マダムの悠々自適

パリ結婚式旅行 (1)
今日はいよいよ「次男のパリ結婚式旅行」の出発日です。
本当にベタな題名ですが、次男がパリの古城で結婚式を挙げると
いうので、家族3人で出席しに行くがてら、ヨーロッパを少し楽しんで
来ようと言う旅行です。長男の韓国嫁は孫達と釜山へ里帰りする事に
なっています。

成田の出発便は合わせてあり、まず長男宅へ寄って嫁一行を
ピックアップして、私たち夫婦だけ先に出発します。長男は「金曜日に
会社休めないよ」とかで(当たり前)土曜日に一足遅れで出発します。

11時5分発のJAL便ですから、4時間前の7時に長男宅(板橋)
を出た時にはゆっくり免税店を見られると思っていたのに。
何と湾岸線封鎖(事故による)!!!
渋滞の渦の中で真っ青。パスポートへの記載が遅れたので孫女のチケット
は未購入。駐車場へ入れる時間も計算して、9時には都心を抜けたい
のに、9時過ぎても首都高1mも動きません。嫁の手前あせる様子も
見せられず、にこやかにしながら心の中であせる事、あせる事。
結局10時30分に空港に到着。何とか両方間に合いましたが嫁とは
「じゃあね」でお互い東西に分かれました。

午前出発だと、あちらに着くのは夕方なので、少し頑張って、全然寝ない
のが時差解消の為には正解と言う固定観念あり。旅の知恵とでも言うか。
今回もこの作戦、うまく行きました。
今回は個人旅行なので出迎えがある訳でもなく、スーツケースを転がしつつ
タクシー乗り場探し。しかしそれにしても暑い。ネットで調べたら確かに
最高気温は29度だったけれど、瞬間的な感じがしていました。何と
言っても10月のパリですよ。なのに夕方6時でも陽は燦々と照り、
むき出しの腕、短パン姿の人もいる。ここはリゾート地だったかしら状態。

タクシーの運転手に聞いたら先週まで寒くて今週になっていきなり
夏に逆戻りとか。「インディアンサマーだよ」と運転手は笑ったけれど
いや、使い方違うと思います。それはもっと穏やかな秋の日を言うはず。
日本時間ではもう深夜なので、飛行機の疲れもあって、この調子はずれの
まぶしさにはげんなり。でもタクシーがパリの街に入ると
何だかうれしい。街並みと緑のプラタナスの街路樹だけで、あぁ
又来られたとアドレナリンがばっと出てくる。(説明つかない気持ち)

オペラ座に近いプチホテルに到着。部屋は狭い。でもまぁ寝に帰るだけ
なので良いことにします。今回主役の息子2が50分違いの便で来る
はずです。ケータイで連絡を取ります。まぁ少々設定を替えなければ
なりませんが、こちらでも家族同士いつものケータイで連絡取り合える
のは有り難いです。(すごいケータイ文化)

何と例の渋滞の影響か成田を2時間の遅れで出発し、今又パリへ入るのに
渋滞中とか。息子達を待つのをあきらめ、インターコンチネンタル
ホテル前で、パパラッチに囲まれたスターさん達(名前は分からない
昔のミック・ジャガーだけ分かった)だけ見学して、食事する事に。

今はパリコレの季節だし、凱旋門賞もあるしで、有名人パリに
集結中か。この後、どこへ言っても、信じられない程スタイルの良い
お嬢さん方を沢山見られた事は良かったです。
結局、連れ合いに付き合い、隣のラーメン屋へ。餃子とラーメンの
食事。何故なのと悲しいですが、家族で来ているのですから勝手
ばかり言えません。又運動不足、睡眠不足(24時間以上寝てない)
の胃にはこれくらいが良いのかも。温泉めぐりの入浴剤を浴槽に
入れてゆっくりお風呂に入りバタンキューで寝ました。

(写真は次男が結婚式を挙げる予定のChateau d’esclimont)




パリ結婚式旅行 (2)
朝はすっきり目覚めました。これで時差はOK!何かうれしいです。
コーヒーの良い匂いが階段に溢れていて、楽しみな朝食です。
温泉旅館の豪華なビュフェに比べ何が有る訳でもないのです。
パンが3種類と小さな各種ジャムの瓶、チーズは二種類くらい。
ヨーグルト、バター。ミルクとオレンジジュース。コーヒー
がポットに入って飲み放題。以上。
香ばしい皮がぱりっとして中もちもちのパンが篭に入って来る
のですが、完食。これぞコンチネンタル、あぁやっぱりパリは
良いわです。

