第一篇 腹部大動脈瘤の巻

     腹部大動脈瘤が触診で見つかった
 平成11年12月のはじめ、毎年1回の鎌倉市の定期検診で、いつものN病院にでかけた。内科担当の浅井医師の「一般検診」の診察がはじまった。「篠さん ここを触ってごらんなさい」ここというのは、みぞおちの少し下のところ、「脈の鼓動が感じられるでしょ」「もしかすると、腹部の大動脈が膨れているかも」「詳しいことは、CT検査(コンピュータ断層撮影法)をしてみないと分かりませんが」…「どうしますか」。
 「大動脈が膨れるというのは、どういうことですか」。「背中に近いところに腹部の大動脈が通っており、それが動脈硬化や高血圧などで瘤のように膨れてしまうのです。動脈瘤といいます」、「もし瘤の大きさが5センチ以上になると、破裂する危険が大きいのです」。
 「破裂すると、どうなりますか」。「一、二時間のうちに適切な手術をしないと、手遅れになります」。「わかりました。それではCT検査を受けてみます、よろしくお願いします」。と二週間後にCT検査の予約をして、ひとまず帰宅した。
 帰宅後、直ぐに家庭百科事典で動脈瘤(どうみゃくりゅう)のこと調べた。動脈の一部分が弱くなり、異常な膨張をきたした状態とのこと。原因で最も多いののは、動脈硬化から発生する胸部の冠状動脈瘤と腹部大動脈瘤である。動脈は心臓から新鮮な血液を送り出す際の拍動に応じて、脈を打つので動脈という名が付いている。そして、腹部大動脈は心臓から腹部に下がり、お臍(へそ)のあたりで、両脚に分かれている。因みに、からだから心臓へ血液を戻す方が静脈(じょうみゃく)。動脈と静脈の間にあるのが毛細血管である。
 新聞の死亡記事を見ても、動脈瘤が一瞬の血圧上昇で破れると、・・・・・

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