『夕立迷路・2』

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 デパートの入口は次々に雨宿りに駆け込む人達が殺到していて、神津君は私の手を引いたまま立ち止まらずに店舗内に歩を進めていく。降りだしてすぐに走ったからまだマシなのだけれど、神津君の肩が雨でびっしょり濡れていて肌色に貼りついていて、一般的で健康的な日焼けにどきどきすると同時に切なくて居たたまれなくなってくる。成績はよいし、スポーツも出来て、神津君みたいな人はやっぱり彼女みたいな人の方が似合うし、会話も私の時より自然で対等なやりとりが出来て……。
「槙原」
「は、はいっ」
 神津君の声に、私は慌てて顔をあげる。
 ここはどこだろうか、階段の踊り場だと思うけれど階段を昇った記憶はなくて、でも填め殺しの窓からは夕立で灰色に染まった駅のホームが見下ろす事が出来た。この階段はエスカレータのある中央部分や表通りの駅側エレベータから離れた奥まった非常階段に近い様な性質で、デパートの館内放送さえ売場から外れた通路の奥まったこの階段へはかすかにしか届かない。どこまでごちゃごちゃ悩んでいれば階の変化にも気付かずにいられたんだろうと我ながら驚いてしまう。
「えと、あの、その、ご飯、ここで済ませるの?」
 私はあまり使ってないけれど確かこのデパートは文具雑貨系メインの大型店舗の他にファーストフードやペットショップなどが入っている筈だった。高校生の懐事情としては自宅に帰れば食事が作れる環境の場合はそれを優先して少しでも残しておきたいけれど、神津君が不意に何か食事に誘ってくれるなら当然それには同行したい。と、食事に誘って貰えると考える時点で増長しているのかもしれない、そう考えてしまうのは自分の立ち位置がやっぱり判らないからで、神津君を見上げながら、どんな顔をすればいいのか判らない。
「何でこんな場所に引き込んだか判らないか?」
「……。神津君……」
 『機嫌悪い?』と馬鹿みたいに質問しそうになって私は口篭る。昇降口の件といいマイナス思考なのは判っていても、自分でもどうすればいいのか判らなくて…と、その肩や髪が濡れているのに気付き私は慌ててポケットからハンカチを取り出して背伸びして神津君の肩を拭く。
「ちょっと屈んで。髪も濡れてるから」
 すぐに雨宿りをしたのに夏物のシャツはすっかり濡れていて何度もハンカチをあてている間にハンカチ自体が水を吸ってぐっしょり濡れて無意味になってしまう。それでも拭かないよりはマシだろうと動かしていると、不意に神津君が私の頭に手を置いて髪をくしゃくしゃと掻き乱した。
「お前の方も濡れてるだろ」
 少し目を細めたくらいの笑顔に胸がどくんと大きく鳴った私を、神津君が両脇に手を回して階段の一段目に乗せる。一段分だけ身長差が埋まって顔の高さが少し近くなったなと思うと同時に、神津君が私の頬を指でなぞった。濡れた首筋まで撫でるとてもゆっくりで優しい仕草はセックスで満足した後の労る時のものに似ており、そんな動きをされるとどうしようもなくどきどきして顔が熱くなって、折角神津君の顔を見やすい高さになっているのに顔を伏せたくなってしまう。
「槙原、お前さ……」
「な、なに……?」
 裏返ってしまう声で次の言葉を待つ私の身体が指が撫でるたびにびくびくと震えてしまうのは、神津君の指の動きがとても優しくてとてもいやらしいものに変わっていく為だった。濡れた制服のブラウスの上からブラジャーの肩紐の上を軽く掻いて、少しずつ降りていく。誰が来てもおかしくない場所で、でも誰も来そうにない場所で、多分神津君の行動はエスカレートするもので…どんな事をされてしまうのか。――身長差が少し埋まったからキスをして欲しいなんて考えてしまうのも、誰かに見つかって見られてしまうかもしれない緊張も恥ずかしかった。