部屋を片づけ、陽が昇ってくると耐えられない暑さと分かる。
取りあえずアヴニュー・オペラの店を流して、両替、半袖購入と
忙しい。1ユーロ102円の高レイトで両替出来たので
何だか申し訳ないような値段。プリント柄の凝った半袖ブラウス
黒の素敵なラインのベスト、汗を良く吸ってくれそうな下着も
揃えてほっとします。(ここまで暑いとは予想外)
その辺のカフェに入って昼食。エスカルゴとヌウイュ(麺)の
サラダ。エスカルゴの貝殻の中のパセリ・バター・ニンニクの
ブルギニョンソースにパンを漬けながら食べるだけでもう幸せ。
ハンバーガーを取った連れ合いもエスカルゴは気に入った様子。
アイスティーを頼んでお会計は42ユーロ。アイスティーは
ピーチ味のリプトンの瓶と大振りの氷一杯のグラスが来ただけです
から、場所代が大分入っていますね。でもテラスカフェで人を
見ながら食べるのは楽しいです。 レンタルサイクル(貸し自転車)
の駐輪場が目の前にあり、この暑さの中、トライアスロンに
でも出られそうな格好の若者達で賑わっています。

連れ合いと別れ、オペラ座からメトロでコンコルド広場へ行って
チュイルリー公園を散歩した後、オルセー美術館へ。
くどいようですが暑いです。
チュイルリー公園の池の周りは涼を求めてか貸し椅子満員御礼。
セーヌ川に掛かるコンコルド橋とロイヤル橋の間の仮設の橋に
メッセージを書いた鍵を掛けさせる新商売が始まっていて、
結構な数の鍵が見られます。
まだ日本語は無いみたいなので、挑戦しようかと思いましたが
(2ユーロ)、パリには似合わないでしょと(実はオバサンが
やることじゃない)パス。

オルセー美術館は8ユーロで本当に楽しめる場所です。
オペラ座の詳細な模型が展示されていて面白かったです。本当に
オペラ座の地下には池があり、地下2偕、3偕とあるみたいですね。今回の
お目当ては韓国ドラマで「どうして他の人の腕の中であんなに
幸せそうに出来るのでしょう」と話されていたルノワールの
「田舎のダンス」です。

「都会のダンス」と並んで展示されていて、大きな絵ですから
見応えがあります。確かにあの女性は画家ルノワールの彼女の
はずですので他人の腕の中。あのうれしそうな笑顔はダンス
そのものを楽しむ、自分自身の好調さを物語るものでしょうね。
若い頃って「何もかも自分の思うようになっている」
そんな実感のある時期があるじゃないですか。

対して「都会のダンス」の女性ははるかに高価なドレスを
身にまといながら、相手の口説き(まぁダンスは男性が
ずっと女性を口説いているようなもんです)に乗って
いない、取り澄ました感じです。そうして見ると勝利者に
なった(ルノワールと結婚したのは結局「田舎のダンス」
のモデル)女性の笑顔がまぶしいなと思います。

もっとも「都会のダンス」の方のマリーはユトリロの母親で(多分
父親はルノワールと言われている)、父親の遺伝子を後世に
伝えた功績がありますから、どちらが勝利者なのか
分かりませんね。こういうワイドショー的知識を以て
アジア人のオバサンが熱心に見ているなんて知らないでしょうね
と思いながら楽しく眺めていました。

各国の見学者でごった返すオルセー美術館。週末の土曜日
なので地方の人達も一杯。目についたのが韓国の高校生ご一行様。
(中学生かも)熱心に眼鏡を光らせ先生のお話を聞いていました。

セーヌ川を見たいとコンコルド橋のところで河岸の散歩道まで
降りて行き、ベンチで休憩。川面が青く煌めいて何か
楽しいです。時差解消の為にも陽を一杯浴びて体内時計に
教えなくちゃと日焼けを考えずぶらぶら。

夜はまだまだ食欲が戻らない連れ合いにつきあい、又焼きうどんと
ビール。フルコースディナーは何時食べられるのやら。一人でも
行って来たらと言われても夜までバラバラではねぇ。
息子1が夜遅くフィンランド航空で到着するのでエクストラベッド
の上に置いていた荷物を片づけ、フロントにも確認して休む。
又、瞬時に寝てしまいました。

(写真は真夏のように青々とした水の流れるセーヌ川)





パリ結婚式旅行 (3)
朝起きたら息子1が来ていて早速ヴェルサイュ宮殿へ。9時半には
開門なので、それまでには着きたい。連れ合いは「凱旋門賞」へ。
何もなければお供しても楽しいかなと思いましたが、二者択一なら
ヴェルサイュです。オペラ座のメトロの窓口でVersailles Rive Gauche 
まで2枚のチケットを買います。Invalides の構内でPER(郊外電車)
に乗り換えてしまうので、先にontoを買っておかないと出る時に
自動精算機が多分ないでしょうから面倒。 

