HP開設22周年記念コラム

「持続可能な云々」とは最近よく聞く言葉ですが、このホームページも持続可能型、つまりずっと続けられる事を目指して製作しました。平たく言えば、一度作ったらあとは更新せずほったらかしにしても差し支えなく、頑張らなくても大丈夫なようにと最初から考えていたのです。だから管理し続けなければならないBBS(=掲示板:もはや懐かしい言葉ですね)も設置しませんでした。
『幽幻道士』が初めて日本で放送されたのは1987年で、『テンテンメモリアルHP』を開設したのは1999年だから、ホームページ開設時はキョンシーブームからまだ10年ぐらいしか経っていなかった事になります。このコラムを書いているのは2021年ですから、キョンシーブームからホームページ開設までの時間よりも、ホームページ開設後の時間のほうがすっかり長くなりました。もはやこのホームページ自体がノスタルジーです(笑)。
更新しなくても大丈夫なように作ったものの、開設から20年以上も経つと、書かれている内容と世の中の実際があまりにもかけ離れてしまいました。『キョンシー&テンテン回想』のページで、当時のキョンシーブームがどれだけスゴかったかを説明する表現として、「今のポケモンブームにも匹敵するほど」なんて書いてますが、これではもう伝わらないでしょう。今書くなら「鬼滅の刃ブームにも匹敵するほど」かな。
というわけで、久々に更新して各ページの情報をアップデート。せっかくの機会なので、22周年記念コラムも書く事にしました。
例によって「キョンシー&テンテン回想」→「開設1周年記念コラム」→「2周年記念コラム」→「3周年記念コラム」→「5周年記念コラム」の続きとしてお読み頂ければ幸いです。

とはいえ、5周年から22周年の間にテンテン/キョンシーシーンで起きた事をここで網羅するのは大変なので(笑)、

●来来DVD、幽幻DVD発売
●書籍『テンテン美少女メモリアル』出版
●イベント『キョンシーズフォーエバー』開催
●幽幻/来来ブルーレイBOX発売

これら自分にとって大きかった出来事に絞って振り返りたいと思います。

2004年、私は“テンテン本人がキョンシー時代を振り返る本”を企画しました。
当時、テンテンことシャドウ・リュウは日本の芸能界で活動していたので、ご本人にオファーをしやすい状況で、シャドウさんはこの企画に快諾してくださいました。
出版社はテンテンが中学時代に写真集をリリースした英知出版に決まり、映画やドラマの写真使用許可をお願いするため、当時版権を有していたナオ・プロモーションの加藤直三さんを訪ねました(現在、『幽幻道士』シリーズと『来来!キョンシーズ』の権利を保有しているのはアット エンタテインメント)。
テンテンの本を出したいので、当時の写真を貸して欲しいとお願いしたところ、加藤さんからかえって来たのは、「近く『来来!キョンシーズ』のDVDを発売する予定がある」という思いがけない言葉でした。
そう、2004年の時点ではまだ『来来』も『幽幻』もDVD化されていなかったのです。ファンはレンタルビデオ店で古いVHSを借りて来るか、レンタル落ちの中古ビデオを探して買うしかなかったから、DVD化はファンの悲願でした。私は誰よりも早くこの朗報を知る事ができ、その上「DVDとうまく連携してくれるなら写真も貸すし、使用料も頂かない」というありがた過ぎる許諾を頂きました。
こうして、DVDと書籍は互いに広告を入れ合ったり、発売日を近づけるなどの連携を図りました。私は書籍を執筆しながら、DVDメーカーのアット エンタテインメントと英知出版との間を調整をしたり、DVDの製作にも一部協力させて頂く事となったのです。書籍出版のための条件だったとはいえ、別に仕方なくやっていたわけではなく、どれもこれもファン冥利に尽きる経験でした。
そして2005年、DVD発売の少し後に書籍『テンテン美少女メモリアル』が出版されました。


2005年に発売した『来来!キョンシーズ』DVD(左)と、書籍『テンテン美少女メモリアル』(右)

少年時代からキョンシーだけでなく、カンフー映画全般が大好きだった私にはバイブルと呼べる書籍がいくつかあり、そのどれもが“日野康一”という人物の著書でした。この方は香港映画を日本に伝えた先達・伝道師と言える人物で、特にブルース・リーの生涯を研究して書かれた文章などは、何百回読み返したか分かりません。
私は、そのテンテン版を書きたいという夢がありました(この『テンテンメモリアルHP』の文章も、いま読み返すと明らかに日野先生の影響を受けています)。
かくして完成した書籍『テンテン美少女メモリアル』は、その夢が叶い、濃密な仕上がりとなりました。今も書籍を見返すと、当時のほとばしるような情熱が見て取れます(笑)。
その後しばらくして英知出版が倒産してしまった事だけが残念です(倒産によってもう再版される可能性がないので、各作品のあらすじを紹介する文章を、今回のHP更新時に作品紹介のページに転載しました)。

