウスの裾がスカートの中で上がっていく。
ぴちゃぴちゃと舌を舐められながら頭に血が昇っていく。見つかったら二人共内申書に傷が付いてしまう。中の上程度の自分にとっても致命傷だけれど、傷一つない神津君に迷惑をかけられない。頭の中に不安が過る。でも、神津君が欲しい気持ちにスイッチが入ってしまった私の身体はもう止めようと考えても行動に繋がってくれない。
乱れた呼吸を互いに繰り返しながら、神津君の手が私のブラウスのボタンを外し、私は神津君の意図に合わせて身体をくねらせてその動きを補助する。今日の神津君はいつも以上に激しく、ボタンが千切れそうなくらいに荒い動作で私のブラウスの前を開き、そしてスカートのウエストから裾を引きずり出す。まるで獣か暴行みたいな動きなのに神津君の顔はあくまでも秀才系の涼やかなもので、そしてまっすぐな目が私を射抜く。
背中のホックを外すのももどかしいのか神津君の手がブラジャーのカップを力任せに降ろし、私の乳房がぶるんと露出する。唇が重なり合ったまま私は喘ぐ。どくんどくんと身体の芯が脈打って愛液が下着をすっかり湿らせているのが判る。いやらしい身体。いつでも神津君が貫ける様に発情して簡単に準備が整ってしまう。はしたないと軽蔑されてしまわないかいつでも心配で、それなのに頭の中は蕩けて責めを待ち焦がれていて…。
神津君の唇が離れ、キスが頬と首筋から胸へと降りていく中、私はブラジャーのストラップが肩から落ちて身動きが取り難い状態のまま自分のスカートの左右を指で握りしめる。キスマークを残す吸い付く音がするたびにちいさな喘ぎが漏れ、乳首と乳房を手が荒々しく揉みしだくたびに腰ががくんと揺れる。下腹部から内腿の辺りの空気が酷く蒸れていた。長身でほどよく筋肉の付いている神津君に絡め取られたまま、胸だけは育って後は貧弱でみっともない姿の私は徐々に、全身で呼吸を繰り返しながら、本当にじりじりとスカートの裾を持ち上げていく。
焦らしているつもりはなくて、毎日神津君に応えているのに勇気がなくて手が早く動いてくれない。それでも徐々にでも手は上に上がっていき、膝を撫でていた風が腿を、そして腿の付け根を心地よく撫でていく。心地よいのに、自分の姿を指摘されているみたいでたまらなく恥ずかしい。
「槙原それが好きだな」
大胆過ぎるくらいの、あまりと言うかほとんど柔毛がない自分だから隠せる程度しか布の面積がない上、前も後ろも殆どがレースで肌が透けていて、アダルトそうでいてリボンとフリルが少し少女趣味な下着を好きと指摘されて頬がかぁっと熱くなる。別にいやらしい下着が好きというワケではなく、その証拠にこれは私が気に入って購入した物ではなくて、自前のを駄目にしてしまった時に佐々木君が事前に準備してくれていた物だった。皆が似合うと言った中でも、神津君が似合うと言うから着用度の高い順番に入れているだけ。――こんな、凝視すればクリトリスも何もかも見えてしまう淫らな下着は、私は到底買う事など出来ないのに。
はぁっと息を漏らす私の身体が、下着の上から敏感な場所を一撫でする神津君の指にがくんと跳ね上がる。ぶるぶるっと全身が激しく震える私の乳首を噛みながら、神津君の指に下着の上からクリトリスを摘まみ上げられ悲鳴を必死に堪えている間に、神津君がただでさえ小さな透けた下着を脇にずらし、そしていきなり指を二本も挿入した。
「あ……ひん…っ!」
ぐちょっと湧き立ったいやらしい音が一度目の後は何度もひっきりなしに続き…神津君の指が私の膣内を激しく掻き乱す。伸ばしたまま、指先を曲げて、指を開かせようと暴れさせながら、まるで腰を打ち付けるみたいな卑猥な動き。
このまま崩れたい切ない気持ちよさともっと責めて欲しいもどかしさで腰を引きそうになり、私は懸命に首を振りたくって声が溢れるのとみっともない体勢になってしまうのを堪える。
神津君は男子だから私より指が大きくて当然だけれど、でも神津君のあれはもっともっと大きくて、そしてそれを毎日の様に迎え入れてしまっているから身体も心も神津君のものに溺れきっている。大きいからだけでなく神津君のものだからなのは当然だけれど、大きさも要因のひとつなのも否めない気がして…そんな自分を穢れてると感じて、でも私をそうしたのは神津君で…つけ上がってしまいそうな自分が怖い。して貰えるのが当然で、目茶苦茶にして貰うのが当然で…何て贅沢に慣れてしまっているのだろう。
声をあげない様にしても蕩けた身体はどうしようもなく、私の全身に汗が滲み、昂ぶりきった牝のにおいが漂う。いやらしい。止めたい恥じたい気持ちでいっぱいなのに、私の喘ぎ声は濡れ切っていた。
背を丸めた私と背筋を伸ばした神津君の唇が重なり、歯が当たるのも気にしていられない獣染みたキスを繰り返しながら、徐々に階段へと私の身体が倒されていく。