30分位で着きましたが、またまた日差しが厳しい。広場は長蛇の列。
(既にチケットを持っている団体さん達)        日曜日ですから
バスも半端な数じゃなく来ています。駅から10分歩く内に見つけた
ルイ14世の騎馬像を囲む変な赤銅色の巨大オブジェもショック。後で10月末
までの彫刻家Venetの展示会と分かりましたが、ずっとこれからこの
オブジェをヴェルサイュ宮殿に飾るなら、もう世も末と思いました。

やっと買えた建物のチケットですが、列の後ろに付いたら入場まで
30分は掛かりそう。しかもあの狭い宮殿内の通路がごった返す。

まず庭園から見れば簡単に入れるし、人は少ないと
左側の通路から、庭園の入り口へと急ぐ。この辺は勝手知ったるヴェルサイュ。
改めて庭園用のチケットを買って入ります。オンシーズンの週末は音楽や
噴水のアトラクションがありますから、宮廷音楽を聴きながらの
鑑賞になります。女王の間の前にある刺繍花壇から南側のスイス人
の池を見下ろすテラスへ。(下の写真をご覧下さい)

オランジュリー(オレンジ園)の向こうに広がる静かな景観、
まずは爽快感に包まれます。オレンジの木の緑、淡いブルーの
湖面の色、これに写る深い山の緑が素敵な調和を見せていました。
戻って中央からラトナの泉水への階段を降りて南側のボスケ(木立)
を1つずつ見ることに。(林のように見えている木立の中は趣向を
凝らした場所になっているのです)中央のアポロンの泉水から
大運河を臨む所へ出ます。
アポロンの泉水でも又例のオブジェが這い蹲るように置かれていました。
なるべく見ないようにして、運河からその向こうへ広がる景観にしばらく時を忘れそう。
これだけの人出だと、数限られたレストランなので食べ損なうかもと
11時半から、お目当てのヴェニス村のレストランに入り込む。

まずはオレンジエードとか、レモネードとかで喉を潤して、鶏とオムレツ
とサラダ等を分けて食べる。味は観光客用風にちょっと落ちたかなぁ。
La flottilleという可愛い紙ランチマットも全然変わってないのにね。
お腹があまり空いていないのに詰め込んだせいかもしれません。

そこからプチトリアノンの方へ並木道をずっと散歩し、中に入らず、
又戻って今度は北側のボスケを見学しながら建物の方へ戻り、北の
前庭(宮殿の王様の部屋の真下)から、水の小道を下がって、
ピラミッドの泉水、ドラゴンの泉水、ネプチューンの泉水と見ていく。
前回来た時は観光客用の急造スタンドがあって、水のページェントが
見られたのですが、あれは夏のバカンスの時。今はさすがにここの
泉水は全開しないようです。

そう言えば前回は息子2と来ていて、まだヴェルサイュ宮殿の
庭園の何も知らず出来なかったけれど、今回はうるさい程解説しました。 
出来れば2,3日滞在して大水路の果てまで歩いたり、プチトリアノン、
グラントリアノンで一日過ごしたりしたいです。今度はヴェルサイュ宮殿の近くの
ホテルを取る事にしましょう。 (まだ来るつもり) 今回感じたのはヴェルサイュの
庭園は周りの外輪山とも言うべき、山々が借景として価値が高いなと言うことです。
私の個人的な感想です。

まだ閉門まで3時間くらいあるので、建物部分を分かれて見ることにします。
宮殿内部には詳しくないし何度も見ているのでそれほど熱もなく
グッズのショップで暇つぶし。クリアファイルでマリーアントワネット
の絵が素敵なので仕入れました。(5ユーロ) 建物の中はすごい
人です。韓国語、中国語、英語、ドイツ語飛び交う熱気の中、人の
背中を見てただ進む感じ。あの広い「鏡の間」さえほぼ空間は見られません。
何だか感興もなんもありません。土日のヴェルサイュ宮殿観光はやはり避けた
方が良いかもです。(宮殿音楽や噴水がないのは寂しいけど) 
息子1も早々に帰りたいというので、又PERでパリへ。

汗を落とし着替えて、夜のレストランへ。息子1の選択で
何故か今晩はイタリアンへ行くことに。店の中でシェフがアフリカの方らしいと
分かった時に止めておいたら良かったのですが、まぁ本当にちょっと酷かったです。
60ユーロ位だったのですが、チップ払いたくなかったです。塩辛いし間延びした食感。
食通溢れるオスマン通りの「Del Arte」。後でチェーンレストランと分かりましたが
何か事故だったのでしょうか。

