第2講  生産計画を見直そう

<不確定時代の生産計画の問題点>
 今日のようにマーケットの需要が多様化して変動が激しい不確定時代では、「製販統合化」の体制とシステム作りで、マーケットの需要の変化に素早く対応していく変革が基本である。供給側(作る人)と消費者側へ売る人がシステムで一体化する「もの作り計画」である。
 近年、見込み生産の生産計画において、次のような問題がしばしば発生している。
  • マーケットの需要動向で3か月先が読めない
  • コンピュータによる販売予測で実際との差異が多い
  • 前年同月の生産実績、販売実績が参考にならない
  • 販売計画に照らして生産計画をたてると、当月に入り追加、変更する品目が多く発生する
  • 生産能力と負荷(作業量)との平準化がむずかしいなど
 生産計画の指示で一番問題になるのが、当月期間中に追加や変更の指示である。そして、その期間中に計画品目、数量が完了せず次回の計画に持ち越されてしまうことである。
 こういう状態が継続していると、資材の調達、負荷計画、日程計画、進捗管理などが混乱したまま続いていく。
 多様化時代には、先ず、商品の動き(出荷と需要動向)に応じた生産計画の方法を採用することである。それには、「動き具合」を調べて、商品をグループ分けする。例えば、売れ筋商品、季節変動商品、販促商品、長期安定型、断続型、新商品 などである。
そのあと、生産計画の関連業務をシステム化する。

<生産計画の昔流3段階の変革>
 生産計画の計画期間は、古くから1か月間(月次)とする習慣が今日でも残っている。これは製造活動が1か月に1回転することを意味している。毎週立てれば、1週間で1回転(月4回)。また、毎日立てることができれば、1日で1回転することになる。
 このように、生産計画の計画期間は、即、製造活動の回転の良し
悪しを表している。昔流の計画期間は、次の3段階に分かれる。
  • 大日程(3か月間)
  • 中日程(1か月間)
  • 小日程(1週間)
 この中日程が月次の生産計画に該当し、小日程が工程管理上の日程計画に該当している。大日程は、負荷を平準化する目的で行われる場合と、1か年の短期経営計画の四半期サイクルとして活用する場合とがある。
 この昔流の3段階が、今日ではかなりの変革をきたしている。
中日程が大日程の役割りを果たし、小日程サイクルで生産計画をたてる。更に、1週間を2つに分けた日程、日次サイクルの生産計画などである。このように、マーケットの変動に小回りよく対応していく生産計画が要請されている。

<生産計画の計画期間・短縮化の問題>
 マーケットの変動に素早く対応していくためにも、製造活動の回転を高めるためにも、生産計画の計画期間は、短ければ短いほど成果があがる。しかし、短縮しょうとする短い期間で、所定の「もの」が完全に作れるか、という第1の問題がある。 ロット生産の場合は、その短い期間に見合うロットサイズを採用する。つまり、小ロット多頻度生産で生産効率をあげる改革が必要である。
 第2の問題は、生産計画を最終的に確定するまでの計画立案に要する日数である。週次計画の場合、週の半ばには来週の計画が出来上がっていなければ運用できない。10日も計画立案に日数を要するようでは明らかに運用不可能である。
 第3の問題は、生産計画の立案に必要な情報を、素早く、的確に収集するシステムが構築できるか。否か。この問題は、第2の問題とも関連している。特に、社外の流通拠点の在庫情報と売れ行き動向である。この解決策として米国製のSCM(サプライ・チェーン・
マネジメント)のシステムを導入する企業が現れてきた。
 第4の問題は、既に実施中の生産計画の内容に、追加とか変更が生じた場合の処置である。短い計画期間であれば、この種の処理は次回の計画で吸収するようにし、実施中の計画はそのままで進む。
 ここで注意すべきは、生産計画の追加、変更等のプログラムを開発し、むやみにこのプログラムを使用したがることである。これでは、いつまでたっても根本的な改革にはならない。MRP時代にも計画の変更処理に多くの時間を費やし、業務が複雑化し、運用が出来なくなった実例も多かった。
   (本書 2部第2章 生産計画 図2-2.1 参照)

         ----- 第2講 おわり -----