階段自体はコンクリート製でも手摺りは金属製で、視線を動かすとグラウンドが階下に見える。陸上大会はたけなわで大勢が動いていて、課外授業の一環をサボっている事への罪悪感よりこれからもっといけない事をする困惑と期待に身体がくねる。私の頭の横に手をついた神津君が体操着の前を上下にはだけさせ、既に十分過ぎる位に猛っているものが露わになる。
会話らしい会話もないのに神津君の欲望が頭がおかしくなりそうなくらいはっきりと伝わってくる気がした。「きて」くらいは言ってもいい様に思うけれど、私も言葉が出てこない。キスして欲しい貫いて欲しい…でもして貰えるのが判ってる。熱に浮かされている感覚。神津君の汗のにおいと、その肩の向こうの夏空。
ぐちゅっと粘膜に傘が擦れる音が湧く。
見下ろしている神津君の目はいつもより攻撃的で怖いくらいなのに、それに従う事はとても自然な事で、私はスカートを持ち上げたままの手を左右に降ろす。神津君の手が両足を抱えて腰を突き出すと内腿まで潤滑液が溢れていた私の膣口にあっさりと傘が当たり、そして膣内に赤黒い熱く硬いものが力強く捩じ込まれた。
「ぅ……あ…あぁ……っ!」
私が小柄だから膣も小さいのか毎日迎え入れていても交わりの最初はかなり辛く、そして三日ぶりの神津君はやはり大きく、私の全身が強張ってしまう。いつも最初だけ感じる拷問の様な苦しい被征服感。貫く側の男の人は自分の分身が圧迫される事への抵抗や痛みはないのだろうか?
上り階段に背中を預けている私の肘がステップの奥に追い込まれて逃げ場を失う。動けなくなった腰に、神津君が膣奥まで一気に肉槍を押し込み、動きを止める。ぎっちりと膣を圧し拡げる逞しいものの熱さに感化したみたいに更に汗がじわりと滲む私の肌を風が撫でる。スカートは腰まで捲れたままで、ブラウスの前はすべてはだけ乳房も剥き出しになっていて…びくびくと痙攣する脚に上履きのままの爪先が宙を掻く。
とても嗜虐的な表情で神津君が笑った。
神津君が動かないのに、私の腰が無意識にぴくぴくと前後に震えるたびに、膣口からお尻の窄まりの辺りに密着している袋が擦れる。いくつもの皺が横に寄った肉色を帯びた灰色の袋に愛液まみれの窄まりの辺りを細やかに擦られ、喘ぎそうになり歯を食いしばる私の膣が脈動し神津君を締め付けた。
「ぅあ…ぁあああ……っだめぇっ、だめだめだめだめぇ……いく…ぅ……っ!」
熱く滾る血管と神経で細かな火花が無数に爆ぜる。どくんどくんと全身が、特に膣肉が淫らに脈動し、結合部の辺りから熱い液体が溢れて神津君を汚すのに止められない。失禁に似た爽快な解放感に恍惚とする私の声を、唇を重ねた神津君が飲み込む。
ぴちゃぴちゃぴちゃと結合部から滴った液体が階段に弾ける音が耳に届く。
こんな場所でお行儀が悪いなんてレベルではなく、心臓が早く脈を打つたびに私のいやらしい場所が神津君にむしゃぶりついて膣口から膣奥へ波の様に蠢きを繰り返す。頭の中で血液が激しく流れて海鳴りに似た音が押し寄せてくる。ぽろぽろと涙が溢れるのに全身が気持ちよくて小刻みに震え、そして神津君の身体に重なる部分も空気が触れる部分もすべてが敏感になっていて、指先で触られたらそれだけでまたいやらしく達してしまいそうで堪らなく恥ずかしくて…でももっともっと恥ずかしく苛めて欲しい。
「槙原、溜まってた?」
ぐったりとしている私の口内をずっと舐ぶっていた神津君が唾液の糸を引いて唇を離し、少し意地悪な口調で聞いてきた。
「……、たまってるって…判らないかんじだけど……すごく…その…すごかったです」
「過去形じゃないけどな」
白い体操着も紺の短パンも私の飛沫を吸ってしまうだろうに咎めない神津君に感謝したいのに、その声音も内容も不穏である。つんと尖りきった乳首を神津君の体操着が擦り、ぞくんと全身が震えた。
「ピルは?寝込んでいたならやめていたか?」
「ちゃんとスケジュールにあわせてるから…平気」乱交をしていても基本は優等生グループで試験に集中する時には集中する神津君達だから、試験中の乱交中止に合わせて私の生理は調整している。――代わりにフェラチオなどはやっぱりしてしまうし…お尻を使うという手段もあるけれど私の体調がかなり悪くなるので、目茶苦茶な平常時に比べれば悪戯を少しエスカレートさせた程度に収まってくれる。「だから……」
「だから?」
私が一度達してしまって精神的な満足が得られたからなのか、先刻のぎらついた雰囲気が薄れた神津君がゆっくりと腰を動かす。――私がセックス漬けにされて余裕がなくなるのに比例して、神津君はセックスを重ねるたびにいやらしい攻めを愉しむ様になっていく。
「……、神津君の…ください」