連れ合いは上機嫌でお土産一杯買って御帰還。凱旋門賞のレアものと
言って良いTシャツ。馬のぬいぐるみも帽子もあります。日本馬の成績は悪く
馬券の買い方もなかなか複雑で投資回収も出来なかったとか。でも雰囲気が
やっぱり素晴らしかったようです。(着飾ったゴージャスな美女を沢山見られたら
満足でしょうね、殿方は)

(オブジェに囲まれた広場のルイ14世騎馬像)と(大運河を背にアポロンの泉水)(スイス人の池)







パリ結婚式旅行 (4)
さて、いよいよ結婚式の行事が今日は始まります。
顔合わせの食事と、貸衣装(連れ合い)の衣装合わせです。
この暑さを予想してノースリーブのベルベット地のブラウスを
用意していますが、まぁ当たりでしょう。少し気温が下がって来ています。

レストランは朝の内に場所の下見をしています。分かり難い場所。
皆所用でバラバラに現地へ。アヴニューオペラの裏通りにあるL'Absinthe。
あのアブサンです。一回浅草の神谷バーで飲んだあのお酒。ニガヨモギの味。
そんな話をしていて両親兄は揃ったのに何故か本人達が来ない。朝、
モンマルトルへ行ってタクシーが掴まらなかったとか。
10分遅れで到着。久しぶりに見る我が子ですが、2人手を繋いでペコペコして
いるのを見ると皆と一緒に笑うしかない。
ともかくお目出度い話なのでなごやかそのもの。

さて、8人が皆それぞれ順番に、スターター、メイン、デザートとメニューを
広げ英語で注文してランチが始まりました。仏語とこんがらがった私が
一番下手でした。(どうでも良いですが)

さて私はメインに羊を頼みました。日本の家庭ではなかなか食べられない
骨付きのムートン。ソースがやっぱり決め手と思うのですが美味しかったです。
我が家は、取り分けて皆で味見をし合うのでなかなか忙しい。公式?の場で
いけなかったのかなと後で反省。
デザートのミルファーュ(Mille Feuilles)まで美味しかったですねぇ。ここはお勧めです。

貸衣装合わせに行く連れ合いと別れて、息子1とソルボンヌ大学近辺へ。
学生街も見せたいし、リュクサンブール公園へも行きたいし、早速メトロで
向かいました。嫁や孫へのお土産を早く買ってしまって重圧から逃れたいとか
殊勝な事を言っているので、まずはショッピング。

学生時代憧れていたお店へ寄って黒のセーターを嫁に買う。
決まったお金で生活していてなかなか自由にパリ時代はお金を使えなかったです。
反動で会社員として二重にお給料を貰っていたブラッセル時代は贅沢三昧でした。
何十年も前のお店もまだちゃんと残っていて、イメージ通りで良かった。

昨日ヴェルサイュを歩き回った疲れから、リュクサンブール公園のベンチでしばらく
ボケーと座りたくなる。寝てしまいそう。 息子1は元気いっぱいなのでサン・ミッシェル通りで
別れる。ちょっとホテルへ帰って明日の為休養。明後日ブラッセル小旅行するので
その間荷物を預かって貰えないかと交渉。帰ってきてこのホテルに又宿泊するなら
問題ないけれど、別ホテルへ行くのでちょっと問題あるかも。10ユーロのチップで交渉成立。
良かったです。

夜は3人揃って初めてのパリの食事。選んだのは中華。昼にフルコースだったので
まぁ良いかも知れません。空心菜やら、水餃子、焼きそば、チャーハン、暑いので
ハイネケンを何杯もお替わりして、楽しく過ごす。息子1が得意の中国語で
店の主人とお話しているのを、酔っぱらっているので子守歌みたいにぼやっと
聞いていました。華僑の人らしい。明日は私だけ6時起きでメイクがあるので又早々に寝ました。

(写真はリュクサンブール宮です)




パリ結婚式旅行 (5)
6時半に迎えの車が来るので、真面目な私はロビーに6時15分
過ぎに降りて待ちました。美容院まで15分くらい。
美容師さんは日本人の方で、仏人と結婚してこちら在住だとか。
長袖のふくれ織りのスーツ姿なので、29度だと蒸せるなと思ったのですが
朝は15度くらい、日中でも20度ということで何より。

メイクに1時間、ヘアメイクに30分という感じで丁寧に支度して貰えました。
メイクはベースに30分位かかったので、いかにしみやら皺やら隠すべきものが
多かったか分かると思います。指で、本当に少しずつチョンチョンと押さえるように
塗り込むのがこつのようです。