2007年、テンテン(シャドウ・リュウ)がイベントを開催するという話を聞きました。
シャドウさん本人とファンの有志で企画したらしいのですが、当時私は仕事が多忙を極めていたため、立ち上げに関与していませんでした。客として観に行くのを楽しみにしていた程度。ところが、いつの間にやら制作側になり、イベント全体の演出から、当日の司会進行まで務める事となってしまいました。
しかし、やるからには「ファンが見たいイベント」を心がけてイベントを作りました。何せ観客は20年間テンテンに焦がれていたファンばかりのはずだからです。
新宿のイベント会場・ロフトプラスワンで開催された『キョンシーズ フォーエバー』は、たくさんの協力スタッフ、ゲスト、そして足を運んでくださったお客様のお陰で大盛況。テンテンのトークも楽しく、シークレットゲストとして極秘裏に来日していたトンボと安安のサプライズ登場も成功し、無事に幕を閉じました。


2007年開催イベント『キョンシーズ フォーエバー』

2017年、『幽幻道士/来来!キョンシーズ』のブルーレイボックスが発売される事になり、DVDの時に携わったご縁から、これにも一部監修という形で関わらせて頂きました。

振り返ると、これらの出来事に不肖私めが関わる機会に恵まれたのは、この『テンテンメモリアルHP』を作ったからに他なりません。それだけでなく、同好の士から貴重な情報を提供して頂いたり、ファン同士で交流するうちに親友ができたりと、『テンテンメモリアルHP』は自分に多くの財産をもたらしました。
ホームページ開設時、「少年時代にテンテンやキョンシー映画に夢中になった事は、その後の人生に確実に影響を及ぼしている」と書いた事は間違いなかったと、22年経ったいま改めて実感しているところです。


AIでテンテンを高精細化!

ホームページを開設した1999年は、それまでマニアだけのものだったインターネットをようやく一般の人も利用するようになってきた頃でした。しかし現在のようなスマートフォンやタブレットはまだなく、カメラすらついていない携帯電話は文字通りただの電話機。みんなが家のアナログ電話回線でインターネットに接続し、パソコンで閲覧していました。
YouTubeやTwitterはおろか、ブログすらまだなかったから、情報発信はHTMLを駆使してホームページを作るしかなく、現在のSNSのような手軽なものではありませんでした。
1999年なんて最近のように思えますが、こう考えるとやはり隔世の感があります。

現代の機器でこのホームページを見ると、写真が非常に小さいか、荒い解像度で表示されます。
更新前のトップページを自分の環境で見るとこんな風に表示されていました↓


画面に対して画像がすごく小さい!(笑)
これはディスプレイが高解像度化した(1つのドットのサイズが小さくなった)ため、以前よりも画面に対して写真が小さく表示されてしまうようになったのです。

ちなみにホームページ開設当初に使っていたパソコンはこれ↓です。

ブラウン管モニターは昔のテレビと同じ640×480ピクセル。今じゃスマホで縦表示にしてもこれより横幅が広いです(苦笑)。
このパソコンでトップページを表示すると、テンテンの写真が画面の半分ぐらいを占めるレイアウトだったのです。当時は結構大きく見えてました。自分だけでなく、みんなが同じような環境だったから、画像を大きく高解像度にする必要もなかったのです。

みんなが同じような環境だと、だいたい同じようなレイアウトで表示されるわけですが、今はディスプレイの解像度が変わっただけでなく、スマホでの閲覧も多いので、こちらが想定しているレイアウトでは見てもらえません。全ページをスマホまで想定してレイアウトし直すつもりはありませんが、画像の大きさはディスプレイのサイズに応じて変化するように修正しました。大きな画面では写真が大きく表示され、小さな画面では縮小して表示されます。これで、だいたいのページでは以前よりも画像が大きめに表示されるようになったと思います。

しかし、画像が大きく表示されても、それは20年以上前の低解像度画像が拡大表示されるだけなので、画質はザラザラ、輪郭などがギザギザに見えてしまいます。
そこで、せめてホームページの顔とも言えるトップページのテンテン画像は高解像度化してアップし直す事にしました。

テンテンが洋服で首をかしげているこの写真は、1988年に発売された『来来!キョンシーズ』の特集本に載っていたもので、昔も今も一番のお気に入りです。
チャイナ服や法衣ではないので、多くの人が「テンテン」と聞いて思い浮かべる姿とは違うかも知れませんが、テンテンの破壊的な可愛さを端的に表現する写真だと思います。だからテンテンのホームページを作ると決めた時、「トップ画像はコレ!」と最初から決めていました。

そんな思い入れのあるトップ画像のリニューアルです。
まずは、当時の本を高解像度で再スキャン。
それでも印刷の限界があり、「超高画質!」とまではいきません。
そこでこのスキャン画像を、“AIで高画質化するアプリ”にかけて高精細化。それをさらにレタッチして仕上げました。

結果、想像を上回る高解像度画像が完成!まるでテンテンが目の前にいるようです。
トップページの写真をクリックすると拡大表示するようにしたので、ぜひトップページでご確認ください。

ついでに、『来来!キョンシーズ』のキャプチャー画面もAIで高画質化してみました(クリックし、拡大してご覧ください)。

これらはレタッチしていないので画像の細部に破綻しているところもありますが、どれも見た事ないような高解像度な来来画像が生成されています。
これ、いくらでも遊べますので、みなさんも色々と試してみてください。
な〜んて技術の進歩を楽しんでますが、数年後、数十年後にこの記事を見て「この程度の事で喜んでいたんだなぁ」と遠い目で振り返っているかも知れません。映画全編がこんな風に超高画質化される時代もまもなくでしょうね。

時代の流れを感じ、未来への希望も抱いた22年目でした。

(2021.10.4)