他の人達の前でも私をいやらしく攻めるけれど、二人きりの時、私は神津君の性欲処理係に近い。性欲処理の淫蕩な牝、そうなれと神津君が命令しているでもないのに、彼の命令するがまま望むがままの玩具。正直対等な間柄ではなくて、でも嫌ではなくて…恥ずかしいのに頭の芯までうっとりとしてしまう。
階段についていた手をそろそろと動かし、私の指が小さな襞と丘を更に左右に開く。下腹部全体が粘液まみれになっていて指が滑るから何度も何度も開く私の指が貫いたままの神津君のものに触れてしまった。柔らかな粘膜や薄くて小さくて頼りない襞と、膣口をみっちりと広げている猛々しいものは残酷なくらいに違っていて、まるで子供を大人が犯している様にすら思えて、そしてその発想に更に私は興奮してしまう。
「ごめんなさい…他の人がいないのに……」自分があまりにも幸せすぎる気がして怖くて、私が気づいていない不満で神津君が嫌な思いをしていないか不安になる。その言葉を口にした途端、神津君の手が私の真横のコンクリートステップを叩いた。「――!」
自分の頬を叩かれた様な驚きに身体が竦む。
「お前、たまに嫌になるくらいに神経を逆撫でするんだよ」
氷を思わせる神津君の低い声に私の全身から血の気が引く。膣内には神津君がまだあるのに、怖くてたまらない。何が怒らせたのかが判らなくて、とにかく神津君に許して欲しくて、泣きたくて、言葉を口にしなくてはいけないのに何を言えばいいのか判らない。
私を見下ろしている神津君の顔は端正で、無表情に近い冷たい表情と鋭い目に、怒らせてしまったのに魂をぎゅっと掴まれたみたいな感覚に囚われる。
「お前、乱交が好きなのか?嫌いなのか?」
神津君が乱交が好きだから私としてはそれもありなのかなという心構えで、でも怖い神津君にそう問われると判らない…判らないと言ってはいけないのかもしれない。――心が萎縮しているのにぞくんと全身が震えたのは、神津君と須藤君に同時に責められる時の目茶苦茶な快楽を身体が思い出した為だった。口と膣を同時に犯されてまるで人形みたいに激しく揺さぶられ、どちらともいっぱいで苦しいのにまるで口から膣まで直結しているみたいに全身が性器になってしまった感覚、あれは多分一対一だとありえない気がして……。
眩しい青空を背にしている神津君の視線が突き刺さる。
神津君と須藤君に同時に弄ばれる想像の後、佐々木君が最近凝っているローター攻めを続いて思い出してしまい、更に私の身体がびくんと震える。乳首とクリトリスにローターを貼り付けられたまま机に縛られて脚は大きく開いたままで、皆に見下ろされたまま大きなマッサージ機で下腹部をぐりぐりと責められる酷いもどかしさや、皆のものを舌で舐めながら泣きじゃくって挿入をお願いしながら何度も何度も達して言葉も出せなくなるくらいになってからのあのセックス。ぞくんぞくんと全身がざわめき、膣が神津君を締め付ける。
「――いやらしいな槙原」
神津君がいないとすべて駄目なのに、神津君じゃない人がいても反応してしまう身体が怖い。でも神津君がいてこそなのに。それを言うと神津君の気分を害してしまいそうで更に怖い。性欲処理係だと割り切ればいいのに、他にも望んでしまうから悪いのか、顔色を窺ってばかりの自分が駄目なのか、でも好きというのは相手の願いを叶えたい面があって当然で…頭の中が目茶苦茶になる。頷いていいのか首を振ればいいのか判らない私の耳に、神津君の声が聞こえる。
「槙原?」
「神津君がいないと…」どうにか口にした言葉に、神津君は私の顔をじっと見た。「他の人だけだと多分怖くて…、神津君なしだと…多分……嬉しくないから」
「多分?」
私の物言いが曖昧だからなのだろう、神津君が確認する様に言う。はっきりと『神津君のいない乱交だとしたら参加しない』と言えればいいのに。私のその考えが神津君の希望に反したらどうしようとか考えてしまうと曖昧な言葉しか選べない。でも乱交好きと誤解されるのは素直な話嬉しくない。意気地なしな自分が情けない。
私を見下ろしながらふぅんと曖昧な声を漏らした神津君が少し視線を彷徨わせ、そしてコンクリートを叩いた手が耳元から胸をゆっくりと撫でる。
「キス、したい?」
「……。はい」
膣奥まで挿入されて苦しいくらいの一体感が堪らないのに、その上神津君の手は私の胸をじっくりと捏ね回す。神津君の指が子供っぽい私の身体に不似合いな大きくていやらしい乳房に食い込むとそれだけでぞくぞくして身体中が脈打って…そして膣が卑猥にうねり勝手に神津君を美味しそうに絡んで締め付けてしまう、とても淫らな膣の動きが自分でも判っていて恥ずかしいのに、その刺激が気持ちよくて私は喘いでしまう。
「こんな場所でやられてて、気持ちいいのか?」
「はい……っ、きもち…いい……です……」