一旦ホテルへ戻って皆と合流。ワゴン車が来て、あちらの家族と一緒にお城へ。
息子達は別に仕立てられた車で向かっているはずです。
朝早いし渋滞に嵌るかなと思ったのですが、逆方向なので(シャルトルの方向)
結構スムーズに走りました。田園地帯へ出て、どこにお城がというような所で
幹線道路を離れ脇道をまっしぐら。点在する林の1つの中にすっぽり隠れた
お城でした。 レストラン・ホテルとして営業しているようですがまぁ普通では
見つからないでしょうね。

お城の名前はシャトーデスクリモン(Chateau d'Esclimont)。
16世紀に建てられたお城で、イメージ通りの所でびっくり。控えの間なども
ヴェルサイュ並み(古いという意味だけ)の絵画で飾りたてられ、窓の向こうには
広大な庭園が見えます。日本人の私達がこんな素敵な所を借りて良いのかどうか。
誰の前で誓おうと本人達次第なのだからと別に何とも思わなくて来たのですが
本格的な文化遺産みたいなお城だったので、ちょっと辺りを見回す感じ。

そんな気持ちも本人達登場で雲散無消。花嫁は結婚式の日、綺麗に見えるものですが
これだけの舞台の上に立つと映えない訳はありません。息子2まで、何か立派になったようで
うれしいです。

ウェディングマーチに乗ってバージンロードを歩く練習を少ししてすぐに本番に。
司祭が立ち会う本格的なものです。通訳付きながら結婚式は全て、誓いの言葉まで
仏語で行われました。興味津々で私の目は輝いていたと思います。何だかうれしかったです。
仏語をやって良かったなと言う又単純な喜びですが。最後に立ち会い人として両家の父親と
司祭がサインして結婚証明書も出来ました。

それから庭に出て写真撮影。お濠に掛かった橋の上でキスシーンも演出。
風が少しあったのですが、おだやかな気候で散歩を楽しみました。
広い庭園は貸切状態で人影も見えず、段々借り物じゃなくて、我々の結婚式だと
思えて来ます。そしてお楽しみ、四ツ星レストランのウェディングランチです。 
フォワグラをあしらったオードーブルに、メインは鴨肉のグリルでした。
やっぱりソースが美味しいし、白ワイン、赤ワインとボトルが惜しげもなく開けられ
料理とのハーモニーが何とも言えないです。お目出度くてうれしい気持ちが
最高潮に達したのは、ウェディングケーキが到着して、いきなり筒花火が吹き出した時です。
まるで韓国ドラマねと思いながらも皆で拍手。切り分けて食べました。エスプレッソのコーヒーが香り高く
入れられて2時間くらいのランチ終了。 

帰りは覚えていません。何とボックスカーの最後尾で寝てしまったのです。安心と疲れと
美味しいお酒のせい。あんなに幸せな眠りもそうは無いのではないかしら。
後から聞くと我が家は全員眠り込んだようです。一緒に乗っている新しい親戚の手前
外交コードバッテンですね。

息子1が明日のブラッセル行きのチケットを買いに行ってくれたので、我々は荷造り。
部屋中がすごい事になっている所へ新婚さんが顔を出し、お礼のLa Dureeのマカロンと
洗濯物持参。これから、Bateau Mouche遊覧船のディナークルーズに行くとか。
この辺のコインランドリーは前回来た時に使ったので、洗濯に来たようです。
それは任せてとばかり、洗濯物を預かる。親として最後の洗濯?だなと思いながら
息子の下着やTシャツをマシーンに投げ込み、待つ間何だかしんみりしました。

さて、部屋中の整頓がつき、洗濯物もホテルへ届けたので、ご飯。
食べる事ばかり書いていますが、やっぱり楽しみはこれ。今日はちゃんとした
イタリアンを食べようと出かけました。ピザとミートスパゲッティと、お肉とサラダと
赤ワインと。観光客なんて一人も居ない横丁、初老のギャルソンが一人で仕切っている店。
厚ぼったいグラスやら、ごわっとしたナプキン、赤と白の格子柄のテーブルクロス。
全部それらしくて満足。「しかしお嫁さんは綺麗だったね」とその話で又幸せな気分になれました。





