上 申 書

東京地方裁判所第十一刑事部 御中

平成七年十月十一日


金 子 眞.印

私は、いわゆる平和ホームズの事件で当初より傍聴をし、平成五年三月二十五 日決審した高沢さんの裁判では、高沢さんの情状証人として、出廷したものです。 まず私が、なぜ上申書を、提出しなければならないと考えたかについてですが私 は、本事件にかかわるまで、裁判というものは、経験した事は、ありませんでし たが、鎌田さん、高沢さんの裁判に比べ、三宅さんの裁判が異常に長く続く中、 検察官が五人代わり、裁判官も一度代わり、今だ新事実が、次々に展開される中 で、裁判が終盤を迎えるということでに当たり、審理を尽くしていただきたく
平成五年二月高沢さん裁判で私が発言した情状内容が、「高沢さんをなにしろ裁判 から解放してあげたい一心より」事実と異なる発言したこと。
三宅さんの裁判で 建設業の特殊性が法廷の場で明かにされていない様に思え造園業に従事した経験 から、この事について明かにしたいこと。から提出するものです。

高沢さんの裁判における情状証言をした背景と証言内容の事実との食い違い 平成五年二月、私は、高沢さんから情状証人として法廷にたつ事を頼まれ、自ら も高沢さんが、当時、精神的にも正常な状況でないことは、いっしょに仕事をし ていて、明かでありましたので、刑務所へ送られことのないよう自分の証言が助 けになればと、証人をかってでました。
内容については、高沢さんの弁護士と高沢さんと私とで打ち合わせ、高沢さんが 真面目で責任感ある人間であることを強調した内容でした。しかしながら、事実 は、逆で、会社も休みがちで、約束もすっぽかす事が度々でした。このような状 況でしたので、仕事は、ほとんどしていなっかった様におもいます。
当時の私の事件に対する理解は、新聞報道ぐらいでありましたし、高沢さんも事 件そのものについては、あまり話をしたがらなかった様に、記憶しています。 ですから私も、当時『何か、事件はあっただろう。』と考えていましたし、少し でも、高沢さんが、りっぱに仕事がこなせる人であるという事が、高沢さんに有 利に働くと考えてしまったのでした。法廷という場で、真実と異なる発言をした ことは、私の過ちであり、深く反省するところです。
三宅さんの裁判で、現在、次々に新事実があかされ、事件そのものについて議論 されている現在、以前の自分の考えが明かに違ってことに気づかされます。

傍聴席から見て建設業の特殊性が明かにされていないように思える事 私は、造園業に従事した立場より、建設業者どのようなシステムで仕事をしているか について、説明させていただきます。
建設業は、請負業であり、営業が必ず見積を提出し、顧客と交渉し、契約を交わ します。ですから、契約時点で請け負う内容は、決定し利益についても、計算さ れています。契約後大切な事は、現場監督が、施工計画をたて、工程計画通りに 工事を完了させること。そして見積内容と違った場合、増減を適正に計算するこ と。(工事の場合、増減を計算したときほとんど増となります。)このように、 工程どうりに工事が、進捗すれば、契約段階で、利益が計算される事から、受注 金額が、確保されていれば、システム的に会社の利益は、出てくるものです。 ですから、建設業の財務的ポイントは、受注金額を確保する事、現場管理を厳し くおこない工程を計画通り仕上げる事の二点であると理解しています。
私は、平和ホームズの財務体質を議論する上で、上記概念を、考慮する事は、欠か せない事であると思い自分の経験より書かせていただきました。

まとまらない文章となってしまいましたが、私は、この事件を通して人間が人 間を処分することの恐ろしさ、そのことによる人格の変化を目の当たりしました。 そしてまた、マスコミ等報道の影響力、一度犯罪があったとされると、事実を隠 そうとする人間性、事件から遠ざかりたいとする人間性、余りに、ひどい、許し がたい現状があることを教えられました。
私な正直な、今の気持ちを裁判終盤にあたり、上申させていただきたく提出す るものです。 どうぞ、事実に元ずく公平な判断をお願いいたします。  

ー以上ー



上 申 書

東京高等裁判所第11刑事部 御中

平成8年9月2日


金 子 眞.印

私は、平成4年3月以前勤めていた有限会社ヨネヤマプランテイションという 会社で本事件の被告人である三宅喜一郎さんおよび共犯とされている高澤正比古 さんと知り合い、以前の職場で3年間仕事を共にしてきました。
当初、私は、いっしょに働く人がどういう人であるかということでこの裁判に関 心がありました。それで最初からこの裁判を傍聴しつづけてきました。しかし、 一緒に働くなかで、三宅さんがいわゆる「詐欺」をする人か疑問がわいてきまし た。公私混同することを極端にいやがる人ですからなぜこのような事になったか に関心は、移りました。三宅さんと弁護士事務所は行き関係資料をみる中で、私 の中では、三宅さんが無罪であることは、確信しています。ですから、一審での 判決は、私にとっても到底納得いくものでなく、警察官作成資料が、いかにでた らめであるか、そして、その資料が正当なものであるか否か吟味せずに判決をく だすことの恐ろしさを目の当たりし、この事件を見た者の義務として上申書を書 くこととしました。
私の上申書は、今回で2通目になります。前回は、昨年10月11日付で書い たものを三宅さんの弁護士さんにお預けしたものがあります。前回は一審の判決 前で十分な審理をお願いしたものと記憶しています。しかしながら結果において それがなされなかったことが、残念でなりません。
今回は、前段でも書きましたとおり、警察官作成資料の正当性をもう一度、よ く調べていただきたいということ(経理について精通しない私でさえおかしいと 考える。)、自分が最初からこの裁判を傍聴してきたなかで、供述証拠が、裁判 の中心になっていて事実がどうであったか吟味されていないように思えること。 (これは、鎌田さん、高澤さんの証言時点の状況を考えると到底、客観性を欠い た追い詰められた証言であること、この裁判で客観的立場の証言が少ないこと、 よって平和ホームズの全体がみえない。)以上2点を特によくお願いいたしたく また今後、裁判が事実のもと、公正に審理つくされること期待します。

ー以上ー

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

注記:本文につきましては、いずれもB5判で作成したものです。 '97 4.24.今迄、匿名にしていたものを実名にしました。


私の紹介と近況/ 私と裁判とのかかわり/ 冤罪の被告人三宅喜一郎さんを救いたい/ 弁護方針の変遷/ 上告趣意書提出に向けて弁護士事務所打合わせ/ 上告趣意書提出後の弁護士事務所打合わせ/ 三宅さんという人/ 新聞報道に対する私見/ 別冊宝島363号の和田さんの記事についての補足/
  • indexへ