神津君が私の膣の具合が判らない筈がなくて、いっぱい抽挿して欲しくて焦れてしまう私の腰が階段のステップの上で小刻みに前後する。時折グラウンドから聞こえる皆の声がわっと沸いてそのたびに全身が強張って現実に引き戻されて、そして少しだけグラウンド側へ動けば陸上大会を見下せてしまう非常階段で神津君に貫かれている背徳感が更に身体を熱くさせる。
「次にどうされたい?」
「……、ください」
セックスが気持ちいいのは確かだけれど、神津君とのだから没頭してしまうのだと判って欲しくて、でもそれが好意の押しつけになってしまうのが怖い私に、神津君は乳首を指先でぎゅっと潰す。迸りそうになる声を抑える事が何とか出来たけれど、がくんと大きく跳ねた腰の、神津君に限界まで拡げられている結合部からまた熱い液体が溢れてコンクリートと互いの腰に弾けた。
「――ぁ……ぁあああ…ごめ…ごめんなさいっ、ごめんなさいっごめんなさい……っ!」
「……、謝るなら、俺も悪い事ひとつしていいか?」
汗まみれだから気にならないかもしれないけれど神津君の体操着も潤滑液などは乾くと目立ってこまりそうなのに…そう考えてからそう言えば体操着なのだから当然着替えの制服がある筈だと気づいて少しだけ混乱が収まった私に、神津君が少し険しい顔で問いかけてきた。
「? いいけれど……」
乳首を摘まんでいた指が下へ滑り、そして、腰の辺りでレースが裂ける音が鳴った。一度だけでなく、何度も何度も鳴って、確認するまでもなく、恐らく私の履いていた下着は繊細なレースが無残に裂けてぼろぼろになっていく。まるで怒られたみたいで、でも何故かレースが裂ける音が鳴るたびに全身がびくびくと妖しく震えて頭の中が甘くぼぉっとしてくる。
「下着の替えは?」
「あるけれど……」
「でも今日はパンツは履くな。当然これも脱ぐ。いいか?」
ぞくんと全身が震えた。ぼろぼろの下着がまるでレイプみたいで、でも神津君にならどれだけハードな事をされてもすべてが甘いお酒みたいに気持ちよくなってしまうだろうと考えながら頷く。佐々木君が用意していた替えを駄目にしてしまって申し訳ないなと思うけれど、神津君は似合うとは言ったけれどこの下着が好きではなかったのかもしれないなと少しだけ頭を掠める。
二人とも腰を動かしていないのに、神津君の指がレースを裂くたびに膣肉が激しくざわめき、神津君のをぎゅっと絞ってはわずかに緩みながら前後に波打って私を喘がせた。見下ろすと、子供っぽい下腹部にレースとフリルのボロ切れが無残に纏わりついている光景は透けて見えるどころではなく私のクリトリスも下腹部も剥き出しに近く、でもぼろぼろの下着がもの凄く卑猥に見えるのは…その奥で結合部から根元近くを露出している神津君のものがとても逞しくそして黒ずんでいて陰毛も茂り腿も腰も引き締まっていて、赤ちゃんみたいな私の肌や下腹部との組み合わせが酷く生々しいからかもしれない。
「ぁああ…履かないから……、だから…だから……おねがい…っ。あぅっ…あぅぅ……っ…あつぃ…ぁ…ううっ……がまんできない……っ」
もし私が上に乗っていたのならば神津君の許しを待たずに腰を動かしていたかもしれない。――頭がおかしくなりそうだった。下着の無残さが、まるで神津君が私を犯したい衝動の証の様で、神津君が求める自分の出来る事なら何でもするのにとかそんな考えを超えて、もっともっと卑猥な事でも目茶苦茶な事でもして欲しくなる。
「腰動かしてないのにイキそうだな」
「はい……っ…いきそう…ぉっ、ぁ……あぁ…ぅっ」
神津君の口調が柔らかくなったのを感じた瞬間、身体中が重力から解かれた様に浮遊感を増して頭から爪先まで甘く溶けそうになる。全身で繰り返す呼吸が激しく乱れて、深く吸い込もうとする空気は神津君の匂いでいっぱいで、うっとりしているのに贅沢が加速していく。
神津君の手が乳房を掴んでゆっくりと捏ね回しながら、待ち焦がれていた引き締まった腰が優しく引かれ、そして突き出された。
「――あ……はぁぁぁぁぁぁぁ…ぅっ!」
堪え切れない声が溢れてしまい、私は濡れた手で口元を抑える。ぬるぬると指と指の間も掌も滑るのは先刻結合部を開いていて潤滑液が絡みついているからだった。まだ神津君は射精していないから精液のにおいはしなくて、それが更に私ばかり興奮して快楽を貪っている現実を突き付けられてしまい恥ずかしくなる。
ゆっくりの抽挿を繰り返す神津君は青空を背負っていて、白い体操着が汗を滲ませた首筋に映えてとても精悍で眩しい。こんな人に挑まれてる…逞しいモノが私の中を蹂躙してる、その事実だけでもう天国にいるみたいだった。学校の非常階段は風が吹き抜けていくのに二人とも汗まみれだからなのか近いからなのか神津君のにおいに満たされていて、開いてる腿に神津君の引き締まった腰を感じると階段の硬さも忘れてまるで柔らかなベッドの上の様に身体をくねらせてしまいそうになる。