パリ結婚式旅行 (6)
さて、今日からはブラッセル旅行。3つのトランクはホテルの
トランクルームに預け、小さなボストンバッグ1つで出かけます。
1時間前にパリの北駅に到着。ブラッセルまで66ユーロ。
所要時間1時間22分です。4人がけの座席で、本当にゆったりと座れます。
ところが、昨日からぐーんと気温が下がり始め、今日はもうすっかり晩秋。
息子1がヒートテック二枚重ね作戦とか言っていますが、私はセーター着用。
周りを見ると、コートの上に、変わった織り地のショールを首にくるくる巻いて
結んでいるのが格好良いし暖かそう。早速インド製のそれを購入。ウールで軽く
暖かいです。50ユーロ位でしたが、円高で何よりです。

ホテルはポルトナミュールの地下鉄を降りた所にありますが、グランプラスまで、
近そうなので、皆でぶらぶら歩いて降りて行きました。プラスロワイヤルの
マルグリット美術館はしっかりマークして、中央駅を通り、だらだら敷石道を行くと
尖塔が早くも見えて来て、やがて家並みの中に隠れ、横丁を曲がったら広場に出ました。
ヴィクトル・ユーゴーが「世界で一番美しい広場」と言った所。パリよりも長く娘時代に
居たブラッセルですから、この広場には思い出一杯。約40年振りに来ました。

カフェに入って午後は別行動、夕食時又グランプラス集合と確認。働いて居たお店が
近いので探しに行きました。ところが大開発で、全く面影がないほど変わっていてびっくり。
でも結局私がワンブロック間違えていて、「ブルッケール広場」と人に尋ねて分かりました。
いつもお茶していた古いホテルは健在(悪いけれど潰れそうねと言いながらだらだら
良く居座っていた)でしたが、斜陽で欧州支店が沢山姿を消した内の1つ、懐かしい
我がブラッセル支店は旅行代理店になっていました。でも建物の形で分かるので
写真は撮って来ました。界隈の様子はかなり変わっているし、街角の茹でた貝を
売っていた屋台なんかも、もう出ることはないのでしょうか。

ショッピングモールで孫のお洋服を買い、地下鉄でマグリット美術館へ。
何と無料開放時間になっていたので、ゆっくり見学。
何と言っても、全館壁の色も扉の色も置いてあるソファの色も全部、緑がかった
濃いブルーだったのにはびっくり。全体に照明は落としてあって、すごく落ち着くし
おしゃれ。
沢山本人出演の映画を作っているので、それも見ながら「光の帝国」が2枚飾って
ある部屋には30分以上居続けました。

石畳の街角、街灯がぽつんと光っている。
半分以上を占める淡いブルーの空には白い雲、黒々とした街路樹が突き刺さるように
伸びている。夜なのか昼なのか。静かな絵なのですが、何とも惹きつけられる。
エルンストの「Apres moi le sommeil」の話を以前書きましたが、どうもシュール
レアリズムに弱いです。魔法にかかったように足が止まります。というか石で出来た
ヨーロッパの街に似合うのではないかと思います。説明の付かない感覚ですが。

夜は食べ物横丁の「Chez Leon」へ。まぁグランプラスの近くで、ここはムール貝の老舗。
40年前と同じに繁盛して、日本人客も多く、全然変わらないなぁという感想。
バケツに一杯のムール貝を2杯頼んで、ビールは白ビールやら黒ビールやら色々頼む。
地ビールの美味しいのがブラッセル。付いてくるフライドポテトでお腹一杯になってしまう。
可愛い食卓塩(お店の名前入り)があったので売って貰う。ブラッセルに居た人への
お土産にと二つ頼みました。

(写真はグランプラスとその尖塔とChez Leonのムール貝)






パリ結婚式旅行 (7)
気温は14度。(早朝は5度くらい)すっかり初冬という感じです。
おまけに今日は雨模様。割合ゆっくりと朝食を済ませる。ベルギーも
パンは美味しい所で、またまた朝から満腹状態。赤い林檎がお飾り
みたいに置いてあったので、食べて良いのか聞いて、テーブルセット
のナイフで切り分けて食べました。
果物のデザートなんて無いし、久しぶりの鮮果。青い味がしましたが
美味しかったです。

息子1とピエール・マルコリーニのお店を探してサブロン広場へ歩いて行く。
その頃には横なぐりの風雨が強くなり、近くのノートルダム デュ サブロンに
避難。ゴシック形式のステンドグラスの素晴らしい教会です。
1ユーロでろうそくを灯し、両親親戚の霊を弔います。静かな時間が流れて
束の間の休息。内部の広さ、高さは大したものでお祈りをしている人は数名。
贅沢な時間だなぁと感じます。

ヨーロッパの楽しみは美術館と大伽藍の中の静寂、大庭園、美味しい物。
もう身体の中に力が湧いてくる感じ。嵐の中を飛び出したくなったた所で
いつの間にか風は止んだ様です。雨の中、ともかくお目当てのショコラシエ
(チョコレート店)まで戻って店内で雨宿り。色とりどりの生チョコは良い
お土産になりそう。店員が日本では5倍の値段が付いていますと笑う。

