オールスター・プロレスリング 

2000年6月8日発売
発売元 スクウェア

 大手メーカー、スクウェアが放つPS2用プロレスゲーム。新日主力選手に加え、力道山、ジャンボ鶴田、アントニオ猪木など往年の名レスラーが登場。日本各地の主要会場はもちろん、新日道場や巌流島までバッチリ再現され、熱い闘いが繰り広げられる。

 


レビューbyカシンだ石沢だ

 PS2初のプロレスゲームとなったこのゲーム。雑誌に紹介されるやいなやFFなどで実績をつくってきたあのスクウェアがいったいどんなプロレスゲームを作るんだろうと様々な期待を持ったファンのかたも多いであろう。
 発売の約2ヶ月前に行われたあの新日4・7東京ドーム大会「橋本真也 小川直也に負けたら即引退スペシャル」でジャンジャン流れるTVスポットで購入を決意し、発売日に早速GETしてみると…。

●どんなゲームか?
 プロレスゲームファンの間ではだれがなんといおうと新日本のゲームといったら闘魂烈伝、闘魂炎導などの闘魂シーリズなのである。したがってオープロを初めてプレイしたときに僕は知らず知らずのうちに闘魂シリーズと比較してしまっていることに気が付いた。おそらく、スクウェア側もこういうことを一番恐れていたに違いない。
 そこで、2つのアナログスティックを操作して技を出すシステムを考えたのだろう。これは僕がゲーム下手ということが大きな原因だが、やっぱりしっくりいかないのである。発売から2ヶ月が経つ今でもこれは変わらない。
 操作性に視点をおいた場合、残念ながらオープロに関しては自分の中では及第点には届かない。

●雑誌のレビューも原因だ

 発売直後から、オープロ掲示板には不平不満が殺到し、中には発売後2日で中古屋に売る人もいた。
 ここで言いたいのは雑誌のレビューについてだ。オープロはほとんどの雑誌で賞賛の嵐だった。 反対にバープロ2の発売時のレビューはあんまり芳しくなかった。プロレスゲームファンならどちらが優れたゲームか、分かっていただけると思う。プロレスファンじゃない一般のユーザーは果たしてあのレビューどうりにオープロを楽しめたのだろうか?。甚だ疑問である。

●オープロはここがだめだ!!

 オープロの最大の欠点は「オールスター・プロレスリング」のタイトルがついているのに全然オールスターでないところ。隠しレスラーにJガールズなんかを出すんなら、せめて小川と大仁田ぐらいは出してくれ!!。制作サイドも新日のゲーム出すんなら今のプロレス界の流れぐらい知っておいて下さい。
 小川と大仁田がもし隠れキャラとして入っていたら、間違いなくファイプロ、バープロに続くソフトになっていたね絶対。

●オープロのいいところ

 オープロのいいところは、演出面。これにつきるだろう。特にドーム大会の華やかさは今まで出ているゲームの中では(PS2ってこともあるけど)ダントツの出来。
 また力道山や鶴田が出ている点は評価すべきところ。またUWFファンとしては山ちゃんの「Uのテーマ」が聞けるのはポイントが高い。(Uファンにとってこの曲は思い入れがありすぎる。)
 また試合中の客の声援なんかもいい感じっす。

●オープロ2に望むこと

 賛否両論ある中で、なかなかのセールスだったオープロ。こんだけ売れちゃったら続編を出さないわけにはいかないでしょう。
 ここで制作サイドにアドバイスすると、野球ゲームほど僕らプロレスファンは実名にこだわらないです。(リネーム機能がついているのが大前提だけど)。
 それから、マット界の流れをもっと勉強して下さい。
 やっぱり「オールスター」ってついている以上、新日、全日(ノアもね)
U系団体をすべて網羅しないとプロレスファンは納得できないぜ!!。

(2000.8.3 カシンだ石沢だ)
カシンだ石沢ださんが投稿してくださいました。ありがとうございました。


レビューbyダーク三世

 

 ゲーム内容に関してはカシンだ石沢ださんが書いてくださっているので、ここではそれ以外の事について少し見解を書いておこう。

 まずこの『オールスター・プロレスリング』という作品であるが、プロレスゲームとしては三流以下である。これはハッキリと断じておかなければならない。もっとも、スクウェアにとっては初のプロレスゲームという事で、技モーションのデータや技術の蓄積もなく、完全なゼロからのスタートだったわけだから当然の事なのかも知れないが。あのバープロにしたって闘魂烈伝にしたって、1作目は決して作品としての完成度は高くなかったし、このオープロも今後シリーズを重ねるごとにどんどん良くなっていく可能性は十分にある。しかしだからと言って今回の作品の出来が変わるわけではない。あえて好意的な言い方をすれば、「1作目らしくダメ」といったところだろうか。
 この作品はどんな層を対象にしているのだろうか?プロレスゲームファン?答えはノー。例えば当HPを訪れてくださるようなプロレスゲーマーが何を求めているかというのは比較的はっきりしているのに(豊富なデータ、ゲーム性や操作性の向上、長く遊べるモードの充実など)、その点を意識している形跡はまるで見られないからだ。ではゲームファンか?答えはノー。技を受けなければいけないシステムや細部に渡るマニアックな作り込みは単なるゲーマーには理解出来ない。ということはプロレスファン?ノー。このゲームは新日に偏りすぎで、プロレスファン全般を満足させる事は出来ない。カシンがオリジナルベルトを持って来て喜ぶのは新日ファンだけ。むしろジャンボの出来の悪さなどは、新日ファン以外は怒るのでは?だったら新日ファンに向けられているのか?やはりノーである。新日ファンをターゲットにするならば、『オールスター・プロレスリング』などと言う奇妙なタイトルを付けずに、新日のゲームとして出せばいいのだから。一体「どんな層に向けて」「何を訴え」「どのように楽しんでもらいたいのか」がさっぱり伝わって来ない。制作者のプロレス(というか新日)に対するこだわりはよく分かるのだが、それだけではゲームとして成立しない。作品としてのコンセプトがしっかりしていなければ、自己満足と言われても仕方がないのでは?次回作が出るならば、ぜひとも「ユーザーを見たゲーム作り」をしてほしいと思う。
 それからもう一つ。スクウェアが新日の権利を取った事で、他のメーカーから出ている作品の中で、権利を侵害しているもの、また疑わしいもの(いわゆるもどきキャラの出ているゲームなど)をどんどん告発していくかも知れないという噂がある(当HPの掲示板でも少し話題になった)。もちろん、企業としては正当な行為だから、それについて非難するつもりはない。ただユーザーの立場として言わせてもらうならば、スクウェアがプロレスゲームの世界に参戦して来た以上は、ぜひともゲーム作りのプロとして、その作品で正々堂々と勝負してほしいと思っている。他メーカーの邪魔をしたところでスクウェアが良いゲームを作れるわけではない。ゲーム制作の実力や作品の完成度で他メーカーの作品に勝つ事こそ、ゲームというエンターテイメントに携わる方々の本当の勝利と言えるのではないだろうか?スクウェアにはそれが出来ると信じているし、いつか「プロレスゲームと言えばオープロ」と言われるようなビッグタイトルになる日が来る事を楽しみにしている。
 それにしても小川直也がいないのは本当に残念。せっかく力道山がいるのだから、力道山−小川とかやりたかったのにね。「仰天!2000年の空手チョップ」とか言って。

(2000.8.15 ダーク三世)