「こうづくん…っ……こうづ…くん……っ……」
大声を出さない様に堪える私に意地悪をする様に神津君の腰の動きは大胆になっていき、腰をぶつけあう濡れた音がはっきりと鳴り繰り返された。グラウンドの喧騒はそれよりも大きいから三階の音など届かないだろうとは思っても、秘め事としても潤滑液としても恥ずかしさを煽られて私はよがり狂ってしまう。腰を突き出されるたびに仰向けの乳房が前後左右に弾み、ぼろぼろの下着が愛液で惨めに肌に貼りついて、脱がされかけの服がすべて疎ましくなる。学校で、屋外で、はっきり隠れていると言えない状況で全裸になるのは正気の沙汰ではないけれど、汗を吸ったブラウスもスカートも何もかもが邪魔になり、脱いでしまいたくなる…もっと素直に言えば神津君の肌に密着したい。
泣き声に近い喘ぎを繰り返して神津君を見上げる私の唇を神津君の唇が塞ぎ、まるでむしゃぶりつく様な荒々しいキスで舌を舐められ、唾液が混じり合う。こくんと唾液を飲み、抱きつきたい衝動を堪え切れず神津君の舌に舌を絡ませる。ずっと一緒にいると伝わってくる事は多くて、神津君はあまり密着型の体位は好きではない、と思う。でもこんな時には彼にしがみつきたい衝動に駆られてかなり躊躇ってしまう。触りたいけれど神津君に嫌われたくない。自分ながら卑屈だなと思う。
わぁっとグラウンドで歓声が湧くたびに神津君の身体がかすかに跳ねて強張る。多分私も同じで、本当は陸上大会に参加しないといけない気まずさを感じて、でもその気まずさに急かされて動きが激しさを増していく。
ぐちゅぐちゅとひっきりなしに湧く粘液質な水音に、私のよがり声が溶ける。気持ちよくて恥ずかしくて屋外の階段のステップの上で私の身体はくねり続けてしまう。下着を破る必要のなくなった神津君の手が私の足首を掴み、両足を左右に大きく開かせる形に上げさせた。
「だめ…っ、みえちゃ…うっ……あしあげちゃだめぇ……っ」
甲高く上擦ってしまう声で制止しながら、私の全身は脚を高く上げられたまま続けられる神津君の抽挿に溺れてびくびくと跳ねて悦んでしまう。口の端から溢れる唾液を、汗まみれの身体を、いやらしく濡れ過ぎた下腹部を拭いたいのに指先ひとつ自分の意思で動かす事が出来ずに淫らに藻掻くだけになる。はだけた胸は腰を打ちつけられる度に前後左右に暴れる汗で濡れた乳房がまるで軽く叩かれている様な湿った音をたて、下腹部のあからさまで卑猥な抽挿音に混ざり絶え間なく響く。
濡れて滲む視界の中で、神津君の精悍な顔を汗が伝い、顎から落ちて私の肌に弾ける。
「はああああああああんっ!」
敏感になっている肌に汗が弾けた瞬間、私の全身ががくんと跳ねる。貫いて責め続けてくれている逞しくて熱いものに拡げられている膣はずっと蠢き続けているのに、更にぎゅっと縮まり、苦しいくらいの圧迫感に声が迸ってしまう。まるで硬い棒を捩じ込まれて動かされているみたいな異物感と、自分の全身が女性器になって神津君に貫かれている錯覚に頭の芯まで甘く煮え滾ぎり白熱化する。汗の一滴でも達してしまう。唾液でも汗でも精液でも、神津君の露ならすべて染み込んで欲しいいやらしい牝になってしまっている自分が恥ずかしくて彼に気づかれたくないのに、そう変えた彼は多分私が達しているのはお見通しで……。
他の人ではそんな達し方しないと伝えたい。でもそれを伝えて神津君に嫌がられたくない。
痙攣する上履きの爪先が太陽を遮っては外れるのが眩しく、そよぐ風に上気した汗まみれの肌を撫で回され、恍惚としながらどこか不安が過る。
「玲」激しい抽挿の最中なのに神津君の声は静かで、でも少し上擦っていた。「願い事、一つ言っていいぞ」
答えを待って神津君の腰の動きは止まるけれど、膣奥に傘の先端を押し付けている状態はとても征服的で頼もしくて、ずっと淫蕩な脈動を繰り返している膣はそのままだから少しも身体の悦びは減らない…いや逆に、子宮口に押し付けられている傘はずっとずっと慣らされている膣内射精をどうしても意識させられる。中に出して、そんな言葉は神津君には不要で、でも言わせたいのだろうか。でも、今私の言いたくて仕方ない言葉はそれとは違っていた。
「おこらない……?」
「怒らない」
「ふゆかいにならない?」
「……。保証はしない、でも恐らく大丈夫だ」
願い事を待つ間にも神津君の汗は弾けて、何度も達してしまう私をいなす様に神津君が上げさせている脚を軽く舐める。軽いキスに続く舌の動きが卑猥で鳴く私のお尻を潤滑液が伝い、膣が神津君を脈打って締め付けた。全身が淫らなにおいでいっぱいで、もう絶対に同級生の集合場所にはいけないだろう…それに多分神津君の精液のにおいも加わるし、下着ももう履けない。それなのに胸がどきどきしてしまう。