そうです。ここのチョコレートが高価なのはヴァレンタインデーの度に身に沁みて
います。 何故ここのチョコレートはそんなに高いのだろうと。ところが良く
確かめて見ると生チョコの賞味期限はせいぜい3日。フランボワーズとか
美味しそう。虹のような美しい色のチョコも欲しかったです。でもまだ
ヨーロッパ旅行は続くのであきらめ板チョコを購入。後はグランプラスの
GODIVAでも買わなくちゃ。

そろそろお土産に頭が行きだしたので、ゴブラン織りの眼鏡ケースとか
刺繍ものとか、細々と買って行きます。
何と言ってもベルギーはチョコが有名だから、チョコレートをデッサンした
Tシャツも沢山。でも、夏にチョコレート柄のTシャツって溶けそうで暑苦しいのでパス。
昼食は待ち合わせていたのに連れ合いはホテルの近所で食べると連絡あり。
それならばと息子1と二人でパエリアに挑戦。何料理でも美味しい所がブラッセルです。
だからEUの本部が置かれたのです(嘘です)。

ゆっくり1時間待たされましたが、サフランの香りも高い鉄鍋のパエリアが出てきました。
海老もムール貝もぷりぷりとして美味しそう。冬の嵐の中歩いたので、疲れもあり、少しの
ビールで酔いも回っています。ギャルソンが慣れた手つきで二人の皿に上手に取り分けて
くれるのがうれしい。物も言わずに食べました。ぱりっとしているのに柔らかいお米の食感と
スープとサフランの味の醸し出す味のハーモニーが最高でした。

デザートは止めて、小便小僧前のワッフル店で立ち食い。
トッピングにクレムシャンティアラフレーズ(ストロベリー生クリーム)を頼み二人で
分けましたが、ほんのりした甘さで美味しい。そしてワッフルは外側がしっかりしているのに
中はもちもち。美味しいです。これがワッフルですね。

息子1はEU本部へ回るとか言うので、私は一旦ホテルへ戻って連れ合いの様子を見て
少し休み夜に備えようかなと。地下鉄直近のホテルは有り難いです。上り坂を避けて
地下鉄1回乗り換えで15分もあれば帰って来ました。ところがすれ違いで既にあちらは
お出かけ。 仕方ないので、一応着替えて化粧もし直してゆっくりブラッセルの市街地図を
眺めたりガイドブックを読んだりしました。
新婚さんの引き出物のLa Dureeのマカロンを食べてお茶を飲んで休む内にすっかり良い
お天気になったので、今度はゆっくり歩いて又グランプラスまで降りて行き又お土産
ショッピングしました。

夜3人グランプラスで集合して、今日のお目当て、「ケルデルク」へ。
グランプラスに面しているブラバン公爵館地下のレストランで、私が昔ベルギーを去る前の晩
この味を忘れないようにと連れて行って貰った所です。

ちゃんと残っていたので、本当にうれしい。勿論バケツ一杯のムール貝と(白ワイン煮)、牛肉の
地ビール煮込み(カルボナードです)、うなぎのグリーンソース煮。海老コロッケにサラダと名物料理を
色々取って冷たいビールと一緒に食べました。日本語のメニューも用意され、隣席も日本人。
まぁ意識せずに行きましょうっと私たち3人でゆっくり食べました。

(写真はカルボナードとうなぎのグリーンソース煮)





パリ結婚式旅行 (8)
帰りはパリ北駅(ガールデュノール)からタクシーでオペラ座近くの
ホテルに寄り、トランクを3つピックアップして、新しいホテルに移ります。
プチホテルも良いけれど、機能的な英語の通じるホテルにも泊まりたいと言う
連れ合いのリクエストに従いました。

オペラ座から少し離れたのでその分部屋も広く、又私は例によって疲れた時の
入浴剤頼み。お風呂に入ってゆっくり。プチ旅行の疲れを取りました。
男性群はいよいよ旅行も終盤。お買い物に精出しています。私も一応ファッション関係の
ものを中心に見に行きました。

TVでは、アップル社のスティーブ・ジョブ氏死すとのニュースで
持ちっきりですが、オペラ座前のパリのアップル社の支店には半旗が
上がっていました。ギャルリー・ラファイエットでグリーンブルーの
(マグリット美術館の色)インナーで、スパンコールが丁度鷲の羽根のように付いたのを
見つけ購入。良い思い出になりそうです。