「いや、何でもない」
 少し素っ気ない口調で言いながら神津君は制服の第二ボタンの表面を指で摘まんで左右に揺らす。まさかこんな場所でボタンを外したりしない、と思いたいけれど神津君の性癖は私の理解の外な部分が多くて予想が付きにくい。でも機嫌が悪そうだったり笑顔になったり素っ気なかったり今日の神津君はいつもより更に予想がつかなくて、どきどきして何をどうすればいいのか判らなくなってしまう。いや、いつもどきどきしているけれど。
 くいと神津君に顎を掴まれ、私は反射的に瞳を閉じた。
「――でさぁTVでばんばん広告してるのに数量限定でもう店頭在庫がないってどーゆー事よ」
「生放送じゃないんだから仕方ないんじゃない?」
 突然階段に響いた話し声に、一瞬だけ触れた神津君の唇が素早く離れる。同じ階ではなく恐らく下の階らしき声だったけれど、あまりにも大きな声に驚いて固まってしまった私の前で、神津君もやや興醒めした風情で顔を逸らしてしまう。
「び…びっくりした、ね」
「……。ああ」
 不謹慎と言うかきっと神津君が聞いたら呆れてしまいそうな話だけれど、キスが中断されてしまったのに不思議と嫌じゃないどきどきした感覚で顔が熱くなっていて私は思わず頬に手を当てる。見つかりそうな緊張の怖いとか迷惑をかけてしまうという問題点を冷静に考えるのはいつも神津君や須藤君や佐々木君に任せきってしまっている悪い癖なのかもしれないとつらつら考えていて、不意に自分のどきどきの理由が判って私の耳までが一気に熱くなる。
「槙原?」
「え?は、はい?」
「どうした?濡れて熱でも出てきたか?」
「え、違っ…違うですっ、風邪はまだ平気なつもり!」
 神津君を心配させてしまった焦りで日本語が変な感じがするけれどとにかく私は首を振りたくる。でも怪訝そうな神津君の顔を見たら更に頭の中が極彩色の花が一気に咲いたみたいなおめでたいパニック状態になってしまう。
「知り合いの声とかか?」
「違います、そ、そうじゃなくって」
「それなら、どうした」
 気まずさを誤魔化しているのかな?と思えなくもなかった神津君の表情が本当に怪訝そうなものになってしまい、私はもったいないなぁと思いながら神津君の顔から視線を落とす。嬉し過ぎて恥ずかしくて直視するのはもう限界だった。
「えーっと……とても馬鹿な理由、なので」
「言ってみろ」
 言ったら嫌われそうかドン引きされてしまわないか心配なのに神津君はもう完全に尋問モードになってしまっているらしい。こうなると嘘はつきたくないし、正直嬉しくて言いたい気持ちも存在して、私はちらっと神津君の顔を見てから気恥ずかしさに視線をまた落とす。
「あ、あ、あ、あの…ね、あの、です、ね……」
「早く言ってみろ」
「――い、今の…キス……、フレンチキスみたいでしたっ」
 小声で懸命にまくしたてて、そしてちらっと神津君の顔を覗いてみると、鳩が豆鉄砲を食らった様なと言う言葉がまさにぴったりな表情で私を見ていた。顔が整っていると驚いている顔も格好いいなぁと思いつつ、とりあえずキスの話をしても神津君が嫌がってしまわないのが嬉しくて、そぉっと私は顔を上げる。
「……。いや、それは……」
「え?」
「フレンチキスなんて少女マンガじみた単語、まさか耳にすると思わなかった、が…。お前、それ諸説あるぞ?」
「は?」
「戦中に敵国側がフランスを愚弄する意味で下劣なキスとして用いられた意味からディープキスと同じ扱いの話もあれば、今みたいな触れるだけのキスって意味で使われる場合もある」
「え、え、え?えー……と。え?」