「きらいに…ならない……?」
「お前、本当に自信のない奴だな。――馬鹿」
神津君の答えが嫌いにならない約束と違うのが不安で、自信がないのは当然で、だから何が言いたいのか判らなくて泣きたい気分なのに、神津君が私に願い事を質問してくれた事自体が嬉しくて、身体よりも更に心が熱くて、心臓が破裂しそうというのはこういう状態なのだと思う。
「あのね……おこらないで…? あのね…、あの……しがみつきたい、です……」
数秒の沈黙の後、膣内で神津君のものがびくんと跳ねる。思わず退け反って声をあげてしまった私の目には神津君の顔は逆光で、直前に明るい空を見上げてしまった視界が順応せず表情が読めない。
「いいよ。お姫様」
少し楽しそうな声の後、神津君が身体をこちらに傾けてくれた。堪らなくて無意識でやってしまう事はあるけれど許可されて彼の身体にしがみつくのはほとんどなくて。自分から望んで抱きつくなんて贅沢過ぎて嫌われるのが怖くて、それなのにお姫様なんて物言いされるのが意外でならなくて、怒っていなそうなのが嬉しくて…多分顔が真っ赤になっていると思う。
そっと手をあげて、神津君の首に腕を回す。短めだけど体育会系の五分刈とかではなくて私よりすこし太い髪とすっきりとしたうなじ。簡単に折れそうな首とは違うしっかりとした骨の引き締まった感触。マラソンの時に背負われた、貧血の暗い視界の中にあったあの首筋と肩。好き。ずっとずっと好きになる始まりの首筋。全身が鼓動に合わせて脈打っている感覚の中、私の腕は神様みたいな大好きな人の首筋にゆっくりと絡みつく。神津君の胸板に乳房が押し潰されて乳首の辺りに電気に似た甘くもどかしい疼きがわいて、そして鎮まならなくなる。恍惚としてしまい、声が溢れる。
グラウンドの歓声は変わらず届いているのに、神津君の腰は動いていないのに、ゆっくりと身体をくねらせながら私は最高の絶頂の余韻みたいな恍惚に溺れて緩い声を漏らし続けてしまう。とても気持ちいい。子宮口に押し付けられている神津君の生のものも、引き締まった肌も、ミントのにおいの息も、男子の…神津君の汗のにおいも、左右に大きく広げて高く上げられたままの脚も、破かれた下着も、屋外に吹く風も、すべてが気持ちいい。神津君にセックスされているのではなくて、神津君とセックスをしている、二人でしている認識が、首に腕を回しただけで強まって…私が神津君を好きでいるのが少し多めに許可されたみたいで、嬉しくてたまらない。
「きもちいい…っ……こうづく…ん……ぁ……う!はぁ…んっ…そこ……っ」
溺れてはいけないと頭の隅で自分自身の警告が響く。神津君の快楽を優先しないと駄目なのに歯止めが効かなくなる自分が止められない。ぎゅっと神津君の頭を抱きしめそうになり、何とかぎりぎりで体操着の背中を握りしめる。何をしてはいけないか、何ならしていいのかが判らなくなって神津君に目茶苦茶な事をしてしまいそうな怖さが幸福感と混ざって泣きそうになる。好きで大好きでたまらないくらいに好きな気持ちが凶器みたいに手に終えなくなってしまう。
至近距離にある神津君の顔をじっと見つめて、声に出さないまま『キスして』と唇を動かすと彼は少し皮肉っぽい笑みを浮かべた。神津君以外にはしないおねだりだから言葉にしてはいけない気がして…でも恥ずかしいけれど神津君のキスがとても好き。セックスをしていると男の子は当然の様にキスをしてくるから拒めなくて、確かにキスは気持ちいいなと思えるのが自己嫌悪で。
くちゅりと舌が絡む。
甘えた声を漏らしてしまいながら神津君の舌を舐めると、神津君の舌が私の舌を左右に捏ねる様に撫で回す。ぞくぞくするくらいによく動く舌は少しざらざらしていて弾力があってとても器用…この前昼休みに須藤君がたくさん持ってきていて皆で食べていたさくらんぼを舌で結ぶのに成功していたのを思い出す。あの時は何故かいきなり神津君の舌の動きを思い出して真っ赤になってしまったのを友達に見られて心配させてしまった。この舌で、この身体で目茶苦茶にして貰えているのに極力内緒にしているのは、あくまでも神津君にとって私は乱交の相手だから。恋人や片思いならまだしも、この関係は多分友達には理解して貰えないだろうし、自分でもすべてを納得していると言い切れないから。
私の脚を掴む神津君の手に力が篭った。激しい抽挿の予感にぞくんと全身が震える。
「きて……っ…きてぇ……んぷ…ぁ……こうづくん…っ、めちゃくちゃに…してぇ……っ」
口の端からこぼれる唾液を啜って舐め上げて嚥下する。神津君の唾液がもったいないとか思うのはちょっと変質者みたいだと思うけれど、神津君は私が嚥下するのを見ると少し嬉しそうだから続けてしまう。