明日はもう別行動になるので、息子1と食事するのも最後。美味しいものを探してそぞろ歩き。
晩秋のひんやりした気候で食欲も高まります。時差もすっかり解消して元気いっぱい。
今夜は食事の後、「ラパン・アジール」へシャンソンを聞きに行くつもり。旅も
クライマックスという感じです。あんな失望が待っているとは露知らず。
パイ包みした海のポタージュとか、ステーキとか、連れ合いは又エスカルゴを皆
それぞれに取って豪華なディナーを楽しみました。デザートはキャラメル味のアイスクリーム
添えのアップルパイ。お腹一杯になりました。

最初は息子1と二人でモンマルトルへ行くつもりが、あまりに雰囲気が良いので連れ合いも
つい「一緒にどう」っと誘いました。
タクシーでモンマルトルへ。シャンソニエは我が憧れの場所だけれど学生時代は贅沢だと
思って行けず、駐在生活の時はディスコみたいな所へ行ったし、旅行で来たときは、過度な
夜更かしには耐えられないしエスコートもいないしで来られませんでした。本当に今回
千載一遇という感じで写真では何回も見た蔦の絡まるお店に行きました。

伝説の通り、本当に古いピアノとギター一本で次々と歌手が歌ってお喋りして悪く言えば
だらだら続く感じですが、知っている曲、知らない曲、どれもこれもナマ演奏で、詩人の魂と
いうのかしら、直に伝わる感じです。もう目を輝かして聞き惚れていました。1ドリンクが
付いているという事ですが粗末なガラスのコップに黒いスグリ酒。
24ユーロで9時から1時まで硬い小さな木の椅子に身を預け、皆さん大いに楽しんでいる感じ。
外国人も多いですが、パリジャンも沢山来ていますね。我が同胞も何人か見かけました。いじられて
歌わされて皆大笑いしています。

その内連れが冗談も分からない、歌も意味が分からないから面白くない飽きたから帰ろうと言い出した
のには閉口。私の黄金の時間は11時半まででした。帰り口で次の曲がベコーのヒット曲で
学生時代良く聞いた「Quand il est mort ,le poete」だったので、余程引き返そうかと思いましたが
ぐっと我慢。その代わり、帰りのタクシーでは怒り爆発。「いや、まさか本当に帰るとは思わなかった」とか「覚悟は
していたんだよ」「綺麗な女の人居たから見て過ごそうと思っていた」とか、又怒りに油を注ぐようなお馬鹿発言が
続き、その晩は眠れそうになかったです。

(写真は今晩のデザート)





パリ結婚式旅行 (9)
翌日はすっきり目覚め。引きずらないのがAB型の良いところ。
迷子になる訳もないし二人を帰して、私は残って最後まで楽しみ
深夜タクシーを呼んで貰えば良かったのです。あぁ行動力の低下が
嘆かわしいと反省。依存心も増えて居るんでしょうね。

今日は皆別行動です。息子1は明日早朝の飛行機で帰るので、今日から
空港近くのホテルに移動。日中、私はモダンアート、連れ合いは
ルーブル、息子1はニュー凱旋門の辺りに遠征。一旦夕方5時頃
荷物作りを見届けてホテルから地下鉄駅まで見送りました。

飄々と歩く背中はまだ学生みたいで、時が止まっているようですが、
親につきあってくれて有り難う、世知辛い日本で又家族を背負って
頑張ってねと声もなく語りかけました。さて感傷はそれまでで最後の夜は
どうしようかと相談。ぶらぶら歩いていると、何とあの「Chez Leon」を見つけました。
もう一度ムール貝の白ワイン煮を食べたかったので、すぐに入って見たら結構
待たなければ。でも、急ぐ訳でもないし、周りを見ながら大人しく待っていました。

ベルギーのお店の正真正銘の支店で結構人気なんですね。ムール貝とビフテクフリ
(硬くて硬くて、でも美味しいのです。フライドポテトが山盛り)、私はアリコベールと
海老のプレート。ベルギービールを取ってもう大満足。

お腹も一杯になったので地下鉄でエトワール広場へ。夜の凱旋門を背景に写真を撮って
シャンゼリゼ通りを少し歩く。レマルクの小説「凱旋門」で有名なフーケの店で少し休もうと店内へ。
連れ合いはケーキとコーヒー。私はカルバドスを一杯。私の方が高かったのは傑作。
本当に今回は信じられない程元気でお酒も一杯飲めて幸せでした。りんごの香りと
芳醇なお酒の匂いにうっとり。冷たい水を含みながら、でも一杯がやっと。ブランディは
ブランディです。

 (写真は海老と三度豆のプレートと、凱旋門の夜景です)









戻る
戻る