 流石神津君は博識だなぁと思いながら正反対の意味合いをいきなり提示されて頭がぐちゃぐちゃになってしまう。とりあえず先刻のキスを言いたいのは判ってくれていそうだけど、でも下劣なんて今まで一度も考えた事がなくてそれを誤解されたくなくて何をどう言ったらいいのか判らない。
 ぽんぽんと私の頭を撫でてくれる神津君自身も何が何だか判らなそうな表情なので、何とか伝えようと私は口を開きかけては凍ってまた口を開きかけるのを繰り返して、ようやく言葉にしてみる。
「いつも、何と言うか違うキスで、今みたいなソフトなのは…あんまりなくて、ああああでもいつものが嫌というのではなくて、むしろノックアウトで、でも今のは別件で…?べつ?別じゃなくて、えーとそのあの……」
「槙原…とっちらかってる」
「はい!」
 勢いよく肯定した途端、神津君が笑った。
 怒られたり引かれたり嫌われるよりいい事だよね?とぐちゃぐちゃな思考でとりあえず判断していると、神津君が微妙な表情でこちらを見た。
「つまり、槙原は軽いキスが好きなのか?」
 伝わってないのは困るけれどちゃんと伝えている自覚もないからこれは仕方ないだろう。フレンチキスの少女マンガ的使用法が判るならニュアンスも理解してくれていると助かるのだけれど…でも判っていないからこうして不機嫌にならずにいてくれているのかもしれない。フレンチキスの意味合いが違うのを知らなかった自分の思い込みも過分にある気がして……。
 軽く触れるキスは、恋人同士の愛情表現みたいだな、なんて。
 神津君といつもしているキスにまったく不満はないけれど、セックスに含まれそうなとてもいやらしいキスはどこまでも肉欲や性欲の延長線上で、好きな者同士のキスとは少し違うのだろうな、なんて。
 ここではいと答えたらプレイとして軽いキスをしてくれる様になるかもしれないけれど、それは神津君が私を好きになってくれての愛情表現とは違うから…勘違いで喜ぶのは淋しいなんて言えない。
「う……ううん。何でもないです。マンガみたいでびっくりしただけ」
 ぷるっと首を振った私に、神津君は少し醒めた探る様な目をしてからぽんと私の頭に手を置いて、そして濡れた髪の水分を払うみたいに荒く掻き乱した。濡れた犬がぶるぶると身体を振る勢いで飛ぶ水滴は当然神津君へも飛んでしまうから私は慌てて身を引こうとするけれど、彼はそれを許してくれない。
「水、飛んじゃう、濡らしちゃう」
「あのな、槙原」
「? は、はい?」
「俺は気に入らない人間の管理担当に立候補する程お人好しじゃないんだ」
 妙に早口で言われた言葉は頭全体を揺らす勢いの水分飛ばしで私の耳には半分以上聞き取れなかった。
「え? ごめんなさい聞き取れなかったです」
 多分物凄くぼさぼさにされてしまったであろう髪から神津君が手を離してくれたので、私は手櫛で大まかに整えやっぱり神津君の前なのだから綺麗にしておきたいなと思い鞄に手を伸ばす。と、不意にその手が掴まれた。
「槙原。お前、珍しい体験をしたい?」
「……。事と次第によりますが」
 バンジージャンプとかだと嫌だなと唐突に考えつつ首を傾げる私を、神津君は少し悪戯っ子みたいな表情で見ている。
「家で料理する話があったよな」
「はい」
 まだ有効だったのかと少し嬉しくなってしまうと同時にどきどきしてきて緊張してしまう。高校三年生女子の平均的家庭科力はあると思うけれど、他人様の家の台所を上手に使い熟すと言うのは家庭科力だけでなくてある程度の図々しさというか胆力が必要だと思うけれど、私はそちらの自信はない。何を使っていいのかいけないのかおろおろする姿はあまり見られたくないなと少し逃げ腰になってしまうけれど、でも神津君に手料理を食べて貰えるなんて、神津君の家に行けるなんて機会はもうないのかもしれない。