ゆっくりと腰を引く神津君に、結合部の辺りがぬるぬると潤滑液が掻き出されていく感覚に声が溢れる。屋外で、階段で、初夏の日差しの中で、愛液がとろとろこぼれてお尻を濡らす。ぐちゅぐちゅと愛液の音が激しく鳴り、身体を揺さぶられる衣擦れの音が混ざり、階下の陸上大会の雑多な音が遠ざかり淫らな音が私を支配する。スカートのウエストの辺りの濡れた感触が恥ずかしい。
「中と、顔、どちらがいい?」
「すき……っ、どっちも…すきぃ……っ…はぁぅ…ん……こうづくんの…したいの……ぜんぶしてぇっ」
ピルも百パーセント安全ではないと判っているし、髪にかかると後で大変なのは判っているのに、私は神津君が膣内射精するのも口内射精するのも身体にかけられるのもすべて好きになってしまっている。神津君が私で満足するのが嬉しくて堪らない。まるで染み込ませる様に顔に出された後、神津君のもので擦り付けられた時は余韻もあって更に達してしまった。他の人だと嫌なのに、神津君だけは本当に特別。
激しく乱れる足から上履きが脱げ、ぽこんと音を立てて階段に落ちる。
グラウンドに何個所もあるスピーカーから短距離走開始のアナウンスが流れ、ホイッスルや競技用ピストルや音楽や歓声が湧く中、神津君が私の腰に腰を打ちつける音が激しく鳴る。私が首にしがみついたまま弧を描く形で動く腰に、神津君の大きなものが弓の様に反り返り、愛液まみれの結合部にずぶずぶと刀身を埋めては鰓の辺りまで抜きかけ、そして勢いよく突き挿れる。至近距離で神津君の呼吸が徐々に乱れていくのを感じ、膣がぎゅっと引き締まり腰が小刻みに動いて内腿が痙攣した。
神津君の歯が、不意に私の首筋を噛んだ。
「だめ……ぇっ!あと…ついちゃ……うっ!」
「どうせ、もう人前に出られない格好だ」
乳房や内腿ならよくあるけれど首筋など人目につく箇所は避けてくれているのに、神津君の歯形もキスマークも残ると判る鋭い感触に思わず私は異を唱えてしまう。乱れた格好も汗も何とか整えれば皆の前に行けそうなのに、どうしてそこまでしてしまうのか判らなくて焦ってしまうと同時に、頭の中がいやらしい悦びでいっぱいになってしまった。
一度だけでなく、何度も歯形の残るキスをする神津君の頭を掻き抱きながら、私の腰ががくんがくんと跳ね上がり、神津君の体操着の胸板で潰される乳房の間に汗が溜まって背中へと流れ、高く掲げられた足先で、靴下だけの足の指がぎゅっと縮こまって攣りそうになる。
痙攣する内腿の間で神津君の身体がびくびくと不定期に跳ねるのを感じ、掴まれた足首が悲鳴をあげそうなくらいに強く捕まれる。整えたいのに獣みたいな乱れたせわしない浅い呼吸しか出来ないまま、神津君の頭を掻き抱く手が、全身が藻掻く。好き。気持ちいい。唾液と涙が溢れて、舌が宙を舐める。
俺も。
神津君のそんな声が聞こえた。それはどちらの意味なのか、その前に気持ちが伝わっている筈がなく…喘いで声が出てしまっている可能性に気付いた瞬間。
神津君の腰が勢いよく打ちつけられ、膣奥までみっちりと満たして拡げられた状態のまま止まった次の瞬間、神津君の身体がそれを中心にどくんどくんと激しく脈打った。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅ…っ!」
三日ぶりの膣内射精に頭の中が真っ白になる私の上で、神津君の身体が硬直して、でも膣内はただでさえ硬くて大きくて熱いものが激しく脈打って何度も精液が根元から送り込まれ、私の膣奥に浴びせられる。神津君は毎日セックスしているのに精液は多くて濃くて…でも今日のはそれより濃くてたっぷり注がれている気がして、いつもより激しく私まで達してしまう。
私の喘ぎ声が消えて、動きが止まり踊り場が静かになると、グラウンドの歓声が戻ってきた。いや、ずっとグラウンドは賑やかなままで、私の世界が切り離されていただけなのだけれど。風は階下から吹き上げてきて、初夏の気温は高いままで全身の汗は熱い風に晒されてわずかに気化し、火照りきった肌がほんの少しだけ冷やされる。
神津君にしがみついたままずっと余韻を味わって惚けてしまう私の中で、もやもやと我が侭が渦巻く。自分は多分これから服を整えて何とかして帰宅するのだろうけれど応援合戦もある神津君はグラウンドに戻らないといけないだろう。でもこんなに近くにいるのに、などともう少し一緒にいたいよりも積極的でいやらしい欲望が湧いてしまう。
好きという気持ちがこんな時に怖くなる。
何度も達し続けた私の上から神津君が離れ、そして階段に膝を突いて私の頭を引き寄せる。
口元に突き付けられる前に私は口を開いて神津君のものを出来るだけ口内に収めた。と言っても神津君のは大きいから根元まで咥える事など出来る筈もなく、何とか鰓の辺りまでを唇の内側に迎えるのが精一杯なのだけれど。