「あれ、なしでいいか?」
「え? あ、はい」
 急な雨だし傘もないから中止かとやや残念な気もする私に、神津君が耳元に口を寄せた。
「――今日、安全日だよな」
 かぁっと頬が熱くなる。須藤君の帰省もあるからお盆に合わせてピルを飲んでいる事は当然神津君達は知っていて、でも再確認されてしまうのはとても恥ずかしかった。でも今日は須藤君は他校と練習試合か何かでアパートは使えない筈だった。とりあえず一応頷いた私に、神津君の唇が一瞬だけ耳朶に触れる。
「ラブホテル、行ってみるか」
 どきんと、胸が鳴った。

 制服姿のままだと流石に問題があるのではないかと戸惑ったのだけれど、体育会系一部生徒御用達のラブホテルがあるらしい。神津君の手を引かれ駅前から学校とは逆方向のアーケードを進んでいる間、私は恥ずかしくて顔を上げる事が出来なかった。
 ホテル自体は春休みの時に宿泊して利用しているけれど、あれは神津君達の宿泊先に紛れ込んでしまっただけで私の名前は宿帳に残っていないし、不測の事態と言える。でも、ラブホテルは違う。確かに保健室のベッドや教室や色々な場所で神津君達と致してしまっているけれど、でも、絶対的に二人きりで、そしてお互い同意していて、それでお金を払ってホテルに入るのは私にとってはとても儀式的な気がした。
 アーケードから出るとまだ雨は降り続いていて、神津君に引かれるまま少し走ったその先で、不意に神津君が建物に入る。
 ドキドキして床しか見れない中、神津君はわずかに立ちどまった後建物の奥へと進んでいく。何をしているのか見たいのに恥ずかしくて顔が上げられない。
【ルームカードをご確認してお進みください】
 肉声ではない録音されたアナウンスと同時に小さな音がした後、また神津君が歩き出す。あんまり下ばかりを見ていると怪しまれないかな?と思ったけれどもしかしたら入室するまで無人なのかもしれない。制服姿だと流石に見咎められてしまうからよかった…と考えている間にエレベータに乗り、そして扉が閉まってようやく私は顔を上げられた。
「あの、いくらか教えて下さい」
「何が?」
「ホテル代。割り勘出来る額だと助かる…のだけれど」
 こんと神津君の指先が私の額を叩く。
「連れ込まれている女がホテル代の心配をするな」
「連れ……」
 ちゃんと言ってくれればついていくし、確かに手を引かれているけれど無理矢理でも何でもないし、いつも私は面倒を見て貰っているからせめてこんな時はちゃんと自腹を切りたいけれど、神津君の表情は頑として譲ってくれない時のそれだった。
「ちょっとでも出すの、駄目?」
「ホテル代は男が出すものだ。――それにお前いつも自分が出費で楽させて貰ってるって考えてるだろうが、一番重要な事を忘れている」
「?」
 静かにエレベータの扉が開いて先に進んだ神津君に続いて私も通路に出る。ホテルと言えば春休みの遊園地隣接のリゾートホテル以外は学校行事の旅館くらいしか知らない私は、無人の通路に安心しながらそぉっと周囲を見回しておく。やはり部屋数はそれらより少なそうで、そして通路も狭かった。
「病院代。ピルも処方もタダじゃないのは馬鹿でも判るし、一番身体に負担かかってるのはお前なんだ。これは金でどうこうってレベルじゃない。だから出せる時は俺に出させろ」
 話の内容が内容だからかエレベータ内より更に声を絞った神津君の言葉に、私は思わず立ちどまってしまう。どんな表情をすればいいのか判らない。
 両親は私の貧血具合は判っているし、でも生理を管理している意味まで深く判ってはいなくて…だから申し訳なくて、でも病院代は私がお小遣いで全額賄うのはややキツく、でもせめて少しでもお金がかからない様にしていても…。つまりは私の毎月の病院代は親が出してくれているのだ。昔から貧血気味で体育の授業も見学が多い私は両親を心配させ続けていて、社会人になるか貧血が治るまで私のバイトは親が反対していて、代わりに病院代は出してくれる。――でも、その管理で私はエッチな事をしている…親に申し訳ないのは当然だった。
 そんな罪悪感と同時に、神津君が薬代を考えてくれていた事が本当に意外で、嬉しさと申し訳なさで胸がぎゅっと痛くなる。自分だけが悩んでいて抱えていると考えていたのに、神津君もまた介入出来ないながらに考えていてくれていた…私は神津君を信じていないのだろうか、いや多分信頼と信用は別で、そして薬代の問題は確かに神津君が介入するのは筋違いだった。
「――槙原?」
 神津君の問いかけに、またいつの間にか俯いてしまっていた顔を上げた私の頬を生温かい液体が伝う感触がする。反射的に拭った指についていたのは涙だった。
「あ……れ?」
 別に泣きそうな事はなかったのに、ぽろぽろと溢れる涙が止まらなくて何度も何度も指で拭って誤魔化そうとしている私の肩を、神津君が抱き寄せる。
「とにかく、入れ」
 少し困った声の響きに焦る私を殆ど運ぶ様な強引な動きで足早に歩き、個室の扉の脇にあるカードスリットにプラスチックカードを差して手早く扉を開けて神津君は入室させた。
「……。嫌か?」
 泣いている自覚がやはりなくて、神津君の行動が嫌なんて事はありえなくて何度も首を振る私を、神津君が困った顔をして至近距離で見下ろしている。と、不意に濡れた前髪が掻き上げられて、神津君が少し背を丸めて、額に唇が軽く触れた。
「……」
 フレンチキスの何が正解かは判らないけれど、神津君が額にキスしてくれたのが信じられなくて、私は固まってしまう。嬉しくない筈がない。でも神津君がこういう親愛の情的な仕草をしてくれるのが事後以外で発生するなんて考えていなくて、驚いて、真っ赤になってしまうのが判る。
 額の軽いキスの後、唇が離れてもまだ余韻が残っている様な時間が少し続いて、そしてゆっくりと神津君の顔が離れていく。雨で全身濡れている中、前髪を上げさせたまま残されている男子の大きな手が少し熱くて、温かい空気が緩く動いて距離が開いていく。
 少しだけ赤面している神津君が、不機嫌そうに視線を逸らした。
「部屋の様子、確認する」
 少し素っ気なくそう言い、神津君は革靴を脱いで狭くて細い入口の正面にある扉を開けて先に進んで行ってしまう。
 何なのだろう。自分が自分で判らない。こんなに嬉しいのに胸の中が苦しくて、すぐ神津君を追いかけたいのにかすかに膝が震えて止まらなくて、薬代の事を神津君が意識しているのがいつか面倒になって嫌われそうで怖くて、面倒をかけてしまっていないか不安で、そして脳裏から先刻の彼女が離れない。でも、神津君ともっと一緒にいたくて……。
 口の中で十数えながら深呼吸をしてから、私は靴を脱いで入口で鞄を開けてティッシュを取り出して神津君の革靴の水と汚れをとりあえず拭う。制服は恐らくある筈のタオルで拭うとして…ラブホテルはどんな設備や物があるのかそう言えば判らない事に気付く。
 鍵もかけないでいいのかな?と徐々に頭が回り始めて、二足の靴を拭き終わってようやく立ち上がって、膝の震えが若干収まっているのを確認して、私は少しだけ開いたままの奥への扉を覗き込んだ。

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初校20110827000

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