最初の膣内射精の後、そのまま挿入したまま回復してまた続けて…グラウンドでは大勢参加する短距離走も終了してハードル準備に入っている。色々な体位で挑まれている間に私のブラウスはほとんど脱げた状態で、ブラジャーもストラップでひっかかっているだけの中途半端な姿になってしまっていた。そして、キスマークと歯形がたくさん増えている。 神津君の二度目の射精を口内で受け止め、嚥下する。
他の人の中でも…言いにくいが小さな人だと喉奥で射精する場合は嚥下するのが楽だけれど、神津君や須藤君みたいに大きな人は精液の有機的な苦みやにおいがはっきり舌に乗ってしまって噎せそうになってしまう。でも、でも、神津君の満足の証だと思うとそれすら嬉しくて、でも苦くて、涙が出てしまう。
下唇の中央で、神津君の茎のある部分がびくびくと脈打つたびに精液が口内に送り込まれ、鰓と茎の繋ぎ目を舌で細やかに撫でながら精液を飲むと、神津君は満足そうに微笑んでくれる。今日の精液はやっぱりいつもより濃い。私は寝込んでいて自慰の余裕もなかったけれど、神津君は自分では処理しなかったのかもしれない。
何度も繰り返される量の多い射精の間、後半はずっと神津君は私の頭を撫でてくれる。恥ずかしくて瞳を閉じてしまう私の鼻腔は神津君の精液のにおいでいっぱいで、繰り返された抽挿で脱力しきった身体は階段の上で投げ出された状態で、主をなくした膣口はまだ口を開いたままで、どろりと一度目の精液とその後も絞り出された愛液が混ざって溢れていく。――前に佐々木君が撮影してプロジェクターで見せられた、卑猥でグロテスクでぽってりと腫れている鮮やかな肉色と白濁液が脳裏に浮かぶ。
最初は物足りなかったのに、今回は身体がすっかり疲れ切ってしまっていた。神津君は特に射精まで長いのもあるし回数を重ねる程時間が伸びるのもあるけれど、三日間寝込んでいた体力の衰えと、三日ぶりなのもあるかもしれない。
徐々に神津君の射精量が減って、放出が収まってくると舌を動かす余裕が出来てくる。口内は苦みでいっぱいだけれど、まだ神津君の精液が残っている筈だから傘の先を舌でゆっくりと撫で回し、唇で神津君の茎と鰓の繋ぎ目を締めて吸いついてみる。滲んで溢れる精液でとろとろになる舌先で、神津君の傘を舐めしゃぶる。少しだけ柔らかくなったもので口の中と舌を撫でる様に神津君がゆっくりと腰を動かしてくれる。
「この学校、夏になると開襟シャツでリボン緩くつけてる女子多いだろう」
不意に口を開いた神津君の話についていけず、でもあまり回らない頭なりに大勢の姿を思い出すが、大半の女生徒は校則許可範囲内の開襟シャツで指定ブラウスの生徒は3割弱といった所だろうか。この状態では返事など出来る筈もなく、ほんの少しだけ私は顎を引いて頷く仕草をした。
「お前は第一ボタンも締めてリボンきっちり付けるんだよな。生真面目に」
開襟シャツだと胸ばかり大きなバランスの悪い体形が目立つから出来るだけ締めているだけで真面目だからという理由ではないのだけれど、コンプレックスの話はあまり神津君にはしたくない。自分としてはこの行為以外はそれなりに真面目な生徒のつもりだけれど、でも神津君に誤解させているのは何だか悪いなと思わなくもない。
ゆっくりと神津君が頭から手を離し腰を引かれ、私の口から神津君のものの間にねっとりとした糸が垂れる。吐息が多分、精液のにおい。
「えっと……開襟シャツ、好き?」
「いや逆。キスマークも隠れるし」
校則厳守の堅苦しい制服姿なのにキスマーク付きで下着なしにしてしまう神津君は、本当に困った性癖な人だなと思う。
ぐったりとしている私を踊り場の校舎の壁に凭れさせ、ブラウスとスカートをとりあえず整えた神津君は階下まで落ちたらしい上履きを拾いに階段を降りていった。
非常階段に出た時よりも太陽の位置がかなり動いていて、日陰の部分が小さく、膝より手前まで日差しが照らしていてじんわりと暑い。見上げる初夏の空がとても明るくて、四階からの風景は開けていて、遥か遠くに入道雲が見えた。暑い中、鳥が飛んでいる。鳥や飛行機からは全部まる見えだったんだろうなと思うと、急に恥ずかしくなってのろのろとしか動かない手で私は合わせただけのブラウスの中で腕にひっかかった状態のブラジャーを整える。
セックスなんて屋内で、他の人に見られない様にしないといけないと判っているのに。
屋外で、いつ誰に見つかるか判らない場所であんなに乱れて、とても気持ちよくて興奮してしまって、ちょっとだけ神津君の気持ちが判ったと考えるのは…よい事なのかいけない事なのか、判断するのが難しい。
FIN
第二